RAMをオーバークロックする方法|XMPの有効化からストレステストまで徹底解説
まず始めに、必要なのはDDR4メモリを搭載したWindows PCと、XMP(Extreme Memory Profile)に対応したマザーボードです。DDR4は現在ほとんどのパソコンに採用されている最新世代のRAMであり、XMPはオーバークロック対応マザーボードの多くが備えている機能です。
この方法は最速・最効率のオーバークロックではありませんが、安全かつシンプルで、時に難しく感じられるオーバークロックの世界へ足を踏み入れるには最適な第一歩となります。
オーバークロックによるメリットは、パソコンの使い方によって異なります。動画編集者であれば、RAMのオーバークロックが編集作業を大きく楽にすることはありません。しかし、最新のPCゲームを頻繁にプレイするなら、FPS(フレームレート)向上のために意味のある施策になり得ます。期待値は現実的に保ちましょう。
注意: オーバークロックは必ず成功するとは限りません。部品製造時の微小な不具合など、さまざまな要因によって、どれだけオーバークロックできるか、そもそも可能かどうかが左右されます。適切なマザーボードとRAMを備えていても、結果には個人差があります。また、保証が無効になる可能性もあるため、慎重に進めてください。
ステップ1:自分のPC構成情報を集める

PCに搭載されているマザーボードやRAMを調べる方法は多数ありますが、フリーソフト「CPU-Z」を使えば一括確認できて便利です。CPU-Zでは、プロセッサ、グラフィックカード、RAMの種類だけでなく、各パーツが現在どの速度で動作しているかもチェックできます。
セットアップファイルをダウンロードし、画面の指示に従ってインストールしたら、アプリを起動しましょう。Mainboardタブ(マザーボードを意味します)を開くと、マザーボードのメーカーとモデル名が表示されます。
この情報をもとに、マザーボードがExtreme Memory Profile(XMP)に対応しているかを確認できます。XMPとは、マザーボードメーカーが検証し、CPUメーカーがチューニングしたRAM設定のプリセット集のこと。これを適用すれば、安全かつ簡単にRAMをオーバークロックできます。CPUとマザーボードの組み合わせによっては、XMP以外の類似名称で呼ばれることもあります。
Googleなどの検索エンジンで、自分のマザーボード名に「XMP」を付けて検索し、対応しているか確かめましょう。フォーラムなどでの裏付けがない場合は、そのマザーボードの取扱説明書(多くはメーカーサイトで公開されています)が最良の情報源になります。
次に、CPU-ZのMemoryタブ(RAMを指します)を開き、搭載メモリの種類を確認します。特定の規格である必要はありませんが、現在市場で最も一般的なのはDDR4です。本ガイドでは、このDDR4メモリのオーバークロックに焦点を当てて解説します。
XMPへの対応状況はマザーボードごとに異なるため、有効化の手順も統一されていません。マザーボードがXMP対応だと確認できたら、あらかじめBIOSのどこにその設定項目があるのかを調べておくことをおすすめします。そうすれば、自力で探す手間が省けます。
ステップ2:BIOSを起動してXMPを有効化する

下調べが済んだら、いよいよBIOS(Basic Input Output System)から数クリックでRAMをオーバークロックできます。BIOSとは、マザーボード上に保存された軽量アプリケーションで、OSが起動する前に実行されるものです。
BIOS内では、ハードウェアの動作を直接調整できます。ファンの回転数の変更、起動ドライブの選択、オーバークロックの実行など、すべてBIOS上で行えます。
マザーボードは製品ごとに異なり、BIOSに入る方法もそれぞれ違います。どのマザーボードでも共通するのは、PCをシャットダウンして再び電源を入れ、起動直後に正しいキーを正しいタイミングで押すことでBIOSを読み込むという点です。
BIOSを起動できたら、XMPの設定項目を見つけて有効化します。設定を確実に反映させるため、必ず保存してからPCを再起動してください。
オーバークロック適用後の最初の再起動は、通常より時間がかかったり、挙動が変わったりすることがあります。画面が点滅したり、PCがビープ音を鳴らしたりする場合もありますが、1〜2分程度で収まります。
もし失敗しても、BIOSは自動的に以前の安定した設定へ戻るため、PCを壊す心配はありません。実際、現代のオーバークロックは非常に安全な作業です。マザーボードやパーツメーカーが、破損が発生する前にハードウェアが停止するよう保護機能を組み込んでいるからです。
すべてのRAMがXMPに対応しているわけではなく、また、XMP対応RAMであってもマザーボード側のXMPバージョンとの相性で動作しないケースがあります。XMPを有効化できない、または有効化しても正常に起動できない場合は諦める必要はありませんが、RAMの個別設定を自分で調整する必要があります。
ステップ3:オーバークロックをストレステストで検証する
XMPが有効になれば、RAMのオーバークロックは完了です。おめでとうございます!ただし、これはプロセスの第一歩にすぎません。オーバークロック後は、システムが安定しているかを確認するためにストレステストを実施しましょう。
RAMのストレステスト(ベンチマークとは異なります)では、専用アプリをダウンロードして実行し、RAMをデータで満杯にします。その状態でテストを継続しながらPCを監視し、クラッシュや重大な問題が発生しないことを確認します。

