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小規模オフィス向けセルフホスト型プライベートドキュメントクラウド「Nextcloud」徹底解説

課題:クラウド上のデータは本当に安全か?

大手テック企業によるプライバシー侵害の報道は後を絶ちません。こうしたニュースを目にするたび、「自分たちのデータは大手企業のクラウド上で本当に安全なのか」という疑問が浮かびます。経営者にとっても保護者にとっても、企業・政府・ハッカー・競合他社の監視からプライベートデータを守ることは、今や極めて困難な課題になっています。

クラウドにアップロードした文書や表計算ファイルがどこに保存され、誰の手に渡る可能性があるのか――その実態はほとんど見えていません。

ドキュメントストレージをめぐる現状

文書保存の分野でも、多くのユーザーがクラウドサービスへの移行を進めています。アクセスのしやすさ、コラボレーションの容易さ、保存データの安全性など、クラウドストレージには確かに多くのメリットがあります。しかし、何らかの理由でデータのセキュリティが破られた瞬間、これらのメリットは一変して深刻なリスクに変わります。

「必要は発明の母」ということわざの通りです。

解決策:オンプレミス型・セルフホスト型ドキュメント管理システム

こうした問題に対する答えが、オンプレミス型(セルフホスト型)のドキュメント管理システムです。長年にわたり、多くの企業や団体が自社サーバーで運用できる文書ストレージソリューションの開発に取り組んできました。あらゆる組織でデジタルデータが増え続ける昨今、データ・文書管理は大きな課題となっています。各種コンプライアンスや保存ルールへの対応も必要で、HIPAAなど法規制の対象となる業務を行う大企業では、文書管理の問題がとりわけ深刻です。

有力な解決策の一つが、セルフホスト型の「Nextcloud EFSS(Enterprise File Sync and Sharing/コンテンツコラボレーションプラットフォーム)」です。Nextcloudはプラットフォーム上で多彩な製品群を提供しており、代表的なものは以下の3つです。

小規模オフィス向けセルフホスト型プライベートドキュメントクラウド「Nextcloud」徹底解説

Nextcloud Files:完全なファイル同期・共有管理システムです。デスクトップOSやスマートフォン向けアプリを備え、クロスプラットフォーム・クロスデバイスでのファイル同期が可能です。Googleドライブと同様のファイル検索、コメント、アクセス制御機能を、自分のサーバー上で実現できます。

Nextcloud Talk:通話・チャット・会議をオンプレミス環境で完結できるコミュニケーションスイートです。社内ネットワークまたは企業VPN経由で利用すれば、通信が自ネットワーク外に出ることはありません。モバイルアプリも用意されており、いわば「自社ネットワーク上のMicrosoft LyncやGoogle Meet」と言えます。

Nextcloud Groupware:メール・カレンダー・連絡先機能により、小規模オフィスのコミュニケーションを円滑化し、業務を迅速化します。Nextcloudを自社サーバーでホストすれば、これらもすべて自ネットワーク内で完結します。このソリューションは「容量」と「プライバシー」という2つの懸念を同時に解決します。データが自ネットワーク内にあるため安全かつプライベートであり、さらにわずかなコストで事実上無制限のストレージを追加でき、「ストレージ容量不足」の悩みからも解放されます。

まずは試してみよう

Nextcloudを試す方法はいくつもあります。

  1. デモアカウント:60分間利用できるデモアカウントが公式サイトで提供されています。
  2. 無料ホスティングアカウント:多数のホスティングプロバイダーが、容量制限付きの無料アカウントを提供しています。性能に満足できれば、有料アカウントに登録してストレージを拡張できます。料金はプロバイダーによって異なります。

最も人気のある選択肢は、やはりサーバーパッケージをダウンロードして自分のハードウェアにインストールすることです。しかも、その選択肢は豊富にあります。

  • Dockerイメージ:https://hub.docker.com/_/nextcloud/
  • Snapパッケージ:https://snapcraft.io/nextcloud
  • VMイメージ:https://download.nextcloud.com/vm/Nextcloud-VM.ova
  • Ubuntu用ダウンロードアーカイブ:https://download.nextcloud.com/server/releases/nextcloud-20.0.2.zip

インストール

Webインストーラーを使えば、サーバーへのNextcloud導入も簡単です。依存関係を自動チェックし、適切なパッケージをダウンロード、正しい権限とユーザーアカウントで展開まで行ってくれます。これほど手軽なパッケージインストールは、人気CMSのWordPressくらいしか見たことがありません。

詳細な手順については、管理者マニュアル(Admin Manual)を必ず確認してください。
https://docs.nextcloud.com/server/20/admin_manual/

