C++で行列の基底と次元を求めるプログラムの作り方
本記事では、行列の基底(basis)と次元(dimension)を求めるためのC++プログラムを紹介します。
基底と次元とは
線形代数における基底とは、ベクトル空間全体を張る線形独立なベクトルの集合のことです。そして次元とは、その基底に含まれるベクトルの個数を指します。
n個のベクトルがR^n(n次元実ベクトル空間)の基底を成すかどうかは、それらを並べてできるn次正方行列の行列式を計算すれば判定できます。行列式が0でなければベクトル群は線形独立であり、R^nの基底となります。逆に行列式が0であれば、ベクトル群は線形従属のため基底にはなりません。
アルゴリズム
このプログラムでは、determinant()関数が余因子展開を用いて行列式を再帰的に計算します。処理の流れは以下の通りです。
Begin
関数 determinant():
行列の行列式を計算する。
/*
引数:
n = 行列のサイズ(次数)
matrix[10][10] = 入力行列
*/
部分行列 submatrix[10][10] を宣言する。
// 関数の本体:
if (n == 2)
return ((matrix[0][0] * matrix[1][1]) - (matrix[1][0] * matrix[0][1]))
else
c = 0 から n-1 までの for ループを作る
submati = 0 と submatj を宣言・初期化する
i = 1 から n-1 までの for ループを作る
subj = 0 で初期化する
j = 0 から n-1 までの for ループを作る
if (j == c)
continue
submatrix[submati][submatj] = matrix[i][j] を代入する
subj をインクリメントする
submati をインクリメントする
d = d + (pow(-1, c) * matrix[0][c] * determinant(n-1, submatrix)) を計算する
End
サンプルコード
#include<iostream>
#include<math.h>
using namespace std;
double d = 0;
double determinant(int n, double matrix[10][10]) {
double submatrix[10][10];
if (n == 2)
return ((matrix[0][0] * matrix[1][1]) - (matrix[1][0] *
matrix[0][1]));
else {
for (int c = 0; c < n; c++) {
int submati = 0, submatj;
for (int i = 1; i < n; i++) {
int subj = 0;
for (int j = 0; j < n; j++) {
if (j == c)
continue;
submatrix[submati][submatj] = matrix[i][j];
subj++;
}
submati++;
}
d = d + (pow(-1, c) * matrix[0][c] * determinant(n -
1, submatrix));
}
}
return d;
}
int main(int argc, char **argv) {
cout << "要素数を入力してください:\n";
int n;
cin >> n;
double matrix[10][10];
cout << "要素を1つずつ入力してください:\n";
for (int i = 0; i < n; i++) {
for (int j = 0; j < n; j++) {
cin >> matrix[j][i];
}
}
d = determinant(n, matrix); // 関数の呼び出し
if (d != 0)
cout << "行列式が0でないため、これらの要素はR" << n << "の基底を形成します";
else
cout << "行列式が0のため、これらの要素はR" << n << "の基底を形成しません";
}
コードの解説
- determinant()関数: 余因子展開により行列式を再帰的に計算します。nが2の場合は、2×2行列の公式(ad − bc)をそのまま返します。
- 部分行列 submatrix: 注目している列を除いた小行列を作るために使用され、再帰計算のたびにサイズが1つずつ縮まっていきます。
- main()関数: 行列のサイズnと各要素を入力として受け取り、determinant()を呼び出して行列式を求めます。結果が非ゼロなら「R^nの基底を形成する」、ゼロなら「形成しない」と出力します。
実行結果1
要素数を入力してください: 3 要素を1つずつ入力してください: 7 6 1 2 3 4 5 8 9 行列式が0でないため、これらの要素はR3の基底を形成します
実行結果2
要素数を入力してください: 4 要素を1つずつ入力してください: 7 6 1 4 2 3 5 4 9 8 2 3 2 1 3 0 行列式が0のため、これらの要素はR4の基底を形成しません
まとめ
このプログラムのように、n次正方行列の行列式を求めれば、n個のベクトルがR^nの基底を成すかどうかを簡単に判定できます。行列式が非ゼロであればベクトル群は線形独立で空間の次元はnとなり、ゼロであれば線形従属のため基底にはなりません。
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