Excelで成績表(レポートカード)を作成する方法【無料テンプレート付き】
教育機関にとって、生徒の学習状況を報告する成績表(レポートカード)の作成は、非常に頻繁に発生する業務です。Excelには豊富な数式や機能が備わっているため、Excelで成績表を作成できれば作業が格段に効率化されます。標準的な評価用成績表を一度作成してしまえば、あとは全生徒分にコピーして使い回せるため、時間の大幅な節約にもなります。この記事では、Excelで成績表を作成する具体的な手順を詳しく解説します。
成績表テンプレートのダウンロード
以下の成績表テンプレートは無料でダウンロードしてすぐに利用できます。
マークシートと成績表(レポートカード)の違いとは?
マークシートとは、各教科ごとの生徒の成績を一覧化した文書です。つまり、学校ではマークシートを使用して、評点や所見などの学業評価を入力・記録します。さらに、年齢や住所といった生徒の基本情報をマークシートに含めておけば、成績表作成時の参照データとしても活用できます。
一方、成績表(レポートカード)は、各生徒の学業成果を総括したものです。言い換えれば、特定の評価試験における生徒一人ひとりの総合的な達成度を示す評価報告書のことです。
成績表に欠かせない4つの構成要素
学校の成績表には、生徒情報、教科別の点数、教科別の評定、クラス別の評定が含まれており、総合得点率、評定、順位なども表示されます。
1. 生徒情報
このセクションには、生徒ID、氏名、クラス、所属、学校情報、学期情報、評価基準などの基本情報が含まれます。

2. マークシート
このセクションには、全生徒・全教科分の学期別マークシートが含まれます。基本的には、生徒のIDと氏名、および各教科で取得した点数が記録されます。

3. 学期別成績表
このセクションには、個々の生徒の学期別成績表が含まれます。全生徒の各学期ごとの成績表が簡潔にまとめられています。

4. 累計成績表
このセクションには、個々の生徒の累計成績表が含まれます。これは、その生徒の全学期のマークシートをまとめた総括表です。

Excelで成績表を作成する方法
ここでは、サンプルワークブックとして、中学3年生10名分の成績表をExcelで作成しました。成績表に必要な4つの構成要素に対応する4つのワークシートを用意しています。また、生徒IDをもとに氏名や所属を自動的に表示させるためにVLOOKUP関数を使用しています。これにより、毎回氏名や所属を手入力する手間が省けます。さらに、SUM関数で合計点を計算し、IF関数を使えば、学校独自の評価基準に応じた評定も簡単に自動判定できます。

成績表作成のステップ
以下の手順に沿って、Excelで成績表を作成していきましょう。
📌 ステップ1:基本情報シートを作成する
成績表を作成する前に、生徒情報、学校情報、学期情報、評価基準などを記録したシートを用意しておくと非常に便利です。まずは、生徒ID、氏名、クラス、所属、学校名、所在地、校長名、担任名、評価基準などをまとめた「基本情報」シートを作成しましょう。

📌 ステップ2:学期別マークシートを作成する
次に、全生徒・全教科分の学期別マークシートを作成します。ここでは、生徒のIDと氏名、および各学期の各教科で取得した点数を記録します。
点数を入力したら、各教科の評定も記録する必要があります。評定を一つずつ手入力するのは大変な作業ですが、ネストされたIF関数(入れ子のIF)を使えば、評定付けを自動化できます。評定セルに以下の数式を入力してください。
=IF(E8>=90,"O",IF(E8>=80,"A+",IF(E8>=70,"A",IF(E8>=60,"B+",IF(E8>=50,"B",IF(E8>=40,"C","F"))))))

🔎 数式の仕組みを解説
- =IF(
先頭の等号(=)は数式の開始を意味します。「IF」と入力することでIF関数が有効になり、続けて3つの引数を指定する必要があります。 - =IF(E8>=90,"O",IF(
最初の引数は論理式(条件)です。ここでは、E8セルに入力された点数が90以上かどうかを判定します。
2番目の引数は、条件が真(TRUE)の場合に返す値です。学校の評価基準によれば、90点以上なら評定は「O」なので、「O」を指定します。文字列を指定する場合はダブルクォーテーション(" ")で囲む必要があります。
3番目の引数は、条件が偽(FALSE)の場合に返す値です。90点未満の場合でも、まだ複数の評定が考えられるため、単一の値を返すことはできません。そこで、評価基準に従って残りのケースを判定するためにネストされたIF関数を使用します。 - =IF(E8>=90,"O",IF(E8>=80,"A+",IF(
セルの値が90以上かどうかを判定し、偽だった場合に3番目の引数が動作します。ここでの3番目の引数は、別のIF関数として機能しています。
分解してみると、値が90以上ではなく80以上であれば、2番目のIFの論理式が真となり「A+」が返されます。90以上でも80以上でもない場合は、次の条件判定へ進みます。
80点から0点の間にも多くの評定が存在するため、評価基準がすべて満たされるまで、同様にIF関数を入れ子にしていきます。
数式を入力したら、フィルハンドルをドラッグして、他の教科のセルにも数式をコピーできます。

