PC自作にかかる費用はいくら?コストを正確に見積もる方法を徹底解説
「PCを自作すると、いったいいくらかかるのか?」——この質問への答えは、単純に一つの数字を書き込むほど簡単なものではありません。
PCの組み立てにはさまざまな要素がコストに関わってきますが、この記事を読み終える頃には、あなたも自作PCの費用を見積もるプロになっているはずです。
まずは何はともあれ「予算」を決める
予算が少額であっても潤沢であっても、PC自作の第一歩は総予算をしっかりと固めることです。使える金額が明確になれば、各パーツにどれだけ振り分けるかを判断できるようになります。
ただし、その前に注意しておきたい点があります。ここで扱うのはPC本体のみの予算だということです。つまり、キーボード、マウス、モニター、スピーカーといった周辺機器は含まれません。
用途を明確にする
最も重要なのは、「そのPCを何に使うのか」を決めることです。日常的な汎用マシンと、本格的なゲーミングPCやプロ向けワークステーションとでは、求められる構成がまったく違います。
オフィス作業専用のマシンかもしれませんし、4K動画の編集が必要なかもしれません。自分にとって最も負荷の高い使い方をじっくり考え、それを基準にパーツを選びましょう。
時間をかけて段階的に組み立てる
ウィッシュリストにあるパーツをすべて一度に購入する必要はありません。たとえば、マザーボードにメモリスロットが4つあるなら、今は2つだけメモリを搭載し、余裕が出てきた時点で残りの2つを増設すればよいのです。
スロットが2つのマザーボードでも同じことは可能ですが、DDRメモリは性能を最大限に引き出すため同型2枚1組での搭載が推奨されます。また、M.2 SSDスロットが複数ある場合は、まず容量の小さい安価なSSDで始めて、後から増設するのも有効です。
できる限り、すでにお金をかけたパーツを買い替えなくても済むアップグレードの道を残しておきましょう。
CPUに内蔵GPUがあるなら、専用グラフィックボードの購入は資金が貯まるまで先送りできます。良質なCPUを選べば、内蔵GPUでも日常用途には十分で、ライトなゲームやカジュアルゲームなら快適に遊べます。
まずPCの「骨格」となる部分を組み立てて動くシステムを作り、残りのパーツは後から追加していく。このように費用を分散させる必要がないなら一括購入の方が良いですが、選択肢として知っておくことは非常に大切です。
古いPCのパーツを再利用する
古いPCを売却や譲渡予定の場合、一部の優秀なパーツは手元に残しておくのも手です。旧システムにまだ使えるSSD、まともなGPU、互換性のあるRAMなどがあれば、新規システムのコスト削減に大きく貢献します。
古いPCを丸ごと一台として売る必要はありません。実は、パーツ単位でバラ売りした方が高く売れることが多いのです。
電源ユニットは世代が新しくなるほど消費電力が下がる傾向があるため、古い電源でも新しい構成には十分使える場合があります。また、旧PCをオフィス用マシン、HTPC(ホームシアターPC)、家庭内NASとして転用するなら、独立型GPUは不要です。
まだ使えるパーツはすべて再利用し、新マシンに合わない部分は売却や転用することで、新PCのコストを大幅に抑えられます。
中古パーツも検討する
執筆時点では、半導体不足によりGPUなどの特定パーツの価格が天井知らずに跳ね上がっています。仮にこの混乱が収まった後にこの記事を読んでいるとしても(無事で何よりです!)、中古パーツの活用は依然として有力な選択肢です。
CPU、RAM、SSDといった可動部品を持たない固体デバイスは、基本的に「動くか動かないか」の二択なので、中古でも比較的安全な買い物と言えます。動作確認さえできれば、問題なく使える可能性が高いでしょう。
中古HDD(机械式ハードディスク)購入時の注意点
一方、機械式ハードディスクはリスクが伴います。また、中古GPUを買う場合は、ファンや水冷ポンプは消耗品なので冷却系の交換が必要になることもあります。
最安値は個人間取引で見つかることが多いものの、トラブルが起きても頼れる窓口がないのが難点です。
多くの業者は「開封品(オープンボックス)」を中程度の割引で、「整備済み品(リファービッシュ)」を大幅な割引で販売しています。どちらの場合も保証があるため、不良品を返品できるのが大きなメリットです。
OSのコストも忘れずに
パーツからPCを組み立てる場合、OSは価格に含まれていません。そのため、OSの費用も予算に織り込む必要があります。ただし、Windows専用アプリを使う予定がないなら、Linuxを選ぶという手もあります。Ubuntu Linuxは最も人気のあるデスクトップ向けLinuxディストリビューションなので、入門に最適です。
古いPCをシステムごとではなくパーツとして売却するなら、Microsoft Windowsのライセンスを新しいマシンに移行できるケースが多く、新規購入の手間と費用を省けます。なお、後述の構成例にはいずれもOS代は含まれていないので、必要に応じて自分で加算してください。
実際にPCを「組んで」みよう
