NVIDIA Jetson NanoとRaspberry Pi徹底比較!AI性能・スペック・価格の違いを解説
2012年の登場以来、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は小型で扱いやすく、手頃な価格のシングルボードコンピュータとして世界中で愛され続けています。低価格ながら高い拡張性を持つことから、製品開発に組み込みたいデザイナーやエンジニア、そして電子工作初心者まで、幅広い層に支持されてきました。
これまでRaspberry Piはシンプルなシングルボードコンピュータから、現在の3A+や3B+といった高性能モデルへと進化を遂げてきました。しかし、その演算能力は、NVIDIA Jetson Nanoのような最新かつ高価なボードと比べると、まだ大きな差があります。
NVIDIA Jetson Nano ― AI版ラズパイとも呼ばれる存在
2019年初頭に登場したNVIDIA Jetson Nanoは、発表当時大きな話題を呼びました。その理由は明白です。NVIDIAはAI(人工知能)や機械学習分野で長年の実績を持つ企業だからです。
同社は2015年初頭、ドローンやロボット、自動運転車向けソリューションとして、初のAI対応モジュール「Jetson TX1」を投入しました。このプロジェクトは大成功を収めましたが、599ドルという価格設定は、開発者やホビーユーザーには決して手が出やすいものではありませんでした。

そこでNVIDIAは、AI技術を活かしながらも、あらゆるユーザーが手にできる価格帯を実現する新しいボードの開発に着手しました。こうして誕生したのがJetson Nanoです。
Jetson Nanoは、Raspberry Piとほぼ同じサイズのシングルボードコンピュータで、AIと機械学習に特化している点が最大の特徴です。99ドルという開発キットでありながら、NVIDIAのAI技術とGPUの高い演算能力を活かし、シングルボードコンピューティングの可能性を大きく広げるパワフルなマシンに仕上がっています。
NVIDIA Jetson Nano vs Raspberry Pi:スペック比較
Jetson NanoとRaspberry Piはどちらも、パワーユーザーにもホビーユーザーにも魅力的な機能を備えていますが、強力なGPUとAI機能を搭載するJetson Nanoが一歩リードしています。
Raspberry Pi 3B+は、1.4GHz駆動の64ビットクアッドコアA53(ARMv8)Broadcomプロセッサ、1GBのLPDDR2 SDRAM、40ピンGPIOヘッダー、デュアルバンド(2.4GHz/5GHz)無線LAN、HDMI出力、Bluetooth 4.2をサポートしています。

一方のJetson Nanoは、機械学習を本気で追求した設計となっています。機械学習向けに最適化されたNVIDIA Maxwellアーキテクチャの128 CUDAコアGPUを搭載し、AI性能は472 GFLOPSに達します。これはRaspberry Pi 3B+の21.4 GFLOPSと比べて桁違いの数値です。
GPUを支えるのは、より高性能な64ビットクアッドコアCortex-A57 CPUと、大容量の4GB RAMです。Raspberry Pi 3B+も同じARMアーキテクチャを採用していますが、RAMはわずか1GBしかありません。そのためRaspberry Piは基本的なタスクには十分ですが、デスクトップ環境での使用では動作が重く感じられることがあります。4GBのRAMと強力なCPUを持つJetson Nanoは、負荷の高い処理やデスクトップ環境の構築により適した選択肢といえます。
映像処理能力の差は歴然
映像処理においてこそ、Jetson NanoのAI機能が真価を発揮します。オンボードのハードウェアエンコーダー・デコーダーにより4K動画の処理が可能で、複数のニューラルネットワークを並列実行して、複数の動画やセンサーデータを同時に処理できます。
最大8系統の1080p映像ストリームを同時に処理でき(複数レンズを搭載したドローンなどを想像すると分かりやすいでしょう)、機械学習アルゴリズムによる画像の検出やトラッキングも行えます。以下のチャートは、NVIDIA Jetson NanoとRaspberry Pi 3A+/3B+の性能を比較したものです。

結局どちらを選ぶべき?
上記のチャートを見れば、AI性能に関しては比較にならないほどの差があることが分かります。472 GFLOPSを誇るJetson Nanoは、最大21.5 GFLOPSの両Raspberry Piモデルの約22倍の性能を持っています。AI対応のシングルボードコンピュータをお探しなら、Jetson Nanoが間違いなく最良の選択です。
とはいえ、Raspberry Piにも多くの場面で有力な選択肢となる強みがあります。たとえば、Jetson Nanoは高性能とAI能力を持ちながら無線LANを搭載していないのに対し、両方のRaspberry PiモデルにはWi-Fiが内蔵されています。
ただし有線接続については、Raspberry Piの新型イーサネットコントローラーは最大300Mb/sのスループットにとどまる一方、Jetson Nanoは最大1000Mb/s(ギガビット)をサポートしており、こちらはJetson Nanoが優位です。
また、インターフェース面では、Jetson NanoがUSB 3.0ポートを4つ備えているのに対し、Raspberry PiはUSB 2.0ポートが4つという構成で、ここでもJetson Nanoに軍配が上がります。
では、結局どちらが良いのでしょうか? 答えは用途と優先事項次第です。AI・機械学習や映像処理を本格的に行いたいならJetson Nano、手軽さ・無線接続・豊富な情報量・コミュニティの充実度を重視するならRaspberry Piが適しています。それぞれの特徴を理解したうえで、自分のプロジェクトに合った一枚を選びましょう。
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