WhatsAppの新プライバシーポリシーで、新しいメッセージアプリへの乗り換えを検討すべき?
2021年2月8日から、WhatsAppはすべてのユーザーに対し、新しいプライバシーポリシーと利用規約への同意を義務付けています。このポリシーには、WhatsAppによるデータの処理方法や、親会社であるFacebookとの統合が含まれています。
最も懸念されるのは、ユーザーがFacebookとデータを共有することを求められる点です。FacebookからWhatsAppへ情報が送られる場合もあります。同意しなければ、WhatsAppを使い続けることはできません。では、具体的に何が起きているのでしょうか?プライバシーについて心配すべきなのでしょうか?そして、私たちに何ができるのでしょうか?
WhatsAppの歴史を振り返る
元Yahoo!社員のブライアン・アクトンとジャン・クームがWhatsAppを創業したのは2009年のことです。インターネットベースのメッセージングを活用し、携帯キャリアの通話料やSMS料金を支払うことなく、世界中にメッセージを送れるサービスとして誕生しました。
2014年、FacebookはWhatsAppを買収し、メッセージの暗号化に向けた第一歩を踏み出します。Open Whisper Systemsと協力した結果、WhatsAppはエンドツーエンド暗号化を導入し、法執行機関やハッカー、その他の第三者がプライベートメッセージにアクセスすることを困難にしました。
しかし2017年、共同創業者のブライアン・アクトンはFacebookを退社し、非営利団体のSignal Foundationを設立します。同じ年、もう一人の共同創業者ジャン・クームも、WhatsAppのビジネスモデルにおけるデータプライバシーをめぐるFacebookとの意見の相違から退社しています。
WhatsAppのプライバシーポリシーはどう変わったのか?
2020年に史上最速となる20億ユーザーを達成してから数ヶ月後、WhatsAppはプライバシーポリシーの変更を段階的に展開し始めました。
2020年7月の初期アップデートでは、Facebookとの情報共有を拒否するオプションが30日間設けられていましたが、2021年2月のアップデートではこの選択肢はなくなりました。
このアップデートは、Facebookグループ全体でよりシームレスな体験を提供することを目的としており、個々のユーザーをより包括的に把握することで、全体的な利便性の向上を目指しています。
もちろん、多くのユーザーはそうは考えていません。
アップデートの主な変更点は、Facebookとのアカウント情報の共有です。具体的には、電話番号、取引データ、モバイルデバイス情報、IPアドレス、その他「識別された情報」などが含まれます。
さらにWhatsAppは、収集したデータがサービス向上、パーソナライズされたコンテンツの提案、Facebookシステム全体での関連広告の表示にどのように活用されるかについても明記しています。
長年にわたり、WhatsAppはビジネス向け機能の使いやすさ向上に取り組んできました。そのため、Facebook特有の広告による収益化戦略が実現するのは時間の問題だと考える人が多いのです。
では、これらの新しい利用規約は、現時点でユーザーにどのような影響を与えるのでしょうか?
プライバシーポリシーがユーザーに与える影響
新しいポリシーはユーザーにいくつかの影響を及ぼします。知っておくべきポイントを紹介します。
メッセージは引き続き暗号化される
メッセージの漏洩を心配している方に朗報です。ほとんどのメッセージは引き続き第三者の目から守られます。WhatsAppのメッセージには引き続きエンドツーエンド暗号化が適用されます。
ただし、これはWhatsApp上のビジネスアカウントに送信するメッセージには適用されません。相手企業のプライバシーポリシーによっては、第三者のサービスがあなたとのやり取りや個人情報にアクセスできる可能性があります。
WhatsAppはどんな情報を収集するのか?
WhatsAppは依然としてメッセージの内容を見ることができないため、収集されるのは主に個人情報です。これには、名前、電話番号、連絡先リスト、プロフィール写真などが含まれます(ただしこれらに限定されません)。
また、バッテリー残量、携帯電話会社、電波強度、使用デバイス、位置情報、アプリの利用状況などの診断データも取得されます。
企業がサードパーティのプロバイダーを利用してシステムを管理している場合、WhatsAppはユーザーに関する情報を共有することがあります。こうした企業に情報を渡したくない場合は、オプトアウトして、アプリ内でのやり取りをやめ、別の方法で連絡することも可能です。
Facebookはあなたのデータをどう使うのか?
