スマートフォンはどうやってあなたの現在地を知るのか?位置情報の仕組みとプライバシー対策
自分のデバイスが位置情報を発信できることをご存じの方は多いでしょう。デバイスを紛失したり盗まれたりした場合、この機能が回収の手がかりになります。また、デバイスを持ち歩いていれば、友人や家族に今どこにいるかを知らせることもできます。アプリやウェブサイトの中にも、あなたの位置を把握するものがあります。
こうした機能にはセキュリティやプライバシー上のリスクを懸念する声がある一方で、その利便性を高く評価する人もいます。位置情報機能とどう向き合い、どう使うかを考えるうえでは、まずその仕組みを理解することが大切です。
では、モバイルデバイスはどのようにして位置を特定し、共有しているのでしょうか?
デバイスはどうやって位置を知るのか?
デバイスの位置を特定・共有する方法はいくつもあります。その多くは、デバイスが接続しているネットワークに深く関係しています。
インターネット接続
インターネットに接続できるモバイルデバイスには、IPアドレス(Internet Protocol Address)が割り当てられています。IPアドレスはインターネットサービスプロバイダ(ISP)によって付与され、実はとても簡単に特定できてしまいます。IPアドレスは「インターネット上の電話番号」のようなものだと考えてください。

IPアドレスの漏えいが心配なら、VPNを利用する、あるいはモバイルデバイスをWi-Fiに接続しないといった対策が有効です。
さらに、Wi-Fiをオフにしていても、モバイルデータ通信がオンになっていれば、デバイスは依然としてあなたの居場所を明かす可能性があります。仕組みはWi-Fi接続と似ていますが、接続を確立するのはISPではなく携帯電話会社(キャリア)であり、その過程で通信データにアクセスされる点に注意しましょう。
GPSデータ
GPSは人工衛星を使ってデバイスの位置を特定します。そのため、インターネット接続がなくてもほぼどこでも動作します。つまり、スマートフォンがWi-Fiにもモバイルデータにも接続していなくても、位置情報を発信している可能性があるのです。
GPSデータはAndroidの位置情報サービスとAppleの位置情報サービスの両方で利用されています。これらのプラットフォームのAPIを使うサードパーティ製アプリも、アプリの使用時にこの情報へアクセスできます。多くのアプリでは、起動時に個別に権限を拒否できるほか、アプリ設定からも変更可能です。デバイス自体の位置情報機能を設定からオフにすることもできます。
ただし、位置情報をオフにしていても、通信事業者はリクエストに応じてその情報を提供できる場合があります。これはデバイスの紛失・盗難時や、緊急通報時などに行われることがあります。
うっかりによる情報漏えい
ハイテク全盛の時代だからこそ、単純なことを見落としがちです。デバイスの位置情報をどれだけオフにしても、投稿した写真や共有した情報から居場所がわかってしまうことがあります。写真には撮影場所を示すメタデータ(EXIF)が含まれていることもあるため、SNSへの投稿前には確認しておきましょう。
位置情報データは良いものなのか?
セキュリティ情報を守るために極端な措置を取る人もいれば、「むしろ自分がどこにいるかをみんなに知ってほしい」という人もいます。では、位置情報データは良いものなのでしょうか、それとも避けるべきものなのでしょうか?
位置情報は味方になる
少なくとも一部のアプリに位置情報の使用を許可することには、確かなメリットがあります。すでに触れた紛失・盗難デバイスの捜索や、救急隊員・警察による緊急対応の支援以外にも、さまざまな活用シーンがあります。
Googleなどのサービスは、正確な現在地をもとに、周辺の観光スポット、交通機関、天気などの情報を提供してくれます。また、位置情報サービスを利用する際には、集約されたデータから渋滞状況や到着予想時間などを予測することにも役立てられています。
友人や家族には居場所を知らせたいけれど、それ以外の人には知られたくないという場合は、SNS経由ではなく、Googleプロフィールを通じて信頼できる相手に直接位置情報を共有するのがおすすめです。
また、Snapchatのようなジオフィルター対応アプリを使えば、特定の場所でしか使えないカスタマイズオプションが得られ、写真撮影がさらに楽しくユニークなものになります。
位置情報は敵にもなり得る
位置情報データを恐れる人は少なくありません。しかし、ほとんどの人にとって、実際に恐れるほどのことはありません。
第一に、世の中に出回っている位置情報データは膨大で、特定の個人だけを狙い撃ちするのは事実上不可能です。仮にそうでなかったとしても、AppleやGoogleの位置情報サービスは、集計データを表示する際に匿名化処理を行っています。
つまり、本当に警戒すべきは、自分でアプリに入力した位置情報や、アクセス権限を与えたアプリが扱う位置情報だということです。こうした組織は必ずしも信頼できるとは限らず、しかもこの種の位置情報は匿名化されず、個人と直接紐づけられやすいのです。
例えば、「友達」に位置情報を表示するSNSでは、会いたくない相手にも居場所が伝わってしまうことがあります。また、一部のSNSは位置情報を使ってターゲット広告を配信しており、こうした慣行に反対する人も少なくありません。
さらに、動画配信サイトなどのコンテンツプロバイダは、ジオ制限(地域制限)によって視聴できるコンテンツを場所ごとに変えています。ジオ制限は通常、VPNを使えば回避できます。
位置情報は複雑な存在
悪いニュースは、スマートフォンを家に置いていかない限り、位置情報データから逃げられないということ。そして良いニュースは、逃げる必要はないということです。
スマートフォンを家に忘れたり、インターネット接続を一切拒否したりするよりも、各アプリに与える権限をこまめに見直して管理する方が、はるかに効率的な位置情報の保護方法です。それに、位置情報がもたらすサービス――たとえばターゲット広告――は、ある人には歓迎され、別の人には嫌われるように、受け取り方は人それぞれです。
位置情報や位置共有という概念を全面的に嫌う人もいますが、どんなテクノロジーと同じように、それ自体は善でも悪でもありません。大切なのは、自分に合った形でコントロールすることです。
デバイスの位置情報とあなた
モバイルデバイスには、位置を把握して共有する方法が複数あります。どの方法が使われるかは、デバイスの種類、利用できる接続環境、そしてそれらのネットワークや位置情報データにアクセスできるアプリによって変わります。
インターネット接続、モバイルデータ接続、GPS――この3つが、デバイスがあなたの位置を知り、共有するための主要な手段です。手動でオフにできるものもありますが、デバイスが位置情報を発信しうることは、もはや日常の当たり前の事実となっています。だからこそ、権限設定を定期的に見直し、賢く付き合っていくことが何より重要です。
画像クレジット:NASA Goddard Space Flight Center/flickr
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