Googleスプレッドシートで機械学習の基礎をマスターする実践ガイド

Googleスプレッドシートはデータ分析のための強力なツールであり、実は基本的な機械学習タスクも実行できます。組み込み関数、アドオン、外部サービスとの連携を活用すれば、専門的なソフトウェアがなくても回帰分析や分類、予測といった機械学習の手法を手軽に試すことが可能です。
本記事では、売上データセットを例に、Googleスプレッドシートを使った線形回帰、トレンド分析、アドオンによる機械学習モデルの構築方法を順番に解説します。
1. 線形回帰による売上予測
線形回帰は、1つ以上の入力変数から目的変数を予測するための基本的な手法です。GoogleスプレッドシートではLINEST関数を使用することで、「販売数量」から「総売上」を予測できます。
- 入力変数となる「販売数量(Units Sold)」列と、出力変数となる「総売上(Total Sales)」列を選択します。
- 任意のセルに以下の数式を入力します。
数式:
=LINEST(G2:G71, E2:E71, TRUE, TRUE)
この数式を実行すると、販売数量と総売上に基づく一連の回帰統計量が返されます。

回帰統計量の内容:
| 値 | 説明 |
|---|---|
| 27.02405783 | 回帰直線の傾き(m) |
| -42.01697274 | 回帰直線のy切片(b) |
| 1.311552999 | 傾き(m)の標準誤差 |
| 1402.109659 | y切片(b)の標準誤差 |
| 0.861943111 | 決定係数(R²) |
| 5864.748017 | y推定値の標準誤差(SEE) |
| 424.5505753 | 自由度(df) |
| 68 | 回帰モデルのF統計量 |
| 14602531370 | 回帰平方和(SSR) |
| 2338878313 | 残差平方和(SSE) |
- 最初の値「27.02405783」が傾き(m)です。
- 2番目の値「-42.01697274」が切片(b)です。
結果の解釈: 回帰式は以下のようになります。
Total Sales = m * Units Sold + b
この式に販売数量を代入することで、将来の売上値を予測できます。

2. トレンド分析による将来の売上予測
トレンド分析とは、時系列データの中にあるパターンを見つけ出す手法です。ここでは、過去の売上データをもとに将来の売上を予測します。
折れ線グラフの挿入
- 「日付」と「総売上」の列を選択します。
- メニューの[挿入] >> [グラフ] を選択し、[設定]タブから折れ線グラフを選ぶと、時間の経過に伴う売上トレンドを視覚化できます。

近似曲線(トレンドライン)の追加
- グラフをクリックし、グラフエディタを開きます。
- [カスタマイズ]タブ >> [系列] を選択し、近似曲線にチェックを入れます。
- 線の色や不透明度をお好みで調整します。
- これでグラフにトレンドラインが追加されます。

TREND関数の活用
将来の売上を数値で予測したい場合は、TREND関数が便利です。例えば、翌日の売上を予測するには以下のように記述します。
数式:
=TREND(G2:G70, E2:E70, E71)
この数式は、販売数量列の次の値(E71)に対応する総売上を予測します。

3. Simple ML for Sheetsアドオンの活用
Simple MLを使えば、販売数量や地域、製品などの特徴量から総売上を予測する回帰モデルを簡単に構築できます。売上トレンドの予測や、売上を左右する重要な要因の特定にも役立ちます。
アドオンのインストール
- メニューの[拡張機能] >> [アドオン] >> [アドオンを入手] を選択します。

- 検索バーで「Simple ML」と検索します。
- アドオンストアから選択して[インストール]をクリックします。

- 必要な権限を承認します。
Simple MLの使い方
例えば、データセットに欠損値がある場合、このアドオンを使って欠損値を予測・補完できます。
- [拡張機能] >> [Simple ML for Sheets] >> [開始] をクリックします。

- タスクペインから[Predict missing values(欠損値を予測)]を選択します。

- 欠損値を含む列(例:Total Sales)を選択し、[Predict]をクリックします。

予測された欠損値は、新しい列としてシートに追加されます。

あとは、Simple MLが提供する各種予測機能を目的に応じて自由に活用できます。
4. BigMLアドオンの導入
より本格的な機械学習を行いたい場合は、BigML for Sheetsアドオンがおすすめです。
- [拡張機能] >> [アドオン] >> [アドオンを入手] に移動します。
- 「BigML for Sheets」を検索し、[インストール]をクリックして、画面の指示に従いアドオンを承認します。
GoogleスプレッドシートとBigMLの接続
- [拡張機能] >> [BigML] >> [開始] を選択します。

- タスクペインにBigMLが表示されます。
- BigMLの認証情報でログインするか、新規アカウントを作成します。
- 使用するシートを選択し、[Send Data to BigML]をクリックします。
BigMLでのモデル作成と学習
- データがアップロードされたら、BigMLダッシュボードを開きます。
- [Sources]タブ >> [1-CLICK DATASET] を選択してデータセットを作成します。

- モデルを学習するには[LINEAR SPLIT]を選択します。データの80%が自動的に学習用として割り当てられます。

- その後、各種予測を実行できます。
- 連続値の予測(例:総売上)には線形回帰を使用します。

出力結果:

学習済みモデルを使えば、新しいデータポイントに対する予測結果を、Googleスプレッドシート上で直接取得できるようになります。
まとめ
Googleスプレッドシートは機械学習向けのツールとしては知られていませんが、初心者にとっては十分に機械学習の概念を扱える環境です。組み込み関数による線形回帰から、アドオンを使った高度な分類まで、専用ソフトウェアなしで重要なタスクを実行できます。BigMLやSimple ML for Sheetsのようなサードパーティ製アドオンを活用すれば、いくつかの手順だけで売上データから有益なインサイトを得ることが可能です。ぜひこれらのテクニックを試して、Googleスプレッドシートとより高度な機械学習ツールを組み合わせた分析に挑戦してみてください。
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