すぐに診断・対処できるパソコンのハードウェアトラブル10選
はじめに
パソコンの不調は、実は再起動だけで解決することが少なくありません。修理や交換を検討する前に、まずはノートパソコンやデスクトップパソコンを再起動してみてください。当店にも「修理のために持ち込んだら、再起動だけで直った」というケースが何度もありました。
再起動によってデバイスの状態がリフレッシュされ、軽微なバグが解消されることがあります。それでも問題が解決しない場合は、本格的な修理を検討しましょう。
ここでは、すぐに診断して対処できる代表的なハードウェアトラブルを10個ご紹介します。
1. キーボードのキーが反応しない

タイピング中に文字が入力されない、特定のキーやキーボード全体がまったく反応しない——これは明確なキーボード故障のサインです。基本的にはキーボード全体の交換が必要になります。
この症状を「ウイルス感染によるもの」と誤解する人が多いのですが、実際の原因のほとんどは、長年の使用で溜まったホコリやサビ、あるいはユーザー自身も気づいていない液体のこぼれ・漏れです。
また、数ヶ月間使用せずに放置したパソコンでも、涼しく乾燥した環境で保管していなければキーボードが故障することがあります。湿気・ホコリ・サビが内部に蓄積するためです。決して珍しい現象ではありません。
数個のキーだけが壊れた場合でも、キーボード全体の交換が必要になるのが一般的です。キートップが外れてしまった場合は、付け直せることもあります。ただし、摩耗して取り付けても外れてしまうような場合、単体のキーだけを交換することはできません。キーボード全体の交換が必要です。
近年のノートパソコンは、繊細な部品が多く使われているため、キーボード交換の作業自体もかなり複雑になっています。
キーボードの故障?それともマザーボード?
注意したいのは、キーボード全体が突然動かなくなった場合、実はマザーボードの故障である可能性があるという点です。
キーボード自体の故障の場合、一部のキーだけが反応しなかったり、別の文字が出力されたりする一方で、他のキーは正常に動作していることが多いものです。逆に、キーボード全体が突然完全に動かなくなった場合は、マザーボード側の問題かもしれません(ただし、キーボード故障の可能性も残ります)。
残念ながら、キーボード単体をテストできるツールはほとんどありません。確かめる方法は、「キーボードを交換してみる」という地道な手段しかないのです。
2. ノートパソコンのタッチパッドでカーソルが勝手に飛び回る

ノートパソコンでは、タッチパッドがマウスカーソル操作の主役です。タッチパッドが故障し始めると、カーソルがランダムに、不規則に飛び回るようになります。
外部マウスを接続してもカーソルが勝手に動き続けるなら、タッチパッドの故障が濃厚です。その場合はタッチパッドの交換が必要になります。
原因はキーボードの故障とよく似ています。長年の使用によるホコリ・サビ・湿気の蓄積で劣化します。液体のこぼれも非常に多い原因の一つです。タッチパッドの周囲にはわずかな隙間があり、ここから液体が浸入して下にある基板(PCB)を損傷させることがあります。
また、タッチパッドのボタンを強く押しすぎる癖があると、年月とともにダメージが蓄積して故障につながることもあります。
3. 画面の表示が乱れる・映像が歪む

画面の故障にはさまざまな形があります。最も分かりやすいのは画面の物理的なひび割れですが、映像の乱れ(縦線が入る、色のにじみなど)も代表的な症状です。
映像の乱れは、グラフィックボード(ビデオカード)の故障を示す場合もあります。外部モニターに接続して画面が正常に表示されるなら、画面自体の問題だと確認できます。
画面破損の大半はユーザー自身による物理的な原因です。落としたり、踏んでしまったり、画面の縁を持って持ち上げたりすることで発生します。特に多いのが、「キーボードの上に物を置いたまま画面を閉じてしまう」ケースです。
画面はテレビのようなものだと考えてください。普通に使えば何年ももちます。パソコンの画面も同じように長持ちするはず……壊さない限りは。
4. グラフィックボードの故障

