C言語におけるスタックを使った後置記法(逆ポーランド記法)の式評価を解説
スタック(Stack)は線形データ構造の一種で、データの挿入と削除が必ず一端(トップ)からのみ行われるという特徴を持ちます。この「後入れ先出し(LIFO: Last In First Out)」の性質により、式の評価や構文解析など、さまざまな場面で活用されています。
基本アルゴリズム
Push(挿入)のアルゴリズム
まず、スタックオーバーフローが発生していないかを確認します。
if (top == n-1)
printf("stack over flow");
オーバーフローしていない場合は、要素をスタックに挿入します。
top++ a[top] = item
Pop(削除)のアルゴリズム
まず、スタックアンダーフローが発生していないかを確認します。
if (top == -1)
printf("stack under flow");
アンダーフローしていない場合は、スタックから要素を取り出します。
item = a[top] top--
Display(表示)のアルゴリズム
スタックが空かどうかを確認します。
if (top == -1)
printf("stack is empty");
要素がある場合は、以下のようにスタックの中身を表示します。
for (i=0; i<top; i++)
printf("%d", a[i]);
スタックの応用:式の変換と評価
スタックは、数式の変換や評価において特に重要な役割を果たします。ここでは、C言語における式の変換について解説します。
式(Expression)とは、オペランド(被演算子)と演算子を組み合わせた、文法的に正しい表現のことです。
式の3種類
C言語では、変換や評価の対象となる式には以下の3種類があります。
- 中置記法(Infix):演算子がオペランドの間に置かれます。例:A+B
- 前置記法(Prefix):演算子がオペランドの前に置かれます。例:+AB
- 後置記法(Postfix):演算子がオペランドの後に置かれます。例:AB+
コンピュータは後置記法(逆ポーランド記法とも呼ばれます)を最も効率的に処理できるため、スタックを使った後置記法の評価が広く用いられています。
後置記法の式の評価方法
アルゴリズム
入力文字列を左から右へ走査します。各入力記号に対して、以下の処理を行います。
- 数字であれば、スタックにプッシュします。
- 演算子であれば、スタックから上位2つの値をポップし、その演算子を適用します。その後、計算結果をスタックにプッシュします。
- 入力記号が'\0'(文字列の終端)であれば、スタックを空にして処理を終了します。
評価の流れの例:「45+」の場合
- '4'は数字なのでスタックにプッシュ → スタック:[4]
- '5'は数字なのでスタックにプッシュ → スタック:[4, 5]
- '+'は演算子なので、5と4をポップして加算 → 4+5=9
- 結果の9をスタックにプッシュ → スタック:[9]
- 文字列の終端に到達したので、スタックから9を取り出して結果として出力
サンプルプログラム
以下は、後置記法の式を評価するCプログラムです。
#include<stdio.h>
int top = -1, stack[100];
main() {
char a[50], ch;
int i, op1, op2, res, x;
void push(int);
int pop();
int eval(char, int, int);
printf("enter a postfix expression:");
gets(a);
for (i = 0; a[i] != '\0'; i++) {
ch = a[i];
if (ch >= '0' && ch <= '9')
push(ch - '0'); /* 文字を数値に変換してプッシュ */
else {
op2 = pop();
op1 = pop();
res = eval(ch, op1, op2);
push(res);
}
}
x = pop();
printf("evaluated value = %d", x);
getch();
}
void push(int n) {
top++;
stack[top] = n;
}
int pop() {
int res;
res = stack[top];
top--;
return res;
}
int eval(char ch, int op1, int op2) {
switch (ch) {
case '+': return (op1 + op2);
case '-': return (op1 - op2);
case '*': return (op1 * op2);
case '/': return (op1 / op2);
}
}
なお、gets()関数はバッファオーバーフローの危険性があるため、現在では非推奨とされています。実際の開発では、fgets()やscanf()の使用を検討してください。
実行結果
上記のプログラムを実行すると、以下のような結果が得られます。
Run 1: enter a postfix expression:45+ evaluated value = 9 Run 2: enter a postfix expression: 3 5 2 * + evaluated value = 13
Run 2の「3 5 2 * +」は、中置記法でいう「3 + (5 × 2)」に相当し、計算結果は13になります。このように、スタックを使えば括弧を含む複雑な式も、後置記法に変換することで簡単かつ効率的に評価できます。
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