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「死んだアプリ」がWindowsストアを蝕んでいる――放置アプリの危険性とMicrosoftが取るべき対策

Windows 10のアプリストアは、ユーザーを失望させてきたことで悪名高い。アプリの数は少なく、あっても質の低いものが多い。しかし、その水面下には、世界で2番目に利用されているOSのユーザーにとって、さらに深刻な問題が潜んでいる。それが「死んだアプリ(Dead Apps)」である。

死んだアプリとは、開発者によって開発が打ち切られながらも、ストアから削除されていないアプリのことだ。埃を被ったまま放置され、ユーザーをセキュリティリスクに晒し続け、Windowsアプリストアの乱雑さにさらに拍車をかけている。

デスクトップでもモバイルでも、Windowsアプリストアにはこうした死んだアプリが不釣り合いなほど多く存在する。本記事では、それがユーザーにどのような影響を与えているのか、そしてMicrosoftには何ができるのかを解説していく。

Windowsアプリストアの始まり

信じがたいことだが、当初、開発者たちはWindowsアプリストアに対して楽観的だった。むしろ期待に胸を膨らませていたと言ってもいい。

Microsoftが2012年にアプリストアを立ち上げたとき、この分野では後発組だった。しかし、それはむしろ有利に働く可能性があった。AppleやGoogleがそれぞれのアプリストアの黎明期に犯した失敗を、回避できたからだ。

Hacker Newsなどの開発者フォーラムを読んでみると、Microsoftならやり遂げられるという確かな手応えがあったことがわかる。Microsoftは開発者が数億人の消費者へアプリを販売しやすい環境を作り、開発者は大きな収益を得られるはずだった。

実際、Microsoftは売上の80%を開発者に還元するとまで公言していた。業界標準が約70%であることを考えれば、驚くべき好条件だ。

さらに開発者の関心をWindowsエコシステムに集めるため、MicrosoftはWindowsアプリの開発手法を根本的に変えた。コードを一度書けば、WindowsファミリーのすべてのOSで動かせるようにしたのである。

最初の一歩がWindows Runtime(WinRT)だった。これはクロスプラットフォームアプリへの足掛かりとなり、Windows 8およびWindows 8.1アプリの基盤となった。そしてWindows 10では、Universal Windows Platform(UWP)によってさらに前進した。

しかしその途中で事態は狂い始め、開発者たちはストアから大量離脱していった。その原因は、その「実行」にあった。

Windowsアプリストアはどこで道を誤ったのか

Windowsアプリストア最大の失敗は、消費者の行動を変えられなかったことだ。Windowsユーザーは30年以上にわたり、店頭で物理メディアを購入するか、インターネットから直接ダウンロードするか、あるいはValveのSteamやNiniteのような仲介サービスを通じて、ソフトウェアを入手してきた。

Windowsアプリストアが成功するには、Microsoftはその長年の習慣を覆さねばならなかった。しかし、それができなかったのである。

大手スタジオやプロの開発者は、ストアがあまり使われていないことを痛感していた。加えて、AppleがMac App Storeで開発者に提供するような規模のプロモーションを、Microsoftは用意できなかった。では、開発者がわざわざそこでソフトを配布する動機がどこにあるだろうか?

そもそも、Windowsストア自体の品質が低かったという問題もある。

優しく表現すれば、「低品質ソフトの溜まり場」と呼ぶしかない状態だった。ゲームの圧倒的大多数は強欲なフリーミアム系タイトルであり、いわゆるトリプルAクラスの作品ではなかった。

品質の問題はゲームにとどまらなかった。Appleの場合、低品質なアプリは洗練されたアプリの中に埋もれて目立たない。しかしWindowsストアにはそんな環境がなく、出来の悪い、設計の粗末なアプリが市場に氾濫し、かえって目立つ存在になってしまった。中には明らかな詐欺アプリすら含まれていた。

