CloudflareとMailgunを使って独自ドメインのメールアドレスを無料で作る方法【初心者向けステップバイステップガイド】
ソフトウェアエンジニアなら、「info@example.com」のようなプロフェッショナルなメールアドレスを、自分のWebサイトと合わせて持ちたいと考えたことがあるでしょう。しかし、そのためには相応のコストがかかり、支払いたくないと感じる人も少なくありません。
ところが、実はこれを無料で実現する方法があるのです。しかも、プロフェッショナルなメールアドレスを無料で持てるだけでなく、日々の作業がより効率的かつ信頼性の高い、安全なものになります。
この記事では、CloudflareとMailgunを活用して独自のメールアドレスを作成・設定し、Gmailでメールを管理する方法を解説します。つまり、カスタムメールアドレス宛のメールをGmailの受信トレイで直接送受信できるようになるのです。
筆者自身も個人利用のために実際に設定を行っており、その全過程のスクリーンショットを本記事に収録しています。必要な手順をすべて共有しますので、ぜひ参考にしてください。
それでは、開始前に必要なもの、やることの全体像、そしてその仕組みについて順番に見ていきましょう。
始める前に必要なもの
すでにドメインをお持ちであると仮定します。ここでは「yourdomain.com」と呼びます。具体的には、そのドメインをCloudflareに接続し、DNSレコードを設定できる状態である必要があります。典型的な例としては、GoDaddyやNamecheapなどのドメインレジストラでドメインを取得し、レジストラ側でCloudflareが指定するDNSレコード(ネームサーバー)を設定することで、ドメインをCloudflareに追加する形です。
ドメインをCloudflareに追加するというのは、ドメインのDNSネームサーバーをCloudflareのネームサーバーに向けることを意味します。ドメインが追加されると、CloudflareはWebトラフィックの中継役として機能し、DDoS対策やファイアウォール、SSL暗号化といったセキュリティ機能に加え、キャッシュやコンテンツ最適化によるパフォーマンス向上も提供してくれます。
まだ設定が済んでいない場合は、Cloudflareの公式YouTube動画でドメインの接続方法を確認できます。
さらに、CloudflareはドメインのDNSレコードを管理するため、トラフィックのルーティングを制御でき、メールなどのサービスを確実に届けられるようになります。
本記事の作業はまさにそこに焦点を当てます。つまり、Cloudflare上でドメインのメール設定を行う方法です。
Cloudflare Email Routingは2021年から提供されているCloudflareのサービスの一つで、(現時点では少なくとも)無料で利用できます。
もう一つの前提として、Gmailアカウントを持っており、そのメール設定にアクセスできることも必要です。管理者の管理下にない通常の「youremail@gmail.com」のようなアカウントであれば、何も心配いりません。メール設定については後ほど詳しく扱います。
やることの概要
簡単に言えば、「something@yourdomain.com」のようなカスタムメールアドレスを作成し、Gmailのプラットフォームからそのアドレスでメールを送受信できるようにします。つまり、「something@yourdomain.com」宛に届いたメールをGmailで受信・閲覧し、そのカスタムアドレスからGmail経由でメールを送信できるようになります。
受信側にはCloudflare Email Routingを、送信側にはMailgunのSMTPサーバーを使用します。
仕組みの解説
Gmailで差出人を「something@yourdomain.com」に設定してメールを作成すると、Gmailは提供された認証情報を使ってMailgunのSMTPサーバー経由でメールを送信します。Mailgunはそのメッセージを処理し、DNSルックアップによって受信者のメールサーバーを特定したうえで、相手のサーバーへ転送します。
一方、「something@yourdomain.com」宛に送られたメールは、ドメインのDNS設定でMXレコードによって指定されたCloudflareのメールサーバーで受け取られます。Cloudflareは受信したメールを関連付けられたアカウントに保存し、Gmailが(IMAPまたはPOP3プロトコルを使って)定期的にCloudflareのサーバーへ接続して新着メッセージを取得することで、受信メールへシームレスにアクセスできるようになっています。