科学的な厳密さを求める必要はありません。プログラムによって負荷のかかり方は異なりますし、もう少しテストを続けていればクラッシュしていた可能性も常にあります。また、より高度なRAMオーバークロックでは、Windows上で動かすアプリよりも、起動前に行うストレステストの方が厳格な検証に適しています。
とはいえ、XMPによるオーバークロックは設計上控えめで安全性が高いものです。XMP有効化後は、Windows上でストレステストを実行するだけで、オーバークロックに大きな問題がないかを簡易的に判断できます。
MemTest64は、Windows上でRAMのストレステストを行える優れたフリーソフトです。テストするメモリ容量と時間、使用するCPUスレッド数などを自由に指定できます。
アプリをダウンロードして実行してください。MemTest64を初めて起動すると、「The Windows paging file might be too small(Windowsのページファイルが小さすぎる可能性があります)」というメッセージが表示されることがあります。その場合は、ページファイルのサイズを増やすことを検討しましょう。
Windowsのページファイルとは、仮想メモリの別名です。仮想メモリとは、SSDなどのストレージ上に確保され、物理RAMが満杯になった際に遅い代替RAMとして使われる領域のことです。良いストレステストは全RAMを検証するため、ページファイルは少なくとも4GB以上に設定しておきましょう。そうすれば、テスト中もWindowsが正常に動作し続けられます。
デフォルト設定のMemTest64は、全メモリを対象に、利用可能な最大CPUスレッドを使用してテストするため、プログラムとして可能な限り徹底的にシステムを検証できます。ストレステストにかけるべき時間に厳密な決まりはありませんが、目安としては丸一日〜一晩、エラー発生時に停止する設定で実行するのがおすすめです。朝起きたとき、または帰宅したときにテストがまだ問題なく動いていれば、エラーに遭遇していないことが分かります。
開いているアプリケーションをすべて終了し、バックグラウンドで動作するプログラムも閉じて、テスト期間中はPCを使用しないと決めましょう。
MemTest64を開いたら、「Run indefinitely(無期限に実行)」と「Stop on error(エラー時に停止)」にチェックを入れ、「Begin Test」をクリックします。
テストを常時監視する必要はありません。軽微な問題があればアプリが自動的にテストを停止し、ブルースクリーン(BSOD)のような重大な問題が発生すればPCが再起動され、空のデスクトップに戻るからです。
ストレステストが最後まで問題なく完了すれば、そのオーバークロックは安定しており、実用上の支障はないと考えられます。
「安定していると考えられる」としか言えないのは、ストレステストは理論上無期限に実行でき、何日・何週間もエラーなしで走らせることを求める人もいるからです。しかし、ほとんどの場合、MemTest64で丸一日のテストを通過できれば、そのオーバークロックは十分に安定しています。
RAMについて知っておきたい基礎知識
RAM(Random Access Memory/ランダムアクセスメモリ)は、あらゆるコンピュータの中核を担う重要パーツです。ストレージ(HDDなど)をコンピュータの長期記憶と考えるなら、RAMは短期記憶に相当し、今まさにPC上で行っている操作に関する情報がすべてここに保存されます。
HDDと同じようにRAMにも容量の違いがあり、CPUやGPUと同様に速度の違いや消費電力の差もあります。そしてCPUやGPUと同じく、RAMもオーバークロックが可能です。つまり、より高い性能を得るために高周波数で動かすことも、逆に省電力化のために低周波数で動かす(アンダークロック)こともできるのです。
-
Windows PCのRAM使用量を減らす8つの効果的な方法【初心者向け完全ガイド】
RAM(ランダムアクセスメモリ)は、パソコン上で動作するプロセスやサービスの処理に使われる一時的なメモリです。揮発性メモリのため、情報を恒久的に保存することはできません。PCは実行ファイルを読み込むための一時的な保存領域を必要とするため、RAMがなければパソコン自体を操作することもできません。RAMは後から増設できるハードウェアですが、本記事では新しいハードウェアにお金をかけずにRAM使用量を抑える具体的な方法を紹介します。 Windows PCでRAM使用量を減らす方法 方法1:PCを再起動する トラブルシューティングの基本となるのがデバイスの再起動です。再起動によってPCは正常な状態へ戻
-
ノートパソコンにRAMを自分で増設・交換する方法【初心者向けDIY解説】
前回の記事でRAMについて詳しく学んだ方の中には、そろそろメモリのアップグレードを検討し始めた方もいるかもしれません。RAMを更新する理由はさまざまですが、その一つが「動作が遅くなったPC」への不満です。 そう、古いPCは特にWindows 10などの比較的新しいOSと組み合わせると、動きが重くなりがちです。さらに、近年のソフトウェアはシステムリソースへの要求がどんどん高まっています。 だからこそ、システムとの互換性さえあれば、RAMのアップグレードやメモリ追加は効果的なのです。しかし、業者に依頼せず自分で作業するにはどうすればいいのでしょうか? RAMモジュールの購入にお金を使い果たしてしま