グラフィックボード(ビデオカード)は、ディスプレイに映像を出力するための部品です。ノートパソコンの画面、外付けモニター、接続したテレビへの映像出力を担っています。
映像の乱れは、画面の故障かグラフィックボードの故障かのどちらかで起こります。
見分けるポイントがあります。グラフィックボードの故障による乱れは、縦方向の帯状のノイズ(横方向の場合もあります)として現れやすい点です。さらに、キーボードやマウスが反応しなくなったり、外部ディスプレイに接続しても映らなかったりするのも特徴的です。
修理にはグラフィックボードの交換が必要です。最近のノートパソコンの多くはグラフィック機能がマザーボードに内蔵されているため、修理が複雑になり、マザーボードごとの交換が必要になることがあります。一方、デスクトップパソコンや一部のノートパソコンでは、グラフィックボード単体を交換できます。

なぜグラフィックボードは故障するのでしょうか?一般的な寿命は2〜5年程度です。内部に溜まったホコリやサビが熱をこもりやすくし、過熱を引き起こして寿命を縮めます。ヘビーなゲームやオーバークロックも負荷をかけ、寿命を短くする要因です。
ゲームを楽しんでいる方は、数年後のグラフィックボード交換費用を見込んでおきましょう。高性能車のエンジンが基本モデルより長持ちしないのと同じで、高性能なグラフィックボードほど消耗が激しいのです。
5. ファンの異音