構築した環境にはWebインターフェースからアクセスできるほか、デスクトップ・モバイル向けクライアントも利用できます。NextcloudクライアントはWindows、macOS、Linux、iOS、Androidと、主要なすべてのプラットフォームに対応しています。

筆者はTab.Digitalに登録しました。全プロバイダー中最大の8GBストレージを無料で提供していたためです。他にも選択肢はあり、以下はその一部です。

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登録すると、ファイルへアクセスするためのWebDAVアドレスが発行されます。これにより、普段使っているローカルのファイルエクスプローラーからこのストレージ領域にアクセスできるようになります。

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出典:Tab.DigitalのNextcloudアカウント

プラットフォームに含まれるアプリ

ドキュメント管理システムに必要な機能は、ひと通り揃っています。

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主なタブは以下の通りです。

  • Files:ファイラー兼エクスプローラー
  • Photos:写真ブラウザー
  • Activity:アカウント内の操作ログ
  • Talk:チャットクライアント
  • Mail:既存メールアカウントを接続できるクライアント(メールサーバーではありません)
  • Contact:Active Directoryなどを接続できるアドレス帳
  • Circles:SharePointの一部機能を持つソーシャル機能
  • Calendar/Notes/Tasks:カレンダー・メモ・タスク管理
  • Deck:カード型(カンバン方式)のプロジェクト管理ツール

ドキュメント管理システムとして見ても、これだけの機能があれば、Nextcloudは社内データ管理の最有力候補と言えます。

しかもNextcloudの魅力はこれだけではありません。小規模オフィスでの採用を決定づける機能があります。それは、一般的なOfficeファイルをシステム内で直接開いて編集できる点です。編集だけでなく、他のプラットフォームでは考えられないようなことも実現できます。

Office統合

Nextcloudは、AGPLライセンスで公開されているオープンソースのOfficeスイート「Onlyoffice」(https://www.onlyoffice.com/)と統合できます。これにより、別アプリを起動することなく、Nextcloud上でファイルの作成・編集・保存が完結します。実際にTab.Digitalの環境で試したところ、Officeスイートの動作にラグやもっさり感は一切ありませんでした。

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小規模オフィス向けセルフホスト型プライベートドキュメントクラウド「Nextcloud」徹底解説

ファイルに対しては多彩なアクションが用意されており、プラットフォーム内でできることは非常に多いのです。

Activity:特定のファイルに関する動きを追跡できます。

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Chat:ファイルについて、まさにファイルの中から議論できます。

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Comments:非同期のやり取り用に、ファイルへコメントを残せます。

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Sharing:システム内外のユーザーとファイルを共有したり、プロジェクトに関連付けてすべてのデータを一箇所にまとめたりできます。

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Versions:バージョン管理機能により、必要に応じて過去の版へ戻すことも可能です。

設定

管理設定は非常に充実しています。スーパー管理者は必要な変更をすべて行い、環境を自由にカスタマイズできます。

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セキュリティ

2要素認証(2FA)、FIDO2ベースのパスワードレス認証、ログイン用バックアップコードに対応しています。ログイン中のアプリやデバイスも一覧で確認できます。セキュリティ機能は包括的で、完成度が高いと言えます。

まとめ

詳細に入る前に、コラボレーションツールを含むファイル同期・共有システムに小規模ビジネスが求める要件を整理してみました。

  1. オンプレミスのファイルストレージシステム
  2. 社内ファイル共有
  3. 安全な社内チャットプラットフォーム
  4. ファイルのバージョン管理
  5. Officeスイート相当のアプリケーション
  6. 連絡先/カレンダー/タスク/メモ
  7. 一般的なソーシャルメディア的機能
  8. データの安全性
  9. コミュニケーションのプライバシー
  10. データ保持ポリシーの管理権限

専門家なら「これらの機能の大半は、GoogleやMicrosoft、Facebook(ある程度)のクラウドサービスにもある」と指摘するでしょう。しかし私たちが求めているのは、そうした巨大企業に依存しないシステムです。データ保存・データ保持ポリシー・プライバシー機能をより強くコントロールでき、かつ低コストなソリューションが必要なのです。

Nextcloudは、上記の要件をすべて満たし、それ以上のものを備えたパッケージです。小規模オフィス環境において、まさに第一候補となるシステムです。カスタマイズは最小限で済み、導入直後の初期状態のままですぐに使い始められます。

このドキュメント管理プラットフォームについて十分な情報をお届けできたなら幸いです。あなたの組織でNextcloudを試した際は、ぜひコメントで体験談を聞かせてください!

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