Cloudflareでのメールルーティング設定
Cloudflare Email Routingは、追加のメールボックスを管理することなく、メールアドレスを簡単に作成・運用できるように設計されたサービスです。Email Routingを使えば、新しいサービスやニュースレターに登録する際など、プライマリーメールアドレスを公開したくない場面のために、好きな数だけカスタムメールアドレスを作成できます。作成したアドレス宛のメールは、プライマリーアドレスを明かすことなく、お好みの受信トレイへ転送されます。(Cloudflare公式ドキュメントより)
Cloudflareアカウントにサインインし、ダッシュボードへ移動します。
対象のWebサイトを選択してクリックします。筆者の場合は「boolfalse.com」を選択しました。「email@boolfalse.com」のようなカスタムメールアドレスを作成したいからです。
Cloudflare:Websites一覧
選択したサイトのEmail Routing(メールルーティング)ページへ移動します。
Cloudflare:Email Routing
メールルーティングが未設定の場合は、上のスクリーンショットのような画面が表示されます。「Get started」をクリックしましょう。ここから自分のアドレスを作成して受信設定を行うことも可能です。
ただし今回は手動で設定するため、ここではアドレスを作成せずにスキップします。
Cloudflare:カスタムメールアドレスの作成
デフォルトではメールルーティングは無効になっているため、有効化が必要です。リンクをクリックしてEmail Routingページへ移動します。
Cloudflare:Email Routingページ
「Enable Email Routing」をクリックして有効化を申請します。
Cloudflare:Email Routingの有効化
ここで、3つのMXレコードと1つのTXTレコードが必要になります。
- タイプ:MX/名前:@/メールサーバー:route1.mx.cloudflare.net/TTL:Auto/優先度:69
- タイプ:MX/名前:@/メールサーバー:route2.mx.cloudflare.net/TTL:Auto/優先度:99
- タイプ:MX/名前:@/メールサーバー:route3.mx.cloudflare.net/TTL:Auto/優先度:40
- タイプ:TXT/名前:@/TTL:Auto/コンテンツ:_v=spf1 include:spf.mx.cloudflare.net ~all
これらのレコードは、Email Routingページの下部で確認できます。
Cloudflare:Email Routing用のDNSレコード
それでは、先ほど説明したように左メニューから「DNS」→「Records」へ移動し、以下のレコードを追加します。
Cloudflare:DNSレコード追加完了
レコードを作成したら、再びEmail Routingページへ戻ります。
このページには、今作成したレコードだけが存在している必要があります。他のレコードが残っている場合は削除しておきましょう。
例えば筆者の場合、不要なエントリーがすでに存在していたため、それを削除する必要がありました。
Cloudflare:既存のEmail Routingレコード
不要なレコードを削除します。
Cloudflare:不要レコードの削除
不要なDNSレコードを取り除くと、必要なレコードだけが表示されるようになります。
これで「Add records and enable」ボタンをクリックすれば、メールルーティングを有効化できます。
Cloudflare:Email Routingの有効化
有効化すると、次のような画面が表示されるはずです。
Cloudflare:メール用DNSレコードの設定完了
次にRoutesタブへ移動し、「Create address」ボタンをクリックしてメールアドレスを作成します。
Cloudflare:Email Routing(有効化後)
この例では、カスタムアドレスとして「email」を入力し、転送先となる宛先メールアドレスを指定して、「email@boolfalse.com」というメールアドレスを作成します。
Cloudflare:Email Routing
作成が完了すると、通知が表示されます。
Cloudflare:カスタムメールアドレスの作成
また、この操作を確認するためのメールも届きます。
宛先メールアドレスの確認
メールアドレスの確認(認証)を進めましょう。
メールアドレスの認証
認証が完了すると、次のようなページが表示されます。
Cloudflare:カスタムメールアドレスの認証完了
