Excelで多次元尺度法(MDS)をマスターする|図解ステップバイステップガイド
多次元尺度法(MDS)は、ブランドや製品属性などの対象間の類似性を、2次元のグラフ(知覚マップ)上に視覚的に表現する分析手法です。多次元尺度法を活用すれば、複雑なデータをXYプロット上に集約できます。本記事では、Excelで多次元尺度法を実行する具体的な手順を図解付きで解説します。
多次元尺度法とは?
多次元尺度法(Multidimensional Scaling:MDS)は、対象物同士の類似性や非類似性を視覚的に表示するための手法です。ここでいう「対象」はさまざまなものを指し得ますが、ビジネスの分野ではブランドや製品属性などを意味することが一般的です。
政治、科学、メディアなど、どの分野であっても多次元尺度法の基本的な考え方は同じです。類似性に着目した場合、類似度の高い対象ほどグラフ上で近い位置に配置されます。さらに、多次元尺度法は、非常に多くの次元を持つデータの次元削減にも役立ちます。
Excelで多次元尺度法を実行する手順
以下の手順に沿って、Excelで多次元尺度法を実行していきましょう。
ステップ1:アンケート調査を実施し、初期データを作成する
- ここでは、6つの属性に基づいて5つのブランドに対して多次元尺度法を行うケースを想定します。
- 作業を始める前に、これらのブランドに関する顧客アンケートを実施し、評価値(1〜9)をExcelシートに入力しておきます。
- 以下に具体例を示します。

ステップ2:データを逆転させる
- このステップは任意です。評価値を10から差し引くことで、値を逆転させることができます。数式は以下のとおりです。
C7= 元の評価値

関連記事: Excelでデータを1〜10にスケーリングする方法
ステップ3:対象間の距離を求め、適切な尺度を適用する
- 次に、「スケール済みデータ比較」という新しいセクションを作成します。
- ここで、SUMXMY2関数を使用した次の数式をセルK26に入力します。
=SUMXMY2($C$16:$H$16,C17:H17)
- この数式は、ブランド1とブランド2の間の距離を返します。数式を下方向へドラッグしてコピーします。
- 同様に、セルL27には以下の数式を入力します。
=SUMXMY2($C$17:$H$17,C18:H18)
- セルM28には、以下の数式を入力します。
=SUMXMY2($C$18:$H$18,C19:H19)
- そして最後に、セルN29には以下の数式を入力します。
=SUMXMY2(C19:H19,C20:H20)

- すべて入力できたら、セルC25に移動し、以下の数式を書き込みます。
=IF(K25="","",K25*9/MAX($K$25:$O$29))
- この数式は、最大距離を基準にブランド間の距離をスケーリングします。乗数の9は必須ではなく、状況に応じて任意の数値を選んで構いません。
- 数式を下方向・右方向へドラッグして適用範囲を広げます。

- 同じ要領で、6つの属性間のスケール済み距離も求めます。対応する数式はワークブック内に用意されていますので、ぜひ確認してみてください。

ステップ4:すべての距離を一つの表にまとめる
- 次に、求めた距離をすべて、下の画像のような別の表に集約します。

ステップ5:マップの初期座標を設定し、別の場所へコピーする
- 下の画像をご覧ください。ここではいくつかの初期座標を設定しています。これらの距離はブランド1を基準としたものです。
- たとえば、ブランド2はブランド1から7.84単位離れているため、座標を(7.84, 0)と設定します。
- 他の点も同じ要領で設定していきます。
- Y座標を交互に0にすることで、データが規則的に散らばるようにしています。
- ブランド1には(0, 0)を設定しましたが、後ほどExcelソルバーで座標を修正するため、ここは任意の数値でも問題ありません。
- 最後に、これらの値をコピーします(参照セルが含まれる場合は、コピー先の領域に参照セルが残らないよう注意してください)。

ステップ6:新しい距離データを求める
- このステップでは、設定したマップの座標をもとに、ブランド間および属性間の新しい距離を算出します。距離を求めるための数式はワークブックに収録されています。

関連記事: Excelでデータのスケーリングを行う方法
ステップ7:新旧の距離にRANK.EQ関数を適用する
- 次に、RANK.EQ関数を使って、これらの距離の順位を求めます。
- セルC87に以下の数式を入力し、データテーブル全体へコピーします。
=IF(C42="","",RANK.EQ(C42,$C$42:$M$52,1))

- 同様に、新しい距離についても順位を付けます。

ステップ8:新旧の距離順位の相関を求める
- 続いて、CORREL関数を使用して、元の距離と新しく生成された距離の間の相関を求めます。
- セルG114に以下の数式を入力します。
=CORREL(C87:M97,C102:M112)

- この時点での相関は31.28%しかありません。つまり、現状の座標配置では実際の距離関係を十分に表現できていないということです。そこで次のステップ以降では、ソルバーアドインを使って相関を最大化し、最終的なマップ座標を調整していきます。
ステップ9:ソルバーアドインを有効化する
- ソルバーアドインがまだ有効になっていない場合は、このステップが必要です。
- Alt+F+Tキーを押すと、以下のウィンドウが表示されます。
- 「アドイン」セクションに移動し、「Excelアドイン」を見つけて「設定」をクリックします。

- 次に、「ソルバー アドイン」にチェックを入れて「OK」を押します。

- これでソルバーアドインが追加されました。
ステップ10:ソルバーで相関を最大化する
- 次に、「データ」タブに移動し、「ソルバー」コマンドをクリックします。

- 「ソルバー パラメーター」ダイアログボックスで、目的セルとして相関値のセル(ここではセルG114)を指定します。
- 「最大」ラジオボタンを選択します。
- 続いて、最終マップ座標(Final Map Points)の参照セルであるG57:H67を可変セルとして指定します。
- 制約条件を設定します。
- 「制約されていない変数を非負にする」にチェックを入れ、解の実行方法として「進化的(Evolutionary)」を選択します。
- その後、「解決」ボタンを押します。

- 制約を追加するには「追加」を押します。以下のウィンドウが表示されるので、適切な制約条件を設定してください。

- 計算が完了したら、ソルバーの解を保持して「OK」を押します。
- 相関値を確認してみてください。以前より大幅に高い94.84%まで向上しています。

- 次の画像は、Excelソルバーの実行後に更新された最終マップ座標です。

ステップ11:知覚マップを作成する
- 最後に、知覚マップを作成します。最終マップ座標を選択し、「挿入」タブに移動して「散布図」をクリックし、さらに「その他の散布図」を選びます。

- 次に、「XY(散布図)」カテゴリから2番目の種類を選択して「OK」を押します。

- 生成された散布図に書式設定を施せば、以下のような知覚マップが完成します。

練習用ワークブックのダウンロード
まとめ
Excelで多次元尺度法を実行するのは決して簡単な作業ではありません。このトピックについてご質問がある方は、下のコメント欄からお気軽にお寄せください。
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