Kingsoft Office レビュー――Microsoftに挑む新感覚のオフィススイート
Kingsoft Officeは、Windows、Linux、Androidで動作する中国発のクロスプラットフォーム対応オフィススイートです。長らく「WPS Office」という名称で、主に中国市場向けに展開されてきたため、その存在を知る人は多くないかもしれません。しかし現在では「KSOffice」「KSO」のブランド名で英語対応も進められ、着実に世界中へと足を伸ばしつつあります。
筆者は、Microsoft Officeが支配する扱いにくいオフィス市場において、この製品がどれほどの価値をもたらすのかを確かめることにしました。代替ソフトウェアの中には優れたものも多いのですが、大きな課題はやはりフォーマットの互換性と、ITに詳しくない人とのファイル共有です。とはいえ、新しいものには時に思わぬ魅力があるものです。
ダウンロードとインストール
テストにはLinux Mint Nadiaを使用しました。実は、このソフトウェアを見つけるのはそれほど簡単ではありません。標準的な英語圏の検索ページでは中国語コンテンツの検索性が低いためです。公式ホームページ自体は洗練されていますが、そこからLinux版を探し出すのは一苦労でしょう。さらに、無料版とPro版が用意されており、後者には相応の価格タグが付いています。
提供されているのは、Kingsoft Office Suite 2013(バージョン9.x)と2012(バージョン8.x)の2種類です。Pro版を選ぶなら、前年のリリースの方が安価になります。本レビューでは、公開されたばかりの最新9.xを取り上げます。なお、このソフトウェアは以前、Netrunner Magazineのオフィススイート比較記事でも紹介しましたが、今回はより深く掘り下げていきます。
インストーラーをダウンロードしたら実行します。現時点で入手できるのは32bit版のDebianパッケージのみのため、テストはDebianやUbuntuなどの環境に限られるでしょう。また、SkypeやSteamの導入時と同じように、いくつかの32bitライブラリを追加インストールする必要があります。とはいえ、特別難しい作業ではありません。セットアップ時にはインターフェース言語の選択を求められます(確認ボタンに同じ言葉が二度並んでいるのが少し滑稽です)。最後にプログラムを起動すると、システムのフォント環境によっては、一部のフォントが不足しているという警告が表示されることがあります。
実際に使ってみた印象
正直に言って、Kingsoft Officeのルック&フィールは非常に上質です。動作は軽快でキビキビとしています。すっきりとしたタブ型インターフェースを採用し、ウェルカムページからオンラインテンプレートをダウンロードできる構成は、Microsoft Office 2013にも似ています。サポートセンターやフォーラムへのリンクも用意され、必要な情報を手軽に検索できます。
インターフェースは、いわゆる「リボン」を思わせるMicrosoft風のデザインで、状況に応じて変化するコンテキストメニューも備えています。リボンUIという概念自体は非効率だと感じる筆者ですが、その実装に関しては、むしろオリジナル以上に洗練されていると言わざるを得ません。
メニューには2種類あります。1つは基本機能へ素早くアクセスできる大型のドロップダウン式システムメニュー、もう1つはオプションがカテゴリ別に整理されたクラシックなメニューです。クリックする場所によって開くメニューが変わるため、多少のコツが必要ですが、どちらのスタイルも自由に選択できます。
インターフェースのカスタマイズ
さらに嬉しいのは、既定のインターフェースが気に入らない場合に簡単に変更できる点です。画面右上のシャツのようなアイコンをクリックすれば、多数のスキンを切り替え可能です。スキンマネージャーには、クラシックと2013風の外観に加え、リボンUIに近い「ongmani」、カラフルな「rainbow」などが用意されています。しかもメニューをWindows 8のようにフラット表示することもでき、カスタマイズ性はかなりのものです。
ただし、スキン変更を反映するにはプログラムの再起動が必要です。そして何より魅力的なのは、Writer・Spreadsheets・Presentationの3アプリケーションそれぞれに異なるスキンを設定できる点でしょう。
使いやすさ
全体として、3つのアプリケーションはいずれも洗練されており、非常に高い操作性を実現しています。純粋なMicrosoft風の操作感と独自要素が絶妙にブレンドされ、むしろオリジナルより一歩先を行く感覚さえあります。Microsoft製品に慣れ親しんだユーザーなら戸惑うことはまずないでしょうし、LibreOfficeユーザーにとっても違和感なく受け入れられるはずです。
ファイル形式
このオフィススイートの弱点のひとつが、対応ファイル形式の少なさです。例えばWriterで保存できるのは、ネイティブ形式、テキスト、HTML、DOCまで。DOCXやODTには対応していません。ODTが不要だとする意見もあるかもしれませんが、DOCXへの対応は必須と言えるでしょう。
まとめ
Kingsoft Officeは、従来のオフィススイートの常識からひと味違う、どこか新鮮な存在です。Microsoftに似せようとする姿勢が、逆説的に独特の個性を生み出し、ベンチマークであるオリジナルを上回る人間工学的な改善と使いやすさを実現しています。動作も高速でエレガント、カスタマイズ性も抜群です。
ただし、世界市場で本当に通用する完成度に達しているかは微妙なところです。最大の弱点はやはりファイル形式への対応不足でしょう。求める水準が高くなければ十分実用的ですが、そうでなければ物足りなく感じるはずです。細かい不具合もいくつか残っており、より快適な体験のためにはさらなる磨き込みが必要です。
総じて言えば、悪くない。むしろかなり良い出来です。他の追随者がことごとく失敗してきた道――Microsoftの独占を打破する変革を、このオフィススイートが成し遂げるかもしれません。あるいは、誰もが使うお馴染みの定番ソフト群に代わる、まともで唯一無二の選択肢として留まるのかもしれません。今後の動向に注目したいところです。
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