ドメインの認証に関する通知メールも届いているはずです。
カスタムメールアドレス認証完了の通知
カスタムメールアドレスでメールを受信する方法
これでメールアドレスが有効化されました。画面でも確認できます。
Cloudflare:カスタムメールアドレスがアクティブに
この時点で、設定したばかりのカスタムメールアドレス(今回の例では「email@boolfalse.com」)宛にメールを送信できます。
下記は、別のメールアドレスから送信したテストメールです。
メール受信のテスト
カスタムメールアドレス宛にテストメールが届きます。
テストメールの受信完了
Mailgun:新しいドメインの追加
これでメールの受信は問題なく行えますが、まだカスタムメールアドレスからメールを送信することはできません。
そこで、次はメール送信サービスプロバイダーの出番です。今回はMailgunを使用します。
手順としては、Mailgunに登録してカードを紐付けるだけです。カードを登録してアカウントを有効化したら、メール用のドメインを設定できます。
カードの登録について心配はいりません。Mailgunは一定量までの利用なら課金されないからです。無料枠として十分すぎるほどの容量が提供されていると思います。
料金プランの詳細は公式サイトで確認できます。
Sending→Domainsページへ移動し、「Add New Domain」ボタンをクリックします。
今回の例では「mg.boolfalse.com」とします。Mailgunでは、ルートドメイン(つまり「email@boolfalse.com」)からメールを送信できるようにするために、この形式が推奨されているからです。
下の画像の右側に、その推奨事項が表示されているのがわかります。
Mailgun:新しいドメインの作成
ドメインのリージョンやDKIMキー長も選択できますが、すべてデフォルトのままで構いません。
筆者はDKIMキー長を1024、リージョンを「US」のままにしました。
ドメインを作成すると、ドメイン認証の手順に関するヒントが表示されます。
Mailgun:新しいドメインの追加
Mailgunから、プロバイダー側に追加すべき2つのTXTレコード、2つのMXレコード、1つのCNAMEレコードが提示されます。
- タイプ:TXT/名前:mailto._domainkey.mg.boolfalse.com/TTL:Auto/コンテンツ:(Mailgunが発行する値)
- タイプ:TXT/名前:mg.boolfalse.com/TTL:Auto/コンテンツ:v=spf1 include:mailgun.org ~all
- タイプ:MX/名前:mg.boolfalse.com/メールサーバー:mxa.mailgun.org/TTL:Auto/優先度:10
- タイプ:MX/名前:mg.boolfalse.com/メールサーバー:mxb.mailgun.org/TTL:Auto/優先度:10
- タイプ:CNAME/名前:email/ターゲット:mailgun.org/TTL:Auto/プロキシステータス:On
今回は、これらをCloudflareに追加します。
まず1つ目のTXTレコードです。
Mailgun:新規ドメイン用の1つ目のTXTレコード
続いて2つ目のTXTレコードです。
Mailgun:新規ドメイン用の2つ目のTXTレコード
1つ目のMXレコードです。
Mailgun:新規ドメイン用の1つ目のMXレコード
2つ目のMXレコードです。
Mailgun:新規ドメイン用の2つ目のMXレコード
2つのTXTレコードと2つのMXレコードを追加したら、「Verify DNS Records」ボタンをクリックして検証しましょう。
Mailgun:新規ドメイン用TXT・MXレコードの検証
最後にCNAMEレコードを追加します。
Mailgun:新規ドメイン用CNAMEレコードの追加
CNAMEレコードの左側に警告アイコンが表示されることがありますが、心配いりません。公式ドキュメントには次のように記載されています。
「ドメインをCloudflareに最近追加したばかりの場合(ゾーンが保留中の状態)、この警告は無視できることが多いです。ほとんどのドメインはActive状態になると、Cloudflareが自動的にUniversal SSL証明書を発行し、SSL/TLSカバレッジが提供されて警告メッセージは消えます。」
CNAMEレコードを追加したら、2つ目の「Verify DNS Records」ボタンをクリックして再度検証します。
Mailgun:新規ドメイン用CNAMEレコードの検証
5つのレコードすべてをCloudflareに正しく追加できていれば、検証ボタンをクリックした後にMailgunが自動的にOverviewページへリダイレクトします。
