PCに最適なRAMの選び方完全ガイド【2020年版】
新しいPCを自作する予定の方も、すでに持っているPCのアップグレードを検討している方も、最重要パーツのひとつがメモリ(RAM)です。搭載容量によって、マルチタスク処理の快適さ、プレイできるゲームの幅、そしてフレームレートまで大きく左右されます。
製品ページに並ぶスペック表記のどこに注目すればいいのか分からない、自分の用途にどれくらいの容量が必要なのか分からない——そんな方は、ぜひこの記事を読み進めてください。知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
このガイドは主にデスクトップPC向けに書いていますが、ノートPCにも同じ考え方が応用できます。使われるのは同じ種類のメモリで、形状が異なるだけだからです。ただしノートPCの場合、最近の機種の多くはメモリがマザーボードにはんだ付けされており、後から増設できません。購入前に必ず増設の可否を確認しましょう。
「とにかく結論だけ知りたい」という方のために要約すると、まず16GBを選び、予算に応じて3,200MHzを目安にするのがおすすめです。コンテンツ制作が仕事なら32GBに倍増させましょう。タイミング(CL値)などの細かいスペックは、ほとんどの自作ユーザーにとって体感差がほぼないため、神経質になる必要はありません。
RAM選びで押さえておきたい6つのポイント
- 16GBが最適なバランスポイント:価格変動はあるものの、16GBは大多数のユーザーにとってのスイートスポットです。ゲームはもちろん、ブラウザのタブを大量に開きっぱなしにしても余裕があり、ゲーム録画・配信、動画編集、画像編集のためのリソースも十分残せます。
- システムが対応していない高速メモリにお金を払う意味はない:メモリの動作速度はチップセットやCPUの仕様によって制限されることが多く、特にローエンドのIntel構成では顕著です。システムが最大2,666MHzまでしか対応していないなら、RGBライティングが気に入っていても4,000MHzキットを買う意味はほぼありません。その速度を活かせず、マザーボードがより低い対応速度へフォールバックしてしまう可能性があります。
- 大半のプログラムやゲームは高速化・低レイテンシ化の恩恵を受けない:物議を醸す意見だと承知の上ですが、「高速・低CLのメモリを買え」という声が多い一方で、実際に高価なメモリの恩恵を受けられるのは一部のゲームやワークロードだけというのが実情です。プロのコンテンツ制作など明確な需要があるなら最高級品を買えばよいでしょう。それ以外の人は、3,200MHzを超える速度にこだわらず、浮いた予算をストレージ増強、高性能なGPUやCPUに回す方が賢明です。
- 高速メモリが効くのは内蔵GPU使用時:ここは例外的なケースです。内蔵グラフィックスを使う場合、高速なメモリほどフレームレートが向上します。とはいえ、高速RAMにお金をかけるよりも、ミドルクラスのディスクリートGPUを導入した方が効果的かもしれません。
- ヒートスプレッダーは見た目だけ:改めて強調しますが、現在のヒートスプレッダーは機能的にはほぼ無意味です。DDR4はDDR/DDR2/DDR3世代より大幅に低い電圧で動作するため、極端なオーバークロックでもしない限り、ヒートスプレッダーは放熱ではなくデザインの要素です。そもそも本格的なオーバークロッカーは水冷や液体窒素を使います。
- RGBライティングも同様:「RGBでFPSが上がる」というネタを聞いたことがあるでしょう。あくまでネタであり、性能への影響はゼロです。テーマに合わせて見た目の気に入った製品を選ぶのも良し、予算内で最良の製品を選ぶのも良し。ライティングが性能に関与することは一切ありません。
知っておきたい基本用語
周波数(Frequency):メモリの実効速度で、単位はMHz(メガヘルツ)。すべてのPC用メモリはDDR(Double Data Rate)方式で動作するため、OS上のソフトウェアで表示される周波数がパッケージ表記の半分になることがあります。例えば3,000MHzのメモリを購入した場合、Windowsの監視ツールには1,500MHzと表示されることがあります。
タイミング(Timings):メモリの最終的な性能を示すもう一つの重要な指標です。主な項目はCL、TRCD、TRP、TRASで、クロックサイクル数で表され、第5の指標であるコマンドレート(Command Rate)は1T/2Tまたは1N/2Nと表記されます。通常は「16-18-18-36」のようにハイフン区切りの4つの数字で示され、数値が小さいほどメモリ全体のレイテンシが低下し、性能が向上します。
XMPとSPDの違い:マザーボードはSPD(Serial Presence Detect)と呼ばれるROMチップから推奨周波数とタイミングを読み取り、メモリを装着して電源を入れるだけで自動的に適切な設定を行います。XMP(eXtreme Memory Profiles)はIntelが策定した規格で、JEDEC標準速度を超える自動オーバークロックを可能にします。