その結果、開発者は自分のソフトをストアに並べることをためらうようになった。粗悪なアプリと一緒くたに評価されるのを恐れたのだ。

こうした背景から、開発者がWindows(およびWindows Phone)アプリストアから自社製品を引き上げるという憂慮すべき傾向が生まれている。

もちろん、経済的に成り立たないプラットフォームを支援し続ける義務はないため、それは開発者の正当な権利だ。しかし、その望ましくない帰結こそが、Windows上における死んだアプリの氾濫なのである。

Windowsアプリストアと死んだアプリの実態

筆者の経験では、死んだアプリには主に2つの形態がある。

1つ目は、開発が放棄されながらも、ストアからダウンロード可能なまま残されているケースだ。削除こそされていないものの、開発者に保守する意思はない。動くかもしれないし、動かないかもしれない。万が一セキュリティやパフォーマンスの問題が発生しても……そう、諦めるしかない

Windows 10アプリストアにも具体例がある。1つは2015年にサービスを終了したAmerican Airlinesの公式アプリ。もう1つはHotel Tonightで、Windows 10およびWindows Phone向けに今もダウンロードできる状態だ。

当時Windows Phoneユーザーだった筆者は、Hotel TonightがiOS版やAndroid版との機能面で大きく差をつけられたことに、かなり早い段階で気づいていた。しかし、それが「死んだアプリ」だと確信したのは2015年末、デスクトップ版でプロモーションコードを入力しようとしたときだった。コードを入力するとエラーが表示され、最新アップデートをダウンロードするよう促された。ところが、ダウンロードできるアップデートなど存在しなかったのである。

筆者は開発元にツイートで問い合わせてみた。Twitterは、期待を裏切った企業から対応を引き出すのにうってつけの場所だ。Hotel Tonightから返信があり、Windows向けのサポートは終了したため、モバイルサイトの利用を案内された。

決して珍しい話ではない。無数のアプリが同じ運命をたどってきた。まだ触れていないのは、ストアから完全に撤去・削除されたアプリたちだ。Chase Bank、Bank of America、Pinterestといった大手も、非常に公然とWindowsアプリストアから撤退している。

「生ける屍」アプリの問題

死んだアプリに加えて、完全に死んでもいないが、生きてもいないアプリも存在する。いわば瀕死の状態にあるアプリだ。

開発者は保守しているふりをするだけ。形式的なセキュリティアップデートや安定性パッチはリリースするものの、他プラットフォームとの機能の同等性には一切関心を示さない。Windows Phoneはこの点で特に悪名高く、多くの有名アプリが生命維持装置につながれたような状態に置かれていた。

例えば、Windows Phone版Twitterアプリにはグループダイレクトメッセージ機能がなく、この機能は2015年2月に他プラットフォームへ実装されていた。また、Windows Phone版Facebookアプリはネストされた返信に対応しておらず、この機能はなんと2013年3月に登場したものだ。恥ずかしい限りである。

なぜ消費者にとって深刻な問題なのか

言うまでもなく、Windows Phoneユーザーは常に劣悪なアプリストア体験に耐えてきた。それはWindows Phoneが常にシェア3位にとどまっていたことの必然的な帰結だ。しかし、デスクトップ環境でも状況は大差ない。Windowsは文字通り「アプリを失血」し続けているのである。

最大の被害者となるのは、Webベースのサービスよりもアプリベースの体験を好むユーザーたちだ。信じてほしいが、この層は決して少なくない。

筆者の経験では、こうした傾向が強いのは年配のコンピューターユーザーだ。ブラウザで表示される内容にどこか疑念を抱く一方で、アプリにははるかに安心感を覚える。こうした人々は必要な機能にアクセスできなくなり、最終的には選択肢そのものを失ってしまう。

死んだアプリは、Microsoftのタブレット戦略にも打撃を与える。Microsoftはこの分野でAppleやGoogleと真剣に競争したいと考えている。Windows 10の根幹にあるデザイン哲学は、従来のキーボード・マウス操作とタッチ操作の妥協点を見出すことにあった。だからこそ、Windows 10は2in1デバイス環境で真価を発揮する。