多くのパソコンはファンで冷却し、適切な動作温度を保っています。これにより、内部のハードウェアが過熱で損傷するのを防いでいます。
回転する部品である以上、ファンが完全に無音ということはありません。電源オンのときに小さな回転音が聞こえるのは正常です。しかし、ガタガタという異音やカチカチという音が目立ち始めたら、ファンが摩耗しているサインです。交換すれば解決できます。
過熱を放置すると、ファン交換よりもはるかに高額な修理につながることがあります。ファンの調子が悪いと気づいた時点で対処すれば、後々の出費を抑えられます。
異音の原因も、やはり内部のサビとホコリの蓄積です。扇風機と同じように、パソコンのファンにも小型モーターと羽根があり、長年の使用でホコリが詰まると摩耗が進みます。清潔な環境でパソコンを使うことが、大きな違いを生みます!
6. バッテリーが充電できない/持たない
ノートパソコンのバッテリーは数年で劣化します。充電しても長くもたなくなったり、充電器を接続しても充電されなかったりします。これも交換が必要な部品です。
バッテリーの寿命は通常2〜4年程度です。購入から時間が経っているなら、バッテリーの消耗を真っ先に疑いましょう。「バッテリーが寿命を迎えるとは思っていなかった」という方は意外と多いのです。
事実として、バッテリーは消耗品です。すべてのバッテリーはいずれ摩耗し、交換が必要になります。乾電池、車のバッテリー、スマートフォンのバッテリー、GPSのバッテリー、そしてノートパソコンのバッテリーも同様です。
中には、新しいモデルが魅力的に見えるため、故障したバッテリーの交換をためらう方もいます。しかし、古いパソコンは新しいバッテリー一枚で十分快調に使えることを忘れないでください。
7. ノートパソコンのスピーカーから雑音がする
スピーカーから異常な音がするのは、故障のサインです。音声再生時にノイズが混ざったり、音が歪んだりする症状が代表例です。水濡れやサビの発生が原因となることがあります。外部スピーカーやイヤホンを接続して、スピーカーの故障かどうか確認してみましょう。
スピーカーの故障は、サビや液体の浸入が主な原因と考えられます。ただし、スピーカーの故障は比較的珍しいため、技術者にとっても詳しい解明が難しい部分です。経験上、液体をこぼした直後や、内部に液体の痕跡が見つかったケースで発生することが多いようです。スピーカー内部の状態を直接確認するのは難しいのが実情です。
8. ウイルス感染の兆候
パソコンウイルス感染と聞くと不安になりますが、いくつかの明確な兆候を捉えることができます。消しても消しても現れる迷惑なポップアップ広告、Chromeブラウザーのホームページが勝手に変更される、意図していないサイトへのリダイレクトが起こる——こうした変化が現れたら要注意です。
ウイルスはパスワードやデータの窃取、ファイルの破壊、さらにはシステムの乗っ取りといった悪質な行為を行います。信頼できるセキュリティソフト(アンチウイルス)を導入し、個人情報の損失を防ぎましょう。
ウイルスはどこから侵入するのでしょうか?主な経路はインターネットです。悪意のあるメール添付ファイルや、ウイルスを仕込んだウェブサイトが典型例です。USBメモリやCDドライブも感染源になりますが、現在はインターネット経由での配布が主流です。怪しいサイトを開いただけで感染することもあります。
アンチウイルスソフトは感染リスクを減らすのに役立ちますが、完璧ではありません。最高のセキュリティは自分自身です。ウイルスについて学び、心当たりのないメールの添付ファイルは開かない、見覚えのない怪しいサイトは避ける——こうした注意習慣が何よりの防御になります。
9. Apple MacBookの画面が暗くなる=ロジックボード故障のサイン
ロジックボード(マザーボード)の故障は、テストも修理も難しいことで知られています。しかし、ほぼ即座にロジックボード故障と判断できる特有の症状が存在します。MacBook AirやMacBook Proの画面が極端に暗く薄暗くなった場合、ロジックボードの故障の可能性が高いのです。
理由を理解するには、画面の輝度を制御する仕組みを知る必要があります。2007〜2008年頃のApple製ノートパソコンのLCD画面は、インバーターを使って照明されていました。その後LED画面へ移行し、消費電力が大幅に減ったためインバーターは不要になりました。代わりに、ロジックボードが画面の照明を直接制御するようになったのです。
つまり、画面はロジックボードのコネクターから直接給電されています。このコネクターや周辺回路が損傷すると、バックライトが失われ、画面が暗くなります。画面が暗いのか、まったく映っていないのかを見分けるには、懐中電灯を画面に照らしてよく観察してください。
MacBook AirやMacBook Proの画面が極端に暗く、明るさ設定を上げても改善しない場合は、ロジックボードの問題を疑いましょう。マザーボードの故障の原因はさまざまですが、最も多いのは液体のこぼれや焼損です。
10. Dellノートパソコンのマザーボード故障のサイン
もう一つのブランド固有のサインは、一部のDellノートパソコンに搭載されている充電ライトです。Dellの一部のモデルには、AC電源に接続すると点灯する充電インジケーターがあります。
電源を接続した瞬間にこのライトが消え、しかもパソコンがまったく起動しない場合、マザーボードの故障である可能性が高いです。当店の経験では、これはマザーボード故障を抱えたDellノートパソコンによく見られる現象です。正確なメカニズムは不明ですが、世の中には説明のつかない現象もあるのです。
マザーボードの診断・修理についてさらに詳しく知りたい方は、マザーボードのテストがいかに難しいか、そして故障した場合にできることについてまとめた弊社のガイドをご覧ください。
日頃から心がけたいパソコンの健全な使い方