Facebook Messengerとは異なり、WhatsAppは現時点では広告が表示されません。そのため、広告主はWhatsApp Business APIを通じて情報にアクセスできますが、WhatsAppの画面に広告が表示されることはないはずです。
ただし、InstagramやFacebookなど、Facebookグループ傘下の他のプラットフォームでは、個人情報に基づいたパーソナライズされたコンテンツが表示される可能性があります。
例えば、WhatsAppでレストランの予約をした場合、位置情報に基づいて、他のプラットフォームで類似の飲食体験に関する広告が表示されるかもしれません。
WhatsAppを安全に使い続けることはできる?
WhatsAppは常にセキュリティの高さを売りにしてきましたが、これまでにもセキュリティ上の脅威にさらされた経験があります。今回のプライバシーポリシーの変更は、利便性のために関連性の高い広告を受け入れるユーザーには大きな影響はありません。ユーザー間のメッセージはエンドツーエンド暗号化されているためです。
WhatsAppを使い続けたいと考えている人は、情報を制限し分散させることで、より安全に利用できます。具体的には以下のような方法があります。
- Facebookアカウントには別の電話番号を使用する
- スマートフォンの位置情報タグ付けをオフにする
- WhatsApp Businessを利用している企業とのやり取りをアプリ内で行わない
それでも、Facebook社は診断データやIPアドレスなどの情報を収集し続けることに注意が必要です。
WhatsAppの代替アプリを使うべきか?
WhatsAppによるデータ利用が心配なら、Telegram、Wire、Threema、LINEなど、他にも選択肢があります。
特に人気の高い代替アプリが、元WhatsApp共同創業者のブライアン・アクトンが開発した、オープンソースのクロスプラットフォーム型プライバシー重視アプリ「Signal」です。非営利団体として寄付によって運営されているため、ユーザーへのサービス提供のために収益化する必要がありません。
実は、WhatsAppがOpen Whisper Systemsと共に導入したエンドツーエンド暗号化は、アメリカの暗号学者でSignalのCEOであるMoxie Marlinspikeが設計したSignalプロトコルを使用しています。
WhatsAppを削除すべきか?
Facebookとのデータ統合という今回の動きは残念ですが、全く驚きではありません。過去の買収の傾向からも分かるように、Facebookは広告による収益化戦略を一貫して貫いています。
WhatsAppは一つのビジネスです。無料のメッセージング機能により、世界中の何十億ものユーザーに価値を提供しています。提供されるサービスが、利用のために差し出す情報に見合う価値があるかどうかを見極めるのは、ユーザー自身の役割なのです。
-
WhatsAppが方針転換! 新プライバシーポリシー未同意でもアカウント機能は制限されない
2021年5月上旬、Facebook(現Meta)は、5月15日までにWhatsAppの新プライバシーポリシーに同意しなかった場合、アプリの機能が徐々に低下すると発表しました。この発表は多くのユーザーに大きな衝撃を与え、「プライバシーの侵害ではないか」という批判が殺到しました。ユーザーの個人情報を親会社のFacebookとどこまで共有してよいのかという根本的な疑問が浮上したのです。 機能制限は実施せず ― WhatsAppが方針を転換 その後、Facebookは立場を一転させ、新プライバシーポリシーに同意しなくてもアカウント機能が制限されることはないと明言しました。WhatsAppの声明によ
-
Facebookの新たなプライバシー設定変更とは?Cambridge Analytica問題を受けた大規模アップデート
Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルが続く中、Facebookは最近、プライバシー設定に関する一連の変更を発表しました。今回の変更はユーザー中心に設計されており、アクセスしやすくなっているだけでなく、共有する情報やダウンロードするデータ、さらには削除したいデータについても、ユーザーが完全にコントロールできるようになっています。Facebookは近年、ユーザーのデータおよびプライバシーポリシーについて厳しい質問を受けてきました。データプライバシーと保護ポリシーにおける透明性の向上が強く求められており、同社は今回の変更を通じてその姿勢を示そうとしています