HTMLメールをダークモード対応にする方法 ― 知っておくべきすべてのこと
iOS 13のアップデートにより、Apple Mailにダークテーマが搭載されました。これによりApple Mailは、prefers-color-schemeというCSSメディアクエリをサポートした初の主要メールクライアントとなります。つまり、ダークテーマとライトテーマの両方に最適化されたメールデザインが可能になったのです。
私は大のダークモード好きで、まぶしいほど明るいメールは大の苦手です。iOS 13でダークモードが登場すると知り、真っ先にやったのは新しいiPhoneを注文して実際に試してみることでした。
せっかくなので、問題児のOutlookを含むほぼすべてのメールクライアントでダークモードの挙動もテストしました。以下がその結果です。
まずは基本:prefers-color-schemeとは?
prefers-color-schemeは、ユーザーがライトテーマとダークテーマのどちらを好んでいるかを検出するためのCSSメディアクエリです。これを活用すれば、両方のテーマに合わせたメールデザインを作れます。
iOS 13のアップデートにより、人気メールクライアント全体でのサポート率は2.3%から38.4%へと一気に跳ね上がりました!これはApple Mailの圧倒的なシェアによるものです。意外なことに、Apple Mail以前にこの機能をサポートしていたのはOutlookだけでした。
人気メールクライアントにおけるダークモードの挙動
メール自体を暗く表示するために、メールクライアントは裏側で自動的にメールの色を反転させています。通常の個人間メールであれば、どのクライアントでも安定してうまく機能します。
しかし、カスタムHTMLメール――つまり受信箱の大部分を占めるトランザクションメールやプロモーションメール――となると話はそう単純ではありません。
各メールクライアントのダークモードでのレンダリング処理には、以下のような違いがありました。
| メールクライアント | シェア率 | ダークUI | メールの色を自動反転 | @media (prefers-color-scheme) 対応 |
|---|---|---|---|---|
| Apple Mail iPhone + iPad | 36.1% | ✔ あり | ✔ あり | ✔ あり |
| Gmail Android 10 | 27.8% * | ✔ あり | ✔ あり | ✖ なし |
| Gmail iOS 13 | 27.8% * | ✖ なし | ✖ なし | ✖ なし |
| Gmail Webメール | 27.8% * | ✔ あり | ✖ なし | ✖ なし |
| Outlook iOS 13 | 9.1% * | ✔ あり | ✔ あり | ✖ なし |
| Outlook Android 10 | 9.1% * | ✔ あり | ✔ あり | ✖ なし |
| Outlook Windows 10 | 9.1% * | ✔ あり | ✔ あり | ✖ なし |
| Outlook macOS | 9.1% * | ✔ あり | ✔ あり | ✔ あり |
| Apple Mail macOS | 7.5% | ✔ あり | ✔ あり | ✖ なし |
| Yahoo! Webメール | 6.3% * | ✔ あり | ✖ なし | ✖ なし |
| AOL Webメール | 6.3% * | ✖ なし | ✖ なし | ✖ なし |
| Outlook.com Webメール | 2.3% | ✔ あり | ✔ あり | ✔ あり |
| Windows 10 Mail | 0.5% | ✔ あり | ✔ あり | ✖ なし |
| Zoho Mail Webメール | 0.5%未満 | ✔ あり | ✔ あり | ✖ なし |
| Mozilla Thunderbird Windows 10 | 0.5%未満 | ✔ あり | ✖ なし | ✔ あり |
| Spark macOS | 0.5%未満 | ✔ あり | ✔ あり | ✔ あり |
| Spark iOS 13 | 0.5%未満 | ✔ あり | ✔ あり | ✔ あり |
| Spark Android 9 | 0.5%未満 | ✔ あり | ✔ あり | ✔ あり |
* シェア率はプラットフォーム間で正確に区別できないため、同一メールクライアント内で共通の数値としています。出典:Litmus「2019年メールクライアント市場シェア」。
(テスト時の詳細なメモや、今後追加されるメールクライアントの最新テスト結果については、元記事をご覧ください。)
HTMLメールをダークモード対応にする方法
私はすでにこのデータを実務に活かし、Outlook関連のいくつかの課題を乗り越えながら、自社のメールをダークモード対応にしました。同じように対応するための手順を紹介します。
データが示すもの:
開かれるメールの55%以上が、ダークモード有効の環境である可能性があります。Gmailがダークモードに対応すれば、その数字は83%にまで急上昇します!