残念ながら、ほとんどのパソコンのハードウェアはいずれ故障します。修理や交換が必要になるものです。しかし、日頃の習慣を少し工夫するだけで、早期故障を防ぎ、本来の寿命までパソコンを長持ちさせることができます。
内部を清潔に保ち、冷却効率を高める
ノートパソコンやデスクトップパソコンの内部は、年に1回を目安に掃除することをおすすめします。ホコリが溜まると熱がこもり、ファンによる冷却だけでは放熱しきれなくなり、過熱トラブルが悪化します。
通風口を塞がないことも効果的な冷却には重要です。布の上にノートパソコンを置くと空気の流れが妨げられます。ホコリの除去と通風の確保を心がければ、ファンは最適な状態で働き、システムを適切に冷やし続けられます。
データをバックアップする
HDDの故障は、データ消失やファイル破損につながります。不良セクタが蓄積したドライブほど、データ消失が起こりやすくなります。
取り返しのつかないデータ損失を避けるために、ストレージドライブの定期的なバックアップを始めましょう。外付けHDDでも、クラウドサービスでも構いません。大切なデータが常に安全な場所にあるという安心感を得られます。
診断ツールを定期的に実行する
パソコンが正常に動いているように見えても、定期的に診断を実行するのは良い習慣です。「chkdsk」などのツールを使えば、不良セクタの検出と修復ができ、HDDの早期故障の予防にもなります。
より詳細な診断は、起動時に行えます。プリブート診断ツールを使えば、ハードウェア全体のテストが可能で、バッテリーやメモリなどの部品の問題も発見できます。
診断ツールの起動方法
各メーカーのパソコンには、起動時診断に入るための専用キーが割り当てられています。起動時にそのキーを押すと診断画面が開き、テストを実行できます。Dellは「F12」、HPは「ESC」、Lenovoのノートパソコンは「Enter」、Apple Macは「D」キーです。あらかじめ正しいキーを把握しておけば、手当たり次第試す手間が省けます。
また、各メーカー専用のサポートツールを利用できる場合もあります。Dellの「SupportAssist」やHPの「HP Support Assistant」などがそれで、デバイスに合わせたフル診断が可能です。
まとめ
物は思う存分には長持ちしません。パソコンは、各部品の故障を予兆するサインや警告を示し始めます。今回ご紹介したような既知のサインであれば、悪化する前にすぐ対処できます。
一方で、HDDやマザーボードのように、故障の特定が難しい部品もあります。どちらも交換が必要です。HDDに問題があるかもしれないと感じたら、Dell・Apple・HPの各パソコン向けHDDテストおよび修理ガイドをご参照ください。
プロフェッショナルへの修理依頼

問題の特定は簡単でも、一般のユーザーには修理が難しいケースがあります。マザーボードやキーボードの交換はリスクが高く作業も難しく、必要な道具が揃っていないこともあるでしょう。そんなときは、正規サービスセンターやサードパーティの修理業者への依頼が次の選択肢となります。
保証期間内であれば、正規サービスセンターで修理を受けられます。メーカー・機種に特化した専門的なサポートが受けられるのがメリットです。ただし、対応状況は事前に確認しましょう。たとえばApple Storeでは2012年以前の旧モデルへのサポートを提供していないなどの制限があります。
正規サポートの対象外や保証切れのモデルは、サードパーティ修理が頼みの綱です。私たちもそのお手伝いができます。シドニー・インナーウェストの経験豊富な技術者が、パソコンの点検、マザーボード修理、ウイルス・スパイウェア除去など、あらゆる修理に対応します。アクセス抜群のインナーウェストにて、面倒なテストや修理の手間を省き、専門的なアドバイスをご提供します。Enmore店のご予約はお電話でどうぞ :)
-
Synology NASの共有ドライブをインターネット経由でマウントする方法|WebDAV完全設定ガイド
このガイドでは、Synology NAS(DiskStation)にWebDAVを設定し、ローカルネットワークの外からでもNASの共有ドライブをWindowsのネットワークドライブとして割り当て(マウント)できるようにするための詳細な手順を解説します。対象OSはWindows 10 / 8 / 7です。筆者は先日、クライアントの環境にSynology NAS DiskStation DS418を導入しました。その際、クライアントから「SynologyのWeb管理画面(DSM)を開かずに、Windowsエクスプローラー上で普通のドライブのように、インターネット経由で簡単にNASの共有ファイルへア
-
Macの動作を遅くする7つの悪習慣——今日から見直せる対処法
思ったよりMacの動作が重いと感じていませんか?実は、日頃のパソコン利用における悪い習慣を見直すだけで、Mac全体のパフォーマンスが改善することがあります。 macOSはユーザーによる細かなメンテナンスをあまり必要としないOSですが、決して完璧ではありません。簡単に避けられるミスもあれば、ある程度の手間や投資が必要なものもあります。ここでは、Macを遅くしてしまう代表的な7つの習慣と、その対処法を紹介します。 1. アンチウイルスソフトを常駐させている Macにもマルウェアは存在しますが、WindowsやAndroidほど蔓延してはいません。Appleがシステム整合性保護(SIP)によってO