すると、結果は以下のようになります。

📌 ステップ3:学期別成績表を作成する
次に、成績表作成のメインとなる工程です。ステップ2で作成したマークシートをもとに、生徒一人ひとりの学期別成績表を作成します。以下の手順に注意しながら進めてください。
手順:
- 成績表の上部に、生徒ID、氏名、所属、出席状況、学期番号などの基本情報を記録します。ここで、氏名と所属は「基本情報」シートから自動取得できます。つまり、生徒ごとに氏名や所属を繰り返し入力する必要はなく、VLOOKUP関数を使えば生徒IDの入力だけで済みます。Excelが生徒IDをもとに「基本情報」シートから自動的に氏名と所属を見つけてくれます。
- 生徒IDに対応する氏名を自動表示するには、氏名を入力するセル(E7セル)をクリックし、以下の数式を入力します。
=VLOOKUP(C7,'Basic Information'!B5:D14,2)

🔎 数式の仕組みを解説
- =VLOOKUP(
先頭の等号(=)は数式の開始を意味します。「VLOOKUP」と入力することでVLOOKUP関数が有効になり、続けて4つの引数が必要になります。 - =VLOOKUP(C7,
IDに対応する生徒の氏名を検索したいので、まず検索値として生徒IDを指定します。C7セルを選択し、カンマを入力します。 - =VLOOKUP(C7,'Basic Information'!B5:D14,
次に、検索対象の範囲(テーブル配列)を指定します。氏名は「Basic Information」シートから取得するため、同シートの生徒情報全体の範囲であるB5:D14を選択します。範囲を選択したらカンマを入力します。 - =VLOOKUP(C7,'Basic Information'!B5:D14,2)
最後に、戻り値として取得したい列の位置を示す列番号を指定します。選択した範囲の中で生徒の氏名は2列目にあるため、ここでは「2」を指定します。これにより、検索値ごとに2列目の値が返されます。
結果は以下のようになります。

- 氏名の自動化が完了したら、同じ要領でクラスと所属も自動化できます。選択した範囲の中でクラスと所属は3列目にあるため、col_index_num(列番号)の引数には「3」を指定します。

- これで成績表の上部が完成しました。次に、「学期別マークシート」から該当する学期の各教科の点数を記録します。
- 点数を再度手入力するのは面倒で疲れる作業です。そこで、全生徒の学期別マークシートを参照して点数を転記しましょう。成績表で点数を記録したいセルをクリックし、数式の開始を示す等号(=)を入力します。次に、学期別マークシート内の該当教科の点数が記録されているセルをクリックし、Enterキーを押します。

この手順を繰り返すことで、すべての点数セルを学期別マークシートへの参照で正確に埋めることができます。
- 次に、各教科の評定も記録する必要があります。一つずつ手入力するのは大変なので、ステップ2で説明したネストされたIF関数を使って評定付けを自動化しましょう。
- 続いて、評定に応じた所見(コメント)を入力します。これも一件ずつ書く代わりに、VLOOKUP関数を使えば自動化できます。
- ここでの検索値は、生徒が獲得した評定です。「Basic Information」シートには、評定に対応する所見の一覧があります。評定の列から選択を開始して、評定と所見の範囲を選択します。そして、選択内容に応じて列番号を指定し、最後の引数にはFALSE(完全一致)を入力します。列の値が数値ではなく文字列であるため、完全一致を指定することで数式の信頼性と正確性が向上します。