さまざまなタイプのPCがどのくらいの価格帯になるのか感覚をつかんでもらうため、PC Part Pickerを使って架空のPCをいくつか「組み立て」てみましょう(もちろん、そのまま購入することも可能です)。PC Part Pickerは、これから自作に挑戦する人にとって最高のツールの一つです。最安値の小売店からパーツを調達でき、選んだパーツ同士の互換性も自動チェックしてくれます。さらに、コミュニティ投稿された完成構成をそのまま注文したり、自分のニーズや予算に合わせて修正したりすることもできます。
まずゲーム以外の用途の構成例をいくつか見て、その後にエントリー・ミドル・ハイエンドのゲーミング構成を見ていきます。
ゲーミング以外のPC構成例
仕事用としてゲーム以外のPCが必要な方は、このセクションに注目してください。
エントリーレベルの汎用PC(500ドル前後)
現代のコンピュータで、日常の生産性作業をこなせないほど非力なマシンは、最安モデルでもまず考えられません。ここ数年(それ以上前でも)製造されたPCなら、ウェブブラウジングからオフィススイート作業、動画視聴までこなせる時代です。その程度の用途なら、タブレットにマウスとキーボードを組み合わせれば十分間に合います。
したがって、ここでの目標は高性能マシンを作ることではなく、「キビキビと快適に使えるマシン」を作ることです。
今回組み上げたエントリーレベル構成はこちら:
- Ryzen 5 5600G(Vegaグラフィックス内蔵の6コアCPU)
- Gigabyte B450 AORUS Pro WIFI マザーボード
- Adata XPG Z1 16GB DDR4 メモリキット
- Western Digital Green 240GB M.2 SSD
- Metallic Gear Neo Silent ATX ミドルタワーケース
- EVGA W3 450W 80+ 電源ユニット
この構成なら、一般的な作業はすべてこなせます。1080pまたは720p解像度で、低〜中設定のゲームもプレイ可能です。
もう少し節約したいなら、RAMを8GBに減らし、より安価な内蔵グラフィックス搭載AMD CPUに変更してもよいでしょう。今回は5600Gを選びましたが、これはより安価なAMD CPUでは、わずかな価格差に見合うだけの性能低下の正当化ができなかったためです。
代替案の提案
こうした自作も立派な選択肢ですが、真のエントリーレベルであるオフィス用PCや学生用PCとしては、500ドル未満のノートパソコンを購入する方が賢明です。OSと周辺機器が最初から付属しています。Amazonなどで販売されている整備済みオフィスPC(Dell Optiplexのリファービッシュ品など)も検討の価値があります。
新品のデスクトップが欲しいなら、エントリーモデルをBTOで買っても損はありません。エントリーレベルのシステムを自作しても、目に見える節約効果はほとんど得られないからです。
ミドルグレードの業務・クリエイティブPC(1500ドル前後)
本格的な業務が必要な方や、ハイエンド機を組めるようになるまでのつなぎとして良いシステムを求めるクリエイティブ系フリーランスの方には、このクラスが絶好の出発点です。しかも、RGBライティングのようなゲーマー向け機能にお金をかける必要はありません。
狙うのは、予算の許す限り多くのコア数、可能なら32GBのRAM、高速なメインストレージ、大容量サブストレージ、そしてミドルクラスのGPUです。今回のミドルグレード構成はこちら:
- Intel i5-12600KF(10コア)+ Cooler Master Hyper 212 クーラー
- Asus Prime Z690-P WIFI D4 マザーボード
- Crucial Ballistix 32GB DDR4-3200 キット
- Samsung EVO 980 Pro 1TB SSD
- Western Digital Blue 6TB 機械式ハードディスク
- Asus GeForce RTX 3050 8GB GPU
- Gigabyte C200 Glass ミドルタワーケース
- Seasonic S12III 500W 電源ユニット
このPCには、動画編集、3Dモデリング、データ分析など、ほとんどのプロフェッショナルな作業を処理するだけの馬力があります。バランスの取れたパーツ構成の中で、特に主役となっているのはマザーボードです。Z690チップセット搭載ということで、拡張性が非常に高いのです。
M.2スロット×3、SATAポート×4、2.5Gbps Ethernetポート×2、WiFi 6、Bluetooth 5.2、ケース次第で最大15ポートの各種USB、そして豊富なPCIeスロットを備えています。総消費電力にさえ気を配れば、将来の拡張やアップグレードも非常に容易です。
Alder Lake世代のCore i5 CPUは、この価格帯では前例のないマルチコア性能を発揮し、ゲーム用途でも申し分ない性能を持っています。高性能コアと高効率コアのハイブリッド構成により、どんなワークロードにも最適な性能と静音性のバランスを自動的に提供します。