Mailgun:新規ドメイン用に2つのTXT、2つのMX、1つのCNAMEレコードを追加完了
これで、Mailgunで送信用APIキーを追加する準備が整いました。
Mailgun:送信用APIキーとSMTPユーザーの作成
Sending→Domain Settingsページへ移動します。上部のSending API keysタブを選択してください。おそらくAPIキーはまだ存在しないので、新しい送信用APIキーを作成する必要があります。
右上の「Add sending key」をクリックし、ポップアップで作成するキーの名前を入力します。
Mailgun:送信用APIキーの作成
「Create sending key」を押すと、シークレットAPIキーが表示されます。これをコピーして安全な場所に保存してください。保存したらポップアップを閉じて構いません。
作成されたキーが一覧に表示されているはずです。
Mailgun:送信用APIキーの作成完了
さらに、Mailgunダッシュボードで新しいSMTPユーザーも作成する必要があります。
Sending→Domain Settingsページへ移動し、上部のSMTP credentialsタブを選択して、左上の「Add new SMTP user」ボタンをクリックします。ポップアップが開きます。
そこにユーザー情報を入力します。今回は「email」という名前のユーザーを作成しました。これはGmail上でのメールのログインIDのようなものになります。
Mailgun:SMTPユーザーの作成
SMTPユーザーを作成すると一覧に表示され、そのユーザー用のパスワードが自動的に生成されます。右下のポップアップ通知内の「Copy」ボタンをクリックして、このパスワードをコピーしましょう。
Mailgun:SMTPユーザーの作成完了
このログイン情報とパスワードは、後でGmailでの認証に必要になるため、安全な場所に保管しておいてください。
これで、メールプロバイダーとの連携設定を行う準備ができました。今回はGmailで設定を行います。
デスクトップブラウザでGmailアカウントを開き、右上の歯車アイコンから設定を開き、「すべての設定を表示」ボタンをクリックします。
Mailgun:新しいドメインの認証完了
GmailでのMailgun SMTPサーバー認証
Gmailの設定ページでアカウントとインポートタブを選択し、「名前:
Gmail:設定画面
認証用のポップアップが開きます。MailgunでSMTPユーザーを作成した際に取得したログインIDとパスワードを使用してください。認証情報は正確に入力しましょう。
Gmail:Mailgunで作成したSMTPサーバーによるユーザー認証
「アカウントを追加」ボタンをクリックしてフォームを送信します。ブラウザにユーザー名/パスワードを保存するか尋ねられるかもしれませんが、これは任意です。
そしてここで重要な最後のステップ:アカウント追加の確認を求められます。
Gmail:新規ユーザーの認証確認
確認のため、プライマリーメールアドレス宛に確認メールが送信されます。
Gmail:認証確認メール
確認コードをポップアップウィンドウに入力して認証するか、確認メール内のリンクをクリックするかのどちらでも構いません。
今回はリンクをクリックします。確認を求めるページが開くので、「Confirm」をクリックし、そのまま先ほど開いていたポップアップウィンドウは気にせず閉じてしまって大丈夫です。
Gmail:認証の確認
これで、作成したカスタムメールアドレスからのメール送受信の準備がすべて整いました。
カスタムメールアドレスからメールを送信するには、差出人としてそのアドレスを選択するだけです。
Gmail:メールの送信
以上で完成です!
さらに便利なテクニックとして、作成したカスタムメールアドレスを、Gmailからの送信時のデフォルトアドレスに設定することもできます。
設定ページの「名前:
Gmail:設定(デフォルト差出人)
このガイドが、あなたのカスタムメールアドレスをセットアップする際の良い参考になれば幸いです。
まとめ
本記事では、Cloudflare EmailとMailgunを使って独自のメールアドレスを設定し、Gmailでメールを管理する方法を学びました。
最後に一点補足しておくと、使用するツールの選択は必須ではありません。代わりに他のツールを使うことも可能ですが、基本的な考え方とロジックは同様です。
筆者のWebサイトはこちら:boolfalse.com
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