Facebookの感情操作実験、あなたはどう思う?【毎週のFacebook活用ヒント】
Facebookの世界からまた新たなスキャンダルが飛び込んできました。Facebookがユーザーを実験台にし、その感情まで操作していたというのです。これは事実です。
Facebookはユーザーに無料のサービスを提供しています。インターネットに詳しい人ならご存じのとおり、「無料サービスを提供している場合、ユーザーこそが商品である」ということ。今回の一件で、この言葉の意味はいっそう明白になりました。
「Facebookのデータは、世界史上最大規模のフィールドスタディだ」―― Adam Kramer(Facebookデータサイエンティスト)
実験の内容とは?
実験の詳細は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文「Experimental evidence of massive-scale emotional contagion through social networks(ソーシャルネットワークにおける大規模な感情伝播の実験的証拠)」で公開されています。読めば、彼らが何をしたのかすぐに把握できるでしょう。
要するに、Facebookのデータサイエンティストたちは、一部のユーザーのニュースフィードに表示される投稿を「ポジティブなものだけ」または「ネガティブなものだけ」に調整し、それがユーザーの気分に影響を与えるかどうかを検証したのです。手法としては、アルゴリズムをいじり、投稿テキストをデータ分析してポジティブかネガティブかを判定しただけ。科学者自身が個々の投稿を読んだわけではないため、参加者のプライバシーが直接侵害されたわけではありません。
とはいえ、実験が倫的に妥当だったとは言えません。例えば、うつ病を患っている人が1週間にわたりネガティブな投稿ばかりを目にすれば、精神状態が悪化し、深刻な事態に陥る可能性もあるでしょう。実際にそんなことが起きたとしても、私たちが知る術はないのです。
私は実験対象だったのか?
あなたもFacebookの実験に参加していたのでしょうか?そもそも気づくことすらできるでしょうか?おそらく無理でしょう。
参加者は実験への同意を求められず、事後通知も行われませんでした。つまり、自分が実験対象だったかどうかを知る方法はほぼありません。強いて言えば、「2012年のある週、自分のフィードがやけに明るかった/暗かった」という漠然とした記憶が手がかりになるくらいです。
なお、Facebookは実験対象を英語圏のユーザー、おそらく英語(米国)設定のユーザーに限定していた可能性が高いとされています。投稿の感情分析を単純化するためです。当時Facebookを英語以外の言語で使っていたなら、実験対象ではなかった可能性が高いでしょう。
あなたもすでに同意している
そもそも実験されることを望むかどうかは、本質的な問題ではありません。利用規約に同意した時点で、あなたはすでに承諾済みなのです。次の実験に完全に関わりたくないなら、唯一の方法はFacebookを使わないことです。
この実験が示す未来
こんな未来を想像してみてください。Facebookを開いて、「今日は良いニュースだけ見たい」と思ったらこう入力する——「今日のメニュー:戦争なし、政治なし、災害なし。子猫と結婚報告とUpworthyとBuzzfeedだけでお願いね、Facebookさん」
仕事で疲れた日、重いニュースから離れて休憩したいときには素晴らしい機能かもしれません。また、子どもたちに悪いニュースの緩衝材が必要だと考えるなら、若年層ユーザーのフィードをフィルタリングする理想的な手段にもなり得ます。
「興味深い離脱効果も観察された。ニュースフィードで感情的な投稿(ポジティブ・ネガティブ問わず)をあまり目にしなかった人は、その後数日間、全体的に表現力が低下した。これは『感情表現がオンライン上の社会的関与にどう影響するか』という問いにも答えるものだ」―― Facebookデータサイエンティスト
Facebookがこの実験結果を、ユーザーにもっと投稿させるための仕組みに使う可能性は十分あります(エンゲージメントこそが彼らの生命線だからです)。もし最近あまり投稿していないなら、Facebookはあなたのフィードをポジティブ寄りまたはネガティブ寄りに調整し、何か投稿したくなるよう仕向けるかもしれません。
しかし、この手法はフィードの完全な「美化」にもつながりかねません。これまで政府がSNSに求めてきた要求を考えれば、内乱などの騒乱時に政府がFacebookに対し「全ユーザーのフィードをハッピーな雰囲気に保ってくれ」と依頼するシナリオは、決して荒唐無稽ではありません。そうなれば人々は怒って街頭へ繰り出す代わりに、何時間も楽しげにFacebookを閲覧することになるでしょう。筆者は十分あり得ると考えています。
さらに、Facebookが政治関連の投稿を自動検出することも技術的には可能です。政治的な議論がフィードに届かないようにブロックしたり、最悪の場合、特定の候補に投票したくなるよう操作したりすることさえでき得ます。とはいえ、多くの人はすでに自分自身で情報のバブルを作っているため、余計な手助けは必要ないのかもしれませんが。
フィルターバブルが社会を蝕む
フィルターバブルについて少しでも知識があれば、Facebookが意図的にユーザーのフィルターバブルを操作することが社会にとってどれほど破滅的か、容易に想像できるでしょう。
「フィルターバブル」という言葉を作ったのはイーライ・パライザー氏です。彼がTEDトークで語った内容は一見の価値があります。
「編集者の第一の役割は、人々の関心と知識の地平を広げることだ。人々が欲しがっていると思うものを与えるのは簡単だが、それは満足感をもたらさない。同じものの繰り返しだからだ。優れた編集者は優れた仲人のようなものだ。まったく新しい思考のあり方を人々に紹介し、人々はそれに恋に落ちるのだ」―― イーライ・パライザー
Facebookの「心理実験部門」から身を守るには
アカウントを削除してFacebook自体を使わない限り、心理実験から完全にオプトアウトすることはできません。しかし、Facebookの干渉による悪影響を最小限に抑えることはできますし、そもそもFacebookに自分の情報を渡しすぎない工夫も可能です。
まず、「いいね!」するページや登録するライフイベントを絞り込みましょう。これにより、表示される広告の種類をコントロールできます。
次に、Facebookによるネット上のトラッキングを防ぎましょう。ブラウザ拡張機能の活用、「Facebookでログイン(Facebook Connect)」を使わないこと、Cookieをブロックする設定などが有効です。米国在住の方は、第三者経由のデータ収集をオプトアウトすることもできます。
また、言語設定を変えることで、テキスト分析型の実験対象から外れる可能性もあります。科学者が最も使いそうな言語は英語(米国)なので、言語設定を英語(英国)などに変更しておけば、少なくとも短期的には主な標的から外れるでしょう。将来的に対象が拡大しない保証はありませんが、試す価値はあります。
最後に、今回のような実験を避けたいなら、Facebookにニュースフィードのフィルタリングを任せないことです。友達リストを使ってフィードを表示したり、「トップの投稿」ではなく「最新の投稿」で表示したりしましょう(「最新の投稿」のURLをブックマークしておくのがおすすめ)。また、希望通りのフィードを得られる代替クライアントや便利なブラウザ拡張機能も多数存在します。
この実験、あなたはどう感じた?
Facebookのこの実験は、憤慨すべきものであり、恐ろしく、危険で、無責任です。しかし同時に、非常に興味深い側面もあります。あなたはこの実験にどんな反応を示しましたか?自分が実験対象だったと知ったら、どう感じますか?
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