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OSアップグレードのトレッドミルから降りる――最新OSへの更新を見送るべき8つの理由

私たちは誰もが、常に最新かつ最高のテクノロジーを追いかけている傾向があります。新しいスマートフォンやタブレットが登場するたびに、必要がなくても買い替えてしまう人も少なくありません。そして「OSやソフトウェアは当然アップグレードするもの」という考え方が、いつしか常識のように浸透しています。しかし、本当にそうなのでしょうか?

実のところ、OSのアップグレードに懐疑的になるべき理由はたくさんあります。かつてMicrosoftのWindows 98からWindows MEへアップグレードした人は、新機能どころか頻発するブルースクリーンに悩まされることになりました(筆者もその一人です)。このように、「アップグレードのためだけのアップグレード」には何のメリットもないのです。

もちろん、Windows Updateなどで提供されるセキュリティ更新プログラムは話が別です。セキュリティ更新はできるだけ早くインストールすべきです。

1. 依存している機能が失われる

OSやソフトウェアの新バージョンでは、現在使っている機能が削除されることがあります。最も印象的な例の一つがAppleのiOS 6です。iOS 6は多くのユーザーが頼りにしていたGoogleマップを廃止し、代わりに「史上最強のマッピングサービス」と謳われるApple純正マップを導入しました。ところがそのマップは、世界の大半の地域でカバレッジが不十分で、公共交通機関の案内にも対応していませんでした。

すぐにiOS 6へアップグレードしたユーザーのうち、Appleマップの出来栄えに失望した人たちは、まともな地図アプリを探し回る羽目になりました。中には、Googleマップを使うためだけに一時的にAndroid端末へ乗り換えた人もいたほどです。

OSアップグレードのトレッドミルから降りる――最新OSへの更新を見送るべき8つの理由

一方、自分のニーズに合っていたiOS 5を使い続けたユーザーは、そのままGoogleマップを使い続けることができました。後にGoogleがiOS 6向けのGoogleマップアプリをリリースした時点で初めて、Googleマップへのアクセスを失うことなく最新版へ移行できたのです。

アップグレードの際は、自分が依存している機能を手放すことにならないか必ず確認しましょう。必要な作業ができない新OSを手に入れても意味がありません。前述の例のように、環境が整うまで旧バージョンを使い続けるという選択肢もあります。

同じことはデスクトップPCにも当てはまります。Windows Media Centerが好きな人がWindows 8の標準版へアップグレードすると、Pro版へのアップグレードとMedia Centerソフトの別売り購入が必要になり、合計100ドル以上の出費となります。Windows 7 ProのXPモードを使っている場合は、Windows 8向けの別の仮想化ソリューションへの移行作業も発生します。新OSは機能を追加するだけでなく、奪い去ることもあるのです。

2. アップグレードのコスト

Windowsの最新版へのアップグレードは決して安くありません。Windows 8のアップグレード版は120ドル。起動速度や動作のキビキビ感は確かに向上していますが、そのためだけにアップグレードするなら、その120ドルをハードウェア投資に充てたほうがはるかに効果的です。SSDへの換装やメモリ増設のほうが、体感速度は大きく改善します。

OSアップグレードのトレッドミルから降りる――最新OSへの更新を見送るべき8つの理由

無料で提供されるアップグレードもあるため一概には言えませんが、アップグレードにかかるコストは必ず考慮すべき要素です。どうせ新しいパソコンを買えば新OSが付いてくるわけですから、今あえて高額なソフトウェアアップグレードにお金を払う必要性は薄いといえます。

これは他のソフトウェアにも当てはまります。Office 2010を持っている人がOffice 2013を購入するのはおすすめしません。変更点は大きくなく、Office 2010でほとんどの作業は十分こなせます。実際のところ、多くの家庭ユーザーなら10年前のOffice 2003でも、クラウド型のGoogleドキュメントでも、無料のLibreOfficeでも事足りるでしょう。アップグレードの価値は、その価格に見合わない可能性が高いのです。

3. 初期リリースの不安定さ

新しいOSの中には、焼きが甘いまま出荷されるものがあります。ブルースクリーン、バグ、クラッシュの連発で悪名高いWindows MEはその典型です。Windows Vistaも、初期リリース時は安定性に難がありました。これはハードウェアメーカー側のドライバーがまだ成熟していなかったことも一因ですが、だからこそ新OSが安定するまで様子見すべきだという証左でもあります。

企業では、最初のサービスパックで問題が修正されてから新バージョンのWindowsへ移行するのが一般的です。個人ユーザーも同じ戦略を取るとよいでしょう。Windows 8は過去のリリースほど不安定ではないように見えますが、新OSは旧OSより安定性で劣る場合があることを頭に入れ、次にバグだらけのOSが登場したときには冷静に対応したいものです。

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4. パフォーマンス低下

近年のWindowsは以前より軽量化・高速化されているため、パフォーマンス面の心配は薄れてきています。それでも、旧バージョンが動いていたハードウェアが、最新バージョンを実用的な速度で動かせるとは限りません。

例えば、多くのWindows XP搭載機は、重くなったWindows Vistaへアップグレードすると大幅な性能低下を招きかねませんでした。また古いiPhoneのユーザーからは、