しかし、タッチ操作に最適化されたアプリが存在しなければ、それは実現できない。そして、提供が終了したアプリの多くは、タッチ対応デバイスで快適に動作するModern UI(旧Metro)アプリだったのだ。

なぜセキュリティリスクになるのか

当然ながら、死んだアプリはセキュリティ面でもリスクをもたらす。MicrosoftはWindowsアプリストアのすべてのアプリをサンドボックス化し、マルウェアの検査も丁寧に行っている。しかし、古く非推奨となったライブラリを使い続けるアプリを防ぐことはできない。

例えば、ある銀行アプリが開発終了になり、その後、暗号化通信に使用していたライブラリに重大な脆弱性が発見されたとしよう。攻撃者が通信内容を傍受できる可能性が生まれる。これこそ、放置されたアプリがセキュリティリスクとなりうる一つの典型例だ。

Windowsだけの話ではないが、際立ってひどい

筆者が反Windowsの偏見を持っていると非難される前に、強調しておきたい。実はAppleも同様の問題を抱えている。アナリティクス企業Adjust(旧AdEven)の2014年の調査によれば、iOSアプリの約5分の1が「死んだ」状態とみなせるという。

あの調査から2年以上が経過した今、その数字は間違いなく増えているだろう。Google Playストアにも同程度の死んだアプリが存在すると筆者は疑っていない。

しかし、それでもなお、Windowsストアが際立ってひどいという事実は変わらない。

MicrosoftはProject AstoriaとProject Islandwoodによって状況の改善を図ろうとしていた。これら2つのツールキットは、開発者がAndroidやiOSのアプリをゼロから書き直すことなくWindowsへ移植できるようにする構想だった。Windows 10でCandy Crush Sagaをプレイしたことがあれば、Islandwoodで移植されたアプリをすでに体験していることになる。

残念ながら、これらのプロジェクトの進捗は極めて遅く、正式公開には至っていない。テックメディアの中には、Project Astoriaが永遠にリリースされないのではないかと疑問視する声さえある。

Microsoftは現状に安住しているかもしれないが、アプリストアの成功は同社の長期的な成功に直結している。Business InsiderのMatt Weinbergerも同様の指摘を行っている。

Microsoftはどう巻き返せるのか

アプリストアがこれほど悲惨なままでは、Windows 10がモバイルやタブレットの舞台で成功する姿は想像しがたい。Microsoftが巻き返すために取れる唯一の道は、一からやり直すことだ。

具体的には、現在のアプリストアを一旦閉鎖し、天文学的に高い品質基準を掲げた新しいストアを立ち上げるべきだ。提出されたすべてのアプリを人間の手で精査し、ストアにあるべきではないものが紛れ込まないようにする。

アプリが放棄され、ストアや顧客にとって有害になり始めたら、Microsoftは即座に削除すべきだ。死んだアプリは存在してはならない

また、あるアプリが他プラットフォームのバージョンに比べて機能面で遅れを取り始めた場合は、開発者に対して機能の同等性を確保するよう求める仕組みが必要だ。

さらにMicrosoftは、アプリを長期的にサポート・保守できる質の高い開発者を呼び込むための施策を強化すべきだ。その際に参考になるのが、RIM(現BlackBerry)の事例である。

BlackBerry 10のローンチに先立ち、RIMは「BlackBerry 10向けアプリをリリースすれば最低1万ドルは稼げる」と保証した。稼げなければ、RIMが自腹を切って差額を支払うという大胆な制度だった。さらに開発者には無料の端末まで提供していた。

Microsoftが同様の施策を実行すれば、開発者が誇りを持ってアプリを並べられるデジタルマーケットプレイスの構築に、大きく近づくはずだ。

読者の皆さんはどう考えるだろうか? 死んだアプリはあなたにとって問題になっているか? Windowsアプリストアは救えると思うか? ぜひコメント欄で意見を聞かせてほしい。

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