RTX 3050は30シリーズのエントリーモデルGPUです。ゲーム性能はそこそこですが、動画編集のアクセラレーション、CADモデルのリアルタイムプレビュー描画、内蔵MLアクセラレータによる機械学習処理などには優れた働きをします。
ゲーミングPC構成例
続いて、異なる予算帯に対応しながら快適なフレームレートを実現する、3つのゲーミングPC構成を紹介します。
エントリーレベル ゲーミング(500ドル未満)
この構成は私たちのオリジナルではなく、執筆時点でPC Part Pickerに掲載されていた人気の予算重視ゲーミング構成です。オンラインコミュニティの英知には敵わないので、そのままご紹介します。
- AMD Ryzen 5 5600G(Vegaグラフィックス内蔵の6コアCPU)
- ASRock B550M-HDV マザーボード
- Team Vulcan Z 16GB DDR4-3600 キット
- Crucial BX500 480GB SSD
- Cougar MX330-G Air ATX ミドルタワーケース
- SeaSonic S12III 500W 電源ユニット
この構成はeスポーツタイトルに最適で、1080p高設定の旧作や、新作でも低〜中設定なら快適に遊べます。PS5やXbox Series Xとほぼ同等の価格ながら性能は及びませんが、後日まともなGPUを追加すれば、十分に渡り合えるポテンシャルを秘めています。追加候補としては、Nvidia GTX 1660 Tiをおすすめします。
すべてのゲーミングPCにおいてエアフローは重要です。予算帯のMX330-G Airは、前面と背面にたっぷりファンを搭載しているため、過熱やサーマルスロットリングの心配がありません。
ミドルレンジ ゲーミング(1500〜2000ドル)
ここがPCゲーミングの「おいしいところ」。コンソール機を完全に置き去りにできる、PCゲーミングの上位領域です。ただし、このスペックを活かせるゲーミングモニターの価格も忘れずに計上しましょう。今回のミドルレンジ構成はこちら:
- Intel Core i7-12700F
- Gigabyte Z690 GAMING X マザーボード
- G.Skill DDR4-4400 32GB キット
- Samsung 980 Pro 2TB NVMe SSD
- Asus RTX 3060 Ti LHR GPU
- SeaSonic S12III 500W 80+ Bronze認証 ATX電源
この構成は2000ドルの上限ギリギリですが、SSDを小容量に変更し、RAMを16GBに減らし、CPUをCore i5-12600KFに変えれば、簡単に予算を抑えられます。逆に予算に余裕があるなら、GPUをRTX 3070に引き上げれば、さらなるゲーム性能を手に入れられます。
このシステムこそ、本物のPCゲーミング体験です。最高峰のPCゲームを心ゆくまで楽しめる十分なパワーを備えています。
ハイエンド ゲーミング(3000〜4000ドル)
ハイエンドゲーミングシステムのスペックはこちら:
- Intel Core i9-12900KF 3.2GHz 16コア プロセッサー
- Gigabyte AORUS WATERFORCE X 280 89.18 CFM 簡易水冷CPUクーラー
- Gigabyte Z690 GAMING X DDR4 ATX LGA1700 マザーボード
- G.Skill Trident Z Royal 32GB(2×16GB)DDR4-4600 CL20 メモリ
- Samsung 980 Pro 2TB M.2-2280 NVMe SSD
- Gigabyte GeForce RTX 3080 Ti 12GB GAMING OC グラフィックカード
- Asus ROG Strix Helios ATX フルタワーケース
- SeaSonic PRIME PX 850W 80+ Platinum認証 フルモジュラーATX電源
予算上限に対して約500ドルの余裕があるこのシステムは、まさにモンスターです。ハイエンドのi9 CPUに、シリーズ最上位から2ランク下のGPUを搭載しています。このハイエンドゲーミングPCは、他の99%のPCと、コンソール機100%を置き去りにするでしょう!
これはPC界のエリートが楽しむ、愛好家(エンスージアスト)グレードのシステムです。このロケットが叩き出すFPS(フレーム毎秒)に対応できる、高リフレッシュレート対応ディスプレイとの組み合わせが必須となります。
念には念を入れて
ここで紹介した構成はあくまで理論上のものであり、コスト試算のサンプルです。パーツの互換性確認にはPC Part Pickerの互換性フィルターを利用しましたが、実際に購入する前に、各パーツの互換性を自分自身で確認する責任があります。
初めてのゲーミングPC自作は、忍耐強く事前調査をしっかり行えば、素晴らしい体験になるはずです。さあ、早速いろいろなサイトを巡ってみましょう。結局のところ、最高のゲーミングPCとは、自分で計画し、自分の手で組み上げた一台なのですから——ケーブル管理が嫌いでなければ、の話ですが!
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