Windows 11/10でWake-on-LAN(WOL)が動作しないときの対処法10選
Wake-on-LAN(WoL)は、ネットワーク経由で送信されるメッセージ(マジックパケット)を受け取ることで、適切に設定されたコンピューターの電源をリモートで投入したり、低電力状態から復帰させたりできるイーサネットの標準規格です。この記事では、Windows 11/10環境でWake-on-LANが正常に動作しない問題を解決するための、実践的な対処法を順番に詳しく解説します。
Wake-on-LANとは?
Wake-on-LAN(略称:WoL)は、非常に低い電力状態にあるコンピューターを、遠隔地から起動できる業界標準のプロトコルです。ここでいう「低電力状態」とは、コンピューターの電源が「切れている」状態でありながら、電源供給が確保されている状態を指します。外出先から自宅やオフィスのPCにアクセスしたい場合などに便利で、PCを低消費電力のまま保ちながら、ファイルやアプリケーションへのアクセス権を維持できます。
トラブルシューティング前の事前確認事項
以下の対処法を試す前に、まず次の点を確認してください。
メインのイーサネットポートは通常、システムの側面または背面にあり、IPCONFIGコマンドを実行すると「Ethernet 1」として表示されます。Wake-On-LANをサポートしているのは、このポートです。
注意: 近年のほとんどのシステムにはRJ-45ネットワークジャックが搭載されています。内蔵ネットワークジャックを持たないシステムでは、WOL対応のUSBドングルが必要です。トラブルシューティングを始める前に、使用するUSB NICアダプターがWOL対応であることを必ず確認してください。
ネットワークケーブルがシステムのNICに正しく接続されていることを確認したうえで、それでもWake On LANが正常に機能しない場合は、以下の項目をチェックしてください。
- AC電源が接続されていることを確認する。バッテリー駆動中はWOLが機能しません。これは仕様によるものです。
- システムの電源がオフの状態でも、リンクライトが点灯し続けていることを確認する。リンクライトが点灯していない場合、NICがマジックパケットを受信できず、システムを起こすことができません。
- マジックパケットを送信する側のシステムから、クライアントシステムに対してpingが通ることを確認する。
- マジックパケットで使用しているMACアドレスが、クライアントシステムの「Ethernet 1」のMACアドレスと一致していることを確認する。
- マジックパケットに特定のIPアドレスを指定している場合、ネットワークスイッチがそのパケットをネットワーク全体に正しくブロードキャストできないことがあります。その場合は、ネットワーク全体へブロードキャストされるようアドレスを変更する必要があります。たとえば、クライアントのアドレスが「192.168.1.12」なら、パケットに指定するブロードキャストアドレスは「192.168.1.255」になります。
Wake-on-LANが動作しない場合の対処法
この問題に直面している場合は、以下の対処法を記載順に試してみてください。
- 高速スタートアップを無効化する
- ネットワークインターフェースカード(NIC)ドライバーを更新する
- 電源プランの設定を変更する
- NICの電源管理設定を構成する
- NICの詳細ドライバープロパティを設定する
- レジストリキーを変更する
- レジストリキーを手動で作成する
- BIOS設定を確認する
- BIOSをリセットする
- BIOSを更新する
それでは、各対処法の手順を詳しく見ていきましょう。
1. 高速スタートアップを無効化する
Windows 10の高速スタートアップ機能は、条件が満たされていればデフォルトで有効になっています。高速スタートアップはシャットダウン後の次回起動を速くすることを目的とした機能ですが、実際にはシャットダウン時に完全な終了ではなく休止状態に近い状態へ移行します。
この対処法では、高速スタートアップを無効化し、「Wake-on-LANが動作しない」問題が解決するかどうかを確認します。
2. ネットワークインターフェースカード(NIC)ドライバーを更新する
Wake-on-LANの不具合は、ネットワークドライバーが原因で発生することがあります。この問題が発生している場合は、NICドライバーを最新版へ更新してみてください。
ドライバーの更新は、デバイスマネージャーから手動で行うか、Windows Updateの「オプションの更新プログラム」セクションから入手できます。また、デバイスメーカーの公式サイトから最新版のドライバーをダウンロードすることも可能です。
NICドライバーを最新版に更新しても問題が解決しない場合は、逆に旧バージョンのネットワークアダプタードライバーをインストールしてみてください。
3. 電源プランの設定を変更する