1) 配色の調整
特に注意が必要なのはApple Mailです。背景色が透明または未指定の場合にのみ色を反転し、白背景のままでは反転してくれません。メールで誰の目も眩ませないための最も簡単な方法は、背景色がきちんと指定されているかを確認することです。さらに細かくデザインをコントロールしたい場合は、ここでprefers-color-schemeが威力を発揮します。
記述例(@media prefers-color-scheme):
<style>
/* ライトモード(デフォルト)のスタイル */
body {
background: white;
color: #393939;
}
@media (prefers-color-scheme: dark) {
/* ダークモードのスタイル */
body {
background: black;
color: #ccc;
}
}
</style>
デザインのヒント:文字色に純白の#fffは避けましょう。本文テキストのコントラスト比は11.5前後が「明るすぎず暗すぎない」絶妙なバランスだと感じています。コントラスト比は https://contrast-ratio.com やChrome DevToolsで確認できます。
2) ライト用・ダーク用ロゴの切り替え
暗い背景に暗い文字はほぼ見えません。ダークモード有効のメールクライアントでロゴを表示すると、まさにこの現象が起こります。
昨今のロゴは、透明背景・カラフルなアイコン・暗い文字という構成が一般的です。問題の所在が分かりますか?メールクライアントは画像の色を反転しないため、自分で対策する必要があるのです。
対策としては、次の選択肢があります。
- ロゴを透明背景ではなく白背景で保存する(最も手軽な解決策)。ただしこの方法はおすすめしません――ダークモードユーザーは喜ばないでしょう。
- 明るいロゴを暗い背景に載せ、メールの残りの部分は白背景のままにする(Litmusの採用している手法)。
- ダークモードのメールをデフォルトにする。アプリでダークテーマしか提供していないSpotifyなどが好例です。
- ライト版とダーク版の両方のロゴを用意し、
prefers-color-schemeメディアクエリで切り替える。
私のお気に入りは最後の方法です。実装手順は以下の通りです。
ダークロゴに単純な"display: none"を指定するだけで、最新のメールクライアントでは問題なく動作します。ところが驚くことに、OutlookとWindows 10メールでは機能しません。
CSSの記述:
<style>
@media (prefers-color-scheme: dark) {
.darkLogo {
display: none !important;
}
.lightLogoWrapper,
.lightLogo {
display: block !important;
}
}
</style>
そしてHTMLの構造:
<image src="dark-logo.png" class="darkLogo" />
<!--
OutlookとWindows 10メールでライトロゴを完全に非表示にするには、
ライトロゴのimgタグをdivで囲む必要があります。
-->
<div class="lightLogoWrapper" style="mso-hide: all; display: none">
<image src="light-logo.png" class="lightLogo" style="display: none" />
</div>
この方法はかなりうまく機能しますが、それでもすべての環境で完璧に動作するわけではありません。ダークモードをサポートしつつprefers-color-schemeをサポートしないメールクライアントでは、暗い背景に暗い文字という問題が発生します。該当するのはOutlook、Windows 10メール、Zoho、そしておそらくGmailです。
そこで、ロゴを完全に堅牢にするために、上述の方法1と4を組み合わせます。方法1は、ダークモードをサポートするがprefers-color-schemeをサポートしないすべてのメールクライアントをカバーし、方法4は、両方をサポートするApple Mail、macOS版Outlook、Outlook.comをカバーします。
さらに、ロゴを白背景で保存する代わりに、背景色と同色の幅3ピクセルのボーダーを追加し、従来どおり透明背景で保存します。
(ロゴのためだけに)だいぶ複雑になってきましたね。まずはHTMLマークアップから見てみましょう。
<!-- デフォルトのロゴ(背景色と同色の3pxボーダー付き) -->
<image src="dark-logo-with-background.png" class="darkLogoDefault" />
<!-- ライトテーマ用(ダークロゴ):
Apple Mail、macOS版Outlook、Outlook.com向け -->
<div class="darkLogoWrapper" style="mso-hide: all; display: none">
<image src="dark-logo.png" class="darkLogo" style="display: none" />
</div>
<!-- ダークテーマ用(ライトロゴ):
Apple Mail、macOS版Outlook、Outlook.com向け -->
<div class="lightLogoWrapper" style="mso-hide: all; display: none">
<image src="light-logo.png" class="lightLogo" style="display: none" />
</div>
そしてCSSのスタイル:
<style>
@media (prefers-color-scheme: light) {
.darkLogoDefault,
.lightLogo {
display: none !important;
}
.darkLogoWrapper,
.darkLogo {
display: block !important;
}
}
@media (prefers-color-scheme: dark) {
.darkLogoDefault,
.darkLogo {
display: none !important;
}
.lightLogoWrapper,
.lightLogo {
display: block !important;
}
}
</style>
Gmailにもダークモードがやってくる
Android 10の登場によりダークモードが標準搭載され、Gmailもついに完全にダークになるはずです。必要なのはAndroid 10と最新版のGmail(バージョン2019.09.01.268168002以降)だけです。ただしGoogleは新機能(今回はダークテーマ)をサーバーサイドのプッシュで段階的に有効化する傾向があり、執筆時点では私の環境ではまだ有効になっていませんでした。
Gmailが@media prefers-color-schemeをサポートするのかどうかも気になるところです。各所の情報を見る限り、あまり有望ではなさそうです。結論を待つしかなさそうです。Gmailでダークテーマが有効になり次第、本記事を更新します。
まとめ
HTMLメールにもダークモードの時代が到来しました。個人的には大歓迎です!とはいえ、レイアウトにHTMLテーブルを使わなければならない苦労に加えて、また新たな懸念事項が増えたのも事実です。
メールのダークモードに関する最新情報は、メーリングリストへの登録でお受け取りいただけます。SaaS製品Sidemailの開発・成長の過程で得た知見や直面した課題も、そこで随時共有しています。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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