デュアルチャネル:主流プラットフォームのほとんどはデュアルチャネル構成を採用しています。メモリをペアで装着すると、複数のチャネル経由でデータを送れるため、CPUとメモリ間のデータ転送が高速化します。「一本道」ではなく「2車線の幹線道路」とイメージすれば間違いありません。
クアッドチャネル:最新のHEDT(ハイエンドデスクトップ)プラットフォームの多くはクアッドチャネル構成です。メモリコントローラーのチャネル数が倍増し、マザーボードのスロットも4枚以上になるため、一度により多くのデータを転送できます。3Dモデリング、機械学習、動画編集などプロ向けアプリケーションは大量のデータを必要とするため、これは非常に重要なポイントです。
プラットフォームごとの制約
Intel:フラッグシップのZシリーズ/Xシリーズマザーボードならメモリ互換性の問題は比較的少ないものの、それ以外の帯域は話が別です。オーバークロック非対応のHシリーズ/Bシリーズチップセットでは、実質2,666MHzが上限です。この速度で狙える最良のタイミングはCAS 15程度と考えてください。
これはIntelのCore i5/i7/i9をローエンドプラットフォームで使う場合の話です。さらにi3以下のCPUでは最大周波数が2,400MHzに制限されるため、予算重視の構成なら高価な高速メモリにお金をかける必要はありません。
AMD:Ryzenプロセッサーの全3世代にはInfinity Fabricと呼ばれる技術が搭載されています。これはCPU内部のコアグループ(CCX)、メモリ、その他の接続コンポーネント間でデータをやり取りする技術です。X570プラットフォームでは、メモリ速度が3,600MHzに達するまでInfinity Fabricはメモリと同期して動作します。メモリ速度がこれを超えると、メモリコントローラーは半分の速度で動作し、Infinity Fabricは同期比率から外れます。その結果、DDR4-3733以上ではパフォーマンスが低下してしまうのです。
簡単にまとめると、Ryzen搭載PCを新規に組むなら上限は3,600MHzが目安です。それ以上の速度にかかる追加コストは、トラブルの多さを考えると見合いません。
価格帯・用途別のおすすめスペック
各価格帯のおすすめを紹介する前に、全ティア共通で安心して買えるスペックがあります。それはCorsair製16GBキットのようなDDR4-2933です。
理由は、11 × 133.333MHzというマザーボードが扱いやすい分周比で動作するためです。これは初期世代のRyzenチップのスイートスポットであり、Intelシステムにとっても優れた価格対性能ポイントです。
- エントリークラス:エントリー構成では、JEDEC標準から外れないのが賢明です。以前はDDR4-2133でしたが、近年はDDR4-2400に引き上げられています。これにより、ローエンド構成でよく使われるIntel Core i3以下のプラットフォーム制限にも引っかかりません。さらに節約したいなら、Patriot Signatureシリーズのようにヒートシンクなしの製品も検討してみましょう。
- ミドルクラス:ここからは周波数を上げられますが、プラットフォームの制約は常に念頭に置いてください。ミドルクラス構成の多くはZシリーズボードを使わないため、基本はDDR4-2666の2×8GBが目安です。ZシリーズボードやAMD Ryzen系マザーボードを使うなら、高速キットの中で互換性とコストパフォーマンスに優れたDDR4-3200の2×8GBがおすすめです。
- ハイパフォーマンス:IntelのZシリーズマザーボードや、AMD Ryzen+X570の構成なら、G.Skill Trident ZのようなDDR4-3600(CAS 16)の2×8GBキット、あるいはPatriot Memory ViperのようなDDR4-3600(CAS 17)が狙い目です。定格速度で安定稼働させやすく、コストパフォーマンスも良好です。DDR4-3733(CAS 17)の2×8GBまで挑戦することも可能ですが、Ryzenでその恩恵を受けるには細かな調整が必要になります。
- HEDT:大型CPUの領域です。ここではクアッドチャネルを活かしたいので、最低でもDDR4-2666(CAS 16)の4×8GBが必要です。これはAMD ThreadripperとIntel Xシリーズ双方の基本スペックです。Threadripper構成ならDDR4-3200(CAS 16)の4×8GBが有効で、推奨上限はDDR4-3600です。Xシリーズ構成はDDR4-3733まで攻めることもできますが、マザーボードのレビューを確認し、相性問題がないか必ずチェックしてください。
最後に:RAM選びのまとめ
現在はすべてDDR4の時代となったため、あなたのPCで動作するメモリを見つけるのはかなり簡単です。違いとして現れるのは主に、得られるパフォーマンス、支払う価格、そしてデザインの3点です。見た目の好みの製品を選び、構築するPCのティアに応じて狙うべきスペックを把握していれば、まず失敗はありません。
いかがでしたか?この記事でRAM選びの判断が少し楽になったでしょうか。コメント欄でぜひ感想をお聞かせください。TwitterやFacebookでの議論も歓迎します。
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