分散型アプリ(Dapps)はインターネットの未来を変えるのか?Web 3.0の可能性と始め方
2017年、Amazon Web Services(AWS)の障害により、インターネット全体の約3分の1が約5時間にわたってダウンしました。DisneyやNikeのサイトをはじめ、Slack、Twitch、Nestなどの人気サービスが動作不能または極端に遅延する事態となりました。
この一件が浮き彫りにしたのは、Amazon、Google、Microsoft、Facebook(現Meta)、Alibabaなど、ごく少数の巨大企業がインターネットの大部分を支配しているという現実です。この中央集権的な構造こそが、予期せぬ障害や悪用に対してインターネットを脆弱にしているのです。
この問題への有力な解決策として注目されているのが、インターネットそのものをクラウドソーシングで構築する「Web 3.0」の概念です。単一のサーバーに依存するのではなく、世界中のコンピュータ上でデータを保存・実行する分散型アプリケーション(Dapps)。分散型メディア(DNN、EtherTweet、Steemit)、分散型ファイル共有・ストレージ(Filecoin、MaidSafe、Sia、Storj)、さらには分散型ゲーム(CryptoKitties、Ether Dungeon)まで、「未来のインターネット」を実現するプロジェクトは今すぐ体験できます。
分散化とは何か

最もシンプルな分散型アプリの形は、P2P(Peer-to-Peer)ファイル共有、いわゆる「トレント」です。単一のサーバーからファイルをダウンロードする代わりに、ファイルを持つ他のユーザーから小さな断片を集めてダウンロードします。
最新のDappsも同じ仕組みで動作します。本来ならAmazonのサーバーに保存されるはずのデータを、多数のユーザーが保管・共有するのです。そして従来のP2Pとの決定的な違いが「ブロックチェーン」の導入です。
Dappsとブロックチェーンの関係

ブロックチェーンとは、人(またはマシン)間の取引を記録する「改ざん不可能な共有台帳」と考えるとわかりやすいでしょう。この台帳は多くのコンピュータによって検証され、変更にはネットワーク全体の合意が必要です。また、あなたの資産は秘密鍵を持たない限り誰にも動かせません。強力な暗号技術によって保護され、デバイスとインターネット接続さえあれば誰でも利用できます。
中でもEthereum(イーサリアム)は、コードとの連携を目的に設計されたブロックチェーンです。つまり、コンピュータプログラムが台帳を通じて必要なデータを安全にやり取りできるのです。「24時間後にアリスがボブに1コイン送る」というシンプルな条件から、アリスがボブのPCの余った処理能力に自動的に対価を支払うGolemのような複雑なアプリまで、幅広い用途が可能になります。
ひとことで言えば、Dappsとはブロックチェーンを介してサービスの利用者と提供者をつなぐプログラムなのです。
なぜDappsに注目すべきなのか

Dappsが期待される理由は主に次の3点です。
- より安全で信頼性の高いプライベートなインターネットへ:暗号化されたデータを多数のコンピュータに分散させることで、ハッキングされにくく、障害で利用できなくなるリスクも、悪用されるリスクも大幅に低下します。
- 単一障害点がない:理想的なDappsにはシステム全体を止める中心が存在しません。バグ、ハッカー、企業、政府のいずれによっても停止させることができません。
- 柔軟性・透明性・信頼性:伝統的なアプリよりもはるかに柔軟で、信頼不要(トラストレス)かつ透明です。分散型のオープンソースプログラムは、特定の組織が管理していないため、記述されたとおりに正確に動作することが保証されます。
注意すべきリスク
一方で、この分野はまだまさに「西部開拓時代」です。投機的なマネーの流入、経験の浅いユーザー、そして審査体制の未整備により、正当なアプリの裏には詐欺師や「ベーパーウェア」(大言壮語するだけで実現しないソフトウェア構想)が潜んでいます。
重要なのは、ブロックチェーン自体は一般的に安全でも、Dappsはそうとは限らないという点です。Dappsはブロックチェーンを利用するため中央集権型アプリより悪用されにくい傾向がありますが、その安全性は結局のところコードの質に依存します。大規模な盗難事件はすでに発生しており、今後も起こりうると考えるべきでしょう。
Dappsの始め方:5つのステップ
ステップ1:ブラウザをWeb 3.0対応にする
Braveブラウザをインストールするか、Metamask拡張機能(Chrome、Firefox、Operaに対応)を追加しましょう。これであなたのPCがDappsと通信できるようになります。

ステップ2:気になるDappsを探す
「State of the Dapps」などのポータルサイトをチェックしたり、独立系プロジェクトを調べてみましょう。

ステップ3:コミュニティで情報収集する
コミュニティフォーラムやReddit(subreddit)でユーザーガイドやヒントを探しましょう。人気のDappsの多くには活発で親切なコミュニティがあります。

ステップ4:暗号通貨を用意する
いずれ暗号通貨が必要になるでしょう。ほとんどのDappsはEthereum上で動作し、ETHは他の暗号通貨とも交換しやすいため、初心者向けの取引所でETHを入手するのがおすすめです。

ステップ5:最新情報をキャッチアップする
Dappsが動くようになったら、あとは機能に影響を与えうる変更点をフォローするだけ。ようこそ、分散型Webの世界へ!
今すぐ試せるおすすめDapps
- State of the Dapps:Dapps版「App Store」。CryptoKittiesから分散型予測プラットフォーム「Gnosis」まで、あらゆるDappsを見つけられます。
- DNN:分散型ニュースプラットフォーム。
- Steemit:分散型コンテンツ制作・キュレーション(Redditのようなサービス)。
- OpenBazaar:あらゆる商品を扱う分散型マーケット(eBayのようなサービス)。
- Decentraland:分散型仮想現実(VR)空間。
- Storj / Sia:ファイルストレージ特化の2つの暗号通貨プロジェクト。どちらも稼働中ですが、まだ「ある程度技術的知識が必要」な段階です。
まとめ
Dappsは暗号通貨エコシステムの中でも特に刺激的な領域であり、インターネットそのものの未来を形づくる可能性を秘めています。現在のところ、ほとんどのDappsはテスト段階または研究段階にありますが、既存の中央集権システムを破壊する大きなビジョンを掲げています。最終的に、Web 3.0はあなたのノートパソコンやスマートフォンの上でホストされる日が来るかもしれません。
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