以下の手順を実行します。
- タスクバー右側の通知領域にあるバッテリーアイコンを右クリックします。
- 「電源オプション」を選択します。
- 「電源オプション」ウィンドウで、現在使用中の電源プランを見つけます。
- その横にある「プラン設定の変更」をクリックします。
- 続いて「詳細な電源設定の変更」をクリックします。
- 「PCI Express」セクションを展開します。
- 「リンク状態電源管理」を展開します。
- 「電池駆動」「電源に接続」の両方の状態で、省電力設定を「オフ」にします。
- 「適用」→「OK」をクリックして変更を保存します。
これで問題が解決するはずです。解決しない場合は、次の対処法に進んでください。
4. NICの電源管理設定を構成する
以下の設定例はIntel製NICの場合です。
- Windowsキー + Xを押してパワーユーザーメニューを開きます。
- キーボードのMキーを押してデバイスマネージャーを開きます。
- 「デバイスマネージャー」内でインストール済みデバイスの一覧を下にスクロールし、「ネットワークアダプター」セクションを展開します。
- メインのネットワークアダプター(通常は一覧の先頭にあるアダプター)を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「電源の管理」タブを選択します。
- 「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフできるようにする」「このデバイスは、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」「Magic Packet のみで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」の各チェックボックスにチェックを入れます。

- お使いのIntel NICによっては、利用可能な場合に「Wake on Magic Packet」と「Wake on Pattern Match」オプションにチェックを入れ、「Power Saver Options」配下の「システムアイドル中にリンク速度を下げる」のチェックを外します。

- 「OK」をクリックします。
- コンピューターを再起動します。
5. NICの詳細ドライバープロパティを設定する

Windows上のNICドライバープロパティを確認し、WOLが有効になっていることを確かめてください。これらの設定は、Windows 10においてBIOSの設定を上書きすることがあります。
以下の設定例はRealtek PCIe GBEネットワークアダプターの場合です。
- デバイスマネージャーを開きます。
- 「ネットワークアダプター」セクションを展開します。
- 「Realtek PCIe GBE Family Controller」を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「詳細設定」タブをクリックします。
- 「プロパティ」ボックスで、「Shutdown Wake-On-Lan」「Wake on Magic Packet」「Wake on pattern match」を順に選択し、それぞれの「値」を「有効」に設定します。
- 最後に「WOL & Shutdown Link Speed」を選択し、「値」を「10 Mbps」に設定します。
- 完了したら「OK」をクリックします。
- コンピューターを再起動します。
6. レジストリキーを変更する

この方法はRealtek製ネットワークアダプターで有効だったケースがあります。
レジストリ操作を行うため、作業前にレジストリのバックアップを作成するか、システムの復元ポイントを作成しておくことをおすすめします。準備ができたら、以下の手順に進みます。
- Windowsキー + Rを押して「ファイル名を指定して実行」ダイアログを呼び出します。
- ダイアログボックスに
regeditと入力し、Enterキーを押してレジストリエディターを開きます。 - 以下のレジストリキーのパスへ移動します。
Computer\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\Control\Class\{4d36e972-e325-11ce-bfc1-08002be10318}\0002
パスの末尾の部分はPCによって異なる場合があるため、必要に応じて自分のネットワークアダプターを手動で探してください。
簡単に探すには、レジストリエディターでCtrl + Fを押し、検索ボックスに S5WakeOnLAN または PowerDownPll と入力してEnterキーを押します。
- その場所の右ペインに「S5WakeOnLAN」が表示されているはずです。
ヒント: ホストマシンで利用可能なスリープ状態の一覧を確認するには、コマンドプロンプトで powercfg -a と入力してEnterキーを押し、S3、S4、S5の各状態が利用可能になっていることを確認してください。
- 該当エントリをダブルクリックし、「値のデータ」を「1」に変更します。
- 「OK」をクリックして変更を保存します。
- 次に「PowerDownPll」をダブルクリックし、「値のデータ」を「0」に設定します。
- 「OK」をクリックして変更を保存します。
- コンピューターを再起動します。
それでも問題が解決しない場合は、次の対処法に進んでください。
7. レジストリキーを手動で作成する

レジストリのバックアップまたはシステムの復元ポイントを作成してから、以下の手順に進みます。
- レジストリエディターを開きます。
- 以下のレジストリキーのパスへ移動します。
Computer\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\NDIS\Parameters
- 右ペインの空白部分を右クリックし、「新規」→「DWORD (32ビット) 値」を選択します。
- 名前を「AllowWakeFromS5」にします。
- 新しく作成したキーをダブルクリックしてプロパティを編集します。
- プロパティウィンドウで「値のデータ」を「1」に設定します。
- 「OK」をクリックして変更を保存します。
- レジストリエディターを終了します。
- コンピューターを再起動します。
これで問題が解決するはずです。解決しない場合は、次の対処法を試してください。
8. BIOS設定を確認する
Wake on LANが動作しない場合、原因がBIOS設定にある可能性があります。問題を修正するには、BIOSを起動していくつかの設定を調整する必要があります。
BIOSの「Power Management(電源管理)」設定でWOLが有効になっていることを確認してください。
また、BIOSで「Deep Sleep」が無効になっていることも確認してください(すべてのシステムに搭載されているわけではありません)。この省電力設定はNICの電源をオフにしてしまいます。
BIOSに「Allow PCI to wake up the system」(PCIによるシステム起動を許可)という設定項目がある場合は、これも必ず有効にしてください。
設定が完了したら変更を保存し、問題が解決したかどうかを確認します。
注意: BIOS設定を変更した後、設定を正しく反映させるために一度Windowsのデスクトップまで起動する必要がある場合があります。BIOS設定とWindowsのNICドライバー設定の間には相互の影響があるためです。
9. BIOSをリセットする
この対処法では、BIOSをデフォルト設定にリセットしたうえで、APM(Advanced Power Management)を有効にします。「Advanced(詳細設定)」セクションから操作できます。これによりWake on LAN機能が正常に動作し始めるはずです。改善しない場合は、次の対処法に進んでください。
10. BIOSを更新する
ここまでの方法を試してもまだ問題が解決しない場合は、システムのBIOSを更新してみてください。
最も簡単なのはOEM(パソコンメーカー)提供のツールを使う方法です。すべてのOEMメーカーが、BIOS・ファームウェア・ドライバーを簡単に更新できるユーティリティを提供しています。必ず公式サイトからダウンロードしてください。これが最も安全なBIOS更新方法です。
- DellノートPCをお使いの場合はDell.comにアクセスするか、「Dell Update Utility」を使用できます。
- ASUSユーザーは、ASUSサポートサイトから「MyASUS」BIOS更新ユーティリティをダウンロードできます。
- ACERユーザーはサポートページでシリアル番号/SNIDを入力するか、モデル名で製品を検索し、「BIOS/Firmware」を選択して、目的のファイルのダウンロードリンクをクリックしてください。
- Lenovoユーザーは「Lenovo System Update Tool」を利用できます。
- HPユーザーは同梱の「HP Support Assistant」を利用できます。
システムのBIOSを手動で更新し終えたら、WOLの問題は解決しているはずです。
いずれかの対処法があなたの環境でも役立つことを願っています!
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