注意:
ここで、テーブル配列を絶対参照にするためにドル記号($)を付けてください。下方向にフィルハンドルをドラッグすると、数式が下のすべてのセルに適用されます。絶対参照にしていないと、数式をドラッグした際にテーブル配列の範囲も一緒にずれてしまい、誤った結果が返されます。F4キーを押すことで、簡単に絶対参照へ切り替えられます。
- さらに、SUM関数を使えば合計点を求められます。「=SUM()」と入力し、カッコ内に合計したい点数のセル参照を指定します。すべての教科の点数セルをドラッグで選択すれば、範囲をまとめて指定できます。

- 次に、生徒の取得点数の総合得点率(パーセンテージ)を計算します。Excelの除算機能を使いましょう。まず、総合得点率を表示したいセルをクリックし、等号(=)を入力して、取得合計点を科目の満点合計で割ります。これにより、0~1のスケールで生徒の総合成績の比率が求められます。これに100を掛ければ、100点満点換算の総合得点率が算出されます。

- 最後に、この総合得点率に基づいて、評価基準に従った総合評定を求めます。ステップ2と同様にネストされたIF関数を使用すれば、総合得点率から総合評定を自動判定できます。
📌 ステップ4:累計成績表を作成する
最後に、生徒ごとの累計成績表を作成します。この成績表では、全学期のマークシートが1枚の成績表に統合されます。ここでもVLOOKUP関数を使えば、成績表の上部に各生徒の氏名、クラス、所属を自動表示できます。また、SUM関数で合計点を計算し、ネストされたIF関数で評定も算出しましょう。
押さえておきたいポイント
- VLOOKUP関数を使用する際は、この関数が垂直検索(縦方向の検索)であることを覚えておきましょう。列方向の検索のみ可能で、行方向(横方向)の検索はできません。
- もう一つの重要なポイントは、テーブル配列を選択する際、検索値の列を必ず選択範囲の先頭(1列目)にすることです。戻り値の列番号も、この並び順に基づいて指定します。
- 数値を検索する場合はrange_lookup(検索方法)引数はそれほど重要ではありませんが、文字列を検索する場合は、常に完全一致を求めるならFALSEを指定することを強くおすすめします。
まとめ
今回は、Excelで成績表を作成するための詳細な手順を段階的に解説しました。この記事で紹介した簡単なステップに従えば、誰でも効率的に成績表を作成できるはずです。本記事が皆さまのお役に立てば幸いです。ご質問やご提案があれば、お気軽にお問い合わせください。また、ExcelDemyでは、このような実用的な記事を多数公開していますので、ぜひご覧ください。
関連記事
- Excelで日次売上レポートを作成する方法(クイックステップ付き)
- Excelで月次レポートを作成する方法(クイックステップ付き)
- Excelで四半期売上を表示するレポートを作成する方法(簡単な手順)
- Excelで販売管理用MISレポートを作成する方法(簡単な手順)
- Excelで在庫エイジングレポートを作成する方法(ステップバイステップガイド)
- ExcelデータからPDFレポートを生成する方法(4つの簡単な方法)
- ExcelでMISレポートを作成する方法(2つの実例付き)
-
Excelで空白のカレンダーを作成する方法|無料テンプレート付きの完全ガイド
Excelで空白のカレンダーを手軽に作りたいとお考えなら、この記事がぴったりです。本記事では、Excelを使って空白のカレンダーを作成するための手順を、わかりやすい図解つきで段階的にご紹介します。初心者の方でも迷わず作業を進められるよう、各ステップを丁寧に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。 空白カレンダーのテンプレートをダウンロード まずは、練習用ワークブックを以下からダウンロードできます。自分で一から作るのが面倒な方は、テンプレートを活用してすぐに使い始めましょう。 Excelで空白のカレンダーを作成する手順 ここからは、Windows環境のExcelで空白のカレンダーを作成
-
テンプレート不要!Excelでカレンダーを自作する2つの簡単な方法
本チュートリアルでは、テンプレートを使用せずにExcelでカレンダーを作成する方法を解説します。日々の業務やプロジェクトには締め切りがつきものであり、自分専用のカレンダーを管理することは非常に重要です。カレンダーがあれば、作業の期限を見逃す心配が減ります。さらに、自作のExcelカレンダーは自由にカスタマイズできるため、既存のテンプレートよりも使い勝手が大きく向上します。ここでは、テンプレートに頼らずにカレンダーを作成する具体的な手順を詳しく見ていきましょう。 練習用ワークブックはこちらからダウンロードできます。 テンプレートなしでExcelカレンダーを作成する2つの簡単な例 ここでは