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キツネ狩り――Firefox、Pale Moon、Waterfox 徹底比較

Duran Duranの名曲「The Reflex」の歌詞をご存じだろうか。「The reflex is a lonely child…」と歌われるあの一曲だ。しかし、Firefoxは孤独な子供ではない。実際、Firefoxファミリーには多数の兄弟分が存在する。そしてFirefox 57による大幅な刷新を控えた今、「そもそもFirefoxを使うべきかどうか」という重大な岐路に立たされている。だからこそ、このシリーズに改めてスポットライトを当てる絶好のタイミングなのだ。

つまり今回は、Firefoxの兄弟たちのうち、どれが日常使いに最も適しているのかを見極めていこう。外観、互換性、そして最重要ポイントである拡張機能、セキュリティ、パフォーマンスなどが検証対象だ。読者の皆さんからのリクエストにお応えして、本日はFirefoxWaterfoxPale Moonによる三つ巴の対決をお届けする。さあ、始めよう。

始める前に……

まず断っておきたいが、これはブラウザのベンチマーク記事ではない。そもそも大半のベンチマークは、学術的すぎたり特定の条件に偏りすぎたりするため、実用上の参考価値は低い。JavaScriptの実行速度が意味を持つのは、画像中心のスワイプ型サイトに限った話で、読むべきテキストが一文でもあれば、評価はまったく別物になる。

仮にブラウザの速度を測るとしても、考慮すべき要素は山ほどある。デフォルトビルドか自前コンパイルか、32bitか64bitか、OSの種類、稼働中のサービスとシステム負荷、ハードウェア構成、ネットワークの種類と速度、回線機器の性能、地理的な場所とISP、時間帯、さらにはアクセス先サイト側の事情(サーバー負荷、CDN利用、コンテンツ形式など)まで、挙げればキリがない。

世界中の10万人規模のユーザーで1,000サイトをテストでもしない限り、ブラウザの「真の」処理速度を正確に把握することはほぼ不可能だ。だが、実はそんなことは重要ではない。大多数の人にとって大切なのは体感であり、「速い」と感じられれば、それは速いのだ。前提は以上。それでは本題へ進もう。

Firefox 56〜57(誤差±整数)

まずは本家から。以前のレビューでも述べたとおり、Firefox 57は過去53バージョンより優れた仕上がりだ。洗練された外観に、セキュリティとパフォーマンスをきちんと両立させている。内部アーキテクチャの刷新により、Chromeなどの競合に対しても速度面で対抗できる水準に達した。

補足すると、執筆時点の最新安定版であるFirefox 56に加え、Firefox 57 Beta、Firefox 58 Nightly、Firefox 57 Devも併用環境として用意した。いずれも64bit版で、Lenovo G50テストノートPC上のKubuntu 17.04 Zestyで動作させている。

WebExtensions移行後のFirefoxは、旧ビルドのような膨大な拡張資産を持たないため、プロファイルやバージョンごとに導入アドオンが異なる。標準版は必要なものが一通り揃い、あらゆる用途に対応する拡張が存在する一方、上位リリースはかなり選択肢が限られる。

パフォーマンス

ブラウザはなかなか高速で、見た目もエレガントだ。私の簡易ベンチは、別タブでYouTubeのフルHD動画を再生しながら、静的なHTMLページも表示させるというもの。アイドル時の総メモリ消費量と、動画再生・デコード中のCPU挙動を計測した。動画フォーマットによって結果は大きく変わるが、比較用にはいつもの「Megane at Spa racing」クリップを使用している。

標準版(Firefox 56)は、サブプロセス(Webフォーク2個)込みで、タブ1枚開いただけの状態で約350MBのRAMを消費し、加えて約100MBの共有メモリを使用した。YouTube再生中のCPU使用率は平均20%前後で、瞬間的に25〜27%まで跳ね上がることもあった。

一方、Firefox 57 Devビルドでは、メモリ消費は標準版とほぼ同一。劇的な違いは見られず、CPU使用率もほぼ同じ水準だった。

Pale Moon 27.5.1

こちらは興味深いプロジェクトだ。Pale Moonは「Australis以前のFirefox」を目指し、その土台の上に独自の改良を積み重ねている。かつては単に新UIを拒否することが主眼だったが、近年ははるかに発展している。現在はGeckoではなく、自前のレンダリングエンジン「Goanna」を採用し、独自の拡張機能サブセットも備えるなど、Firefox本体との分岐が進んでいる。

テストしたのはバージョン27.5.1。外観はPlasmaネイティブではなく、どちらかといえばDebian/Gnome風の標準的な見た目だ。とはいえ、タブを下部に配置できる「まともな」インターフェースをはじめ、ブラウザとして当然あるべき挙動はきちんと備えている。

拡張機能

Pale Moonはハイブリッド型の拡張モデルを採用しており、WebExtensions登場以前のMozilla系アドオンと、独自のアドオン群の両方に対応する。特に注目したのは、私がFirefoxで常用しているAdblock Plusの扱いだ。なんとこのアドオンはPale Moonではサポート対象外。既知の安定性問題を理由にブロックされており、独自の代替品を使うよう促される。政治的な事情には関心がないが、技術的な部分は気になる。

検索結果の一番上は非互換。本来の代替品はここには表示されない。

ABP自体はインストールできたものの、この仕様は厄介だ。拡張を導入できるのに後からブロックされるなら、そもそもインストールを許可する理由がない。さらに懸念なのは、標準拡張の開発が停止・消滅した場合、Pale Moonがその変化にどう対応していくのかという点だ。

結局、広告ブロッカーは確保できたものの、作業としてはあまり生産的ではなかった。UI面でも、アイコンのサイズや品質にばらつきがあり、統一感を欠いている。今回のケースではKDEへの非ネイティブ統合も違和感が残る。PlasmaユーザーはPale Moonユーザーのごく少数派で、大多数はWindows環境であり、開発の焦点もそちらにあることは理解している。それでも、気になる点は気になる。

パフォーマンス

結果は非常に興味深い。日常的な操作において、Pale MoonはFirefox 56より速く、キビキビと反応する。新規タブを開く動作などはその好例だ。新しいFirefoxは差を詰めており、Firefox 57 DevやFirefox 58 Nightlyはほぼ互角に迫る。だが、ここで疑問が浮かぶ。「古い」エンジンでも十分に高速化できるのなら、Mozillaは最初からそうしなかったのか?

メモリ面では、Firefoxと同じ条件で220MBのRAMと85MBの共有メモリを消費。Firefoxより約20〜25%少なく、これは嬉しいところだ。おそらくテレメトリ類が丸ごと削ぎ落とされているのだろう。ただし、YouTubeのHD動画再生となると、Pale Moonはやや力負けする。CPU消費は平均約30%と多く、動作もやや重く感じられた。ごく僅差の、マニアックなレベルの違いではあるが。

Waterfox 55

三銃士の三番手はWaterfoxだ。このブラウザはFirefoxと非常によく似ており、同じく「高速ビルド+ESR」のモデルに従っている。ただし、将来的にWebExtensionsへ全面移行する可能性もあり、方針が未定なのがやや気がかりだ。主な特徴は、Pale Moon同様、テレメトリやデータ収集、Pocketなど、不要とみなされる要素をことごとく排除している点だ。テスト時点では、バージョン55が公式の最新ビルドだった。

現状のWaterfox 55は、Firefox 56と同じ拡張モデルを採用しているため、アドオンの追加やカスタマイズで困ることは一切なかった。実際、普段使っているデフォルトプロファイルとそっくりに仕上げることもでき、見た目は完全に一致した。しかもプロファイル関連では、FirefoxやChromeのデータをインポートできるのも便利なポイントだ。

パフォーマンス

Firefoxと同じ拡張セットで比較すると、Waterfoxはメモリ・CPUともにやや食い方が荒い。親バージョンから1つ遅れており、その間にコード改善が積み重なっていることが原因と考えられる。テストしたブラウザ中、WaterfoxのRAM消費は最大で、約420MB。Firefoxより約20%多く、Pale Moonのほぼ2倍に相当する。共有メモリもそれぞれ50%増し、約2倍だった。理由は定かではないが、事実として記録しておく。

CPU挙動はFirefoxとPale Moonの中間で、平均約25%。全体的な操作のレスポンスも他の2つよりわずかに劣る。ブラウザエンジン改良の差が出ているのだろう。とはいえ、致命的なレベルではない。

総合パフォーマンスまとめ

3つのブラウザを並べてみると、こうなる。新版Firefoxはわずかにレスポンスが良く、これが大多数のユーザーにとって最も重要なポイントだ。技術的な数値でも速いが、そこはマニア向けの話。

Pale Moonは軽い用途には実に快適だが、高負荷時にはやや苦しくなり、その優位性をFirefox 57以降に明け渡す。差はごく僅かなパーセンテージで、一般ユーザーにはほぼ無関係だ。とはいえ、Chromeに追いつけと迫る狂気じみた競争の中にいる以上、悲しみの海を泳ぎ続けるしかない。

Waterfoxは3位。Firefox 56と同等か、わずかに下回る。ただし、1バージョン古い(55)ベースであること、以降の改善が反映されていないこと、ビルドの微妙な差異などが影響している可能性が高い。悪いというわけではなく、そういうものだ。

結論

では、どれを使うべきか?答えは「場合による」。拡張機能の完全なレパートリーを求めるならPale Moonを選べばいい。ただし、一貫性の欠如や将来の問題には目をつぶる覚悟が必要だ。加えて、見た目の完成度がやや劣るのもペナルティ。速度と今後の開発を重視するならFirefoxが最善で、最もバランスの取れた妥協点を提供している。アドオン環境が成否を分けるだろう。Waterfoxは優位点が小さすぎるため、選ぶ必然性は薄い。

私のおすすめはFirefoxだ。理想とは言い難いが、Pale Moonは問題を完全には解決しない。ノスタルジーと技術的現実を混ぜ込んでおり、それは乗り越えにくい溝だ。プロジェクトの挑戦自体は十分に敬意に値するのだが。恐らく旧式拡張は消え、新方式との互換性も失われ、ブラウザは中途半端な位置に取り残されるだろう。それでも、この小さな比較が、各ブラウザの仕組みと現在地を理解する一助になれば幸いだ。

最後に、速度の話に戻ろう。キツネ同士の対決は見届けたが、Chromeはどうなのか?その答えは続編でお届けする予定だ。人気のリクエストにお応えして、Chrome対Vivaldiの比較記事を準備中。さらに、私の小さくて限定的、かつ完全に個人的なウェブの片隅を使って、これら全ブラウザの横断比較も行う。お楽しみに。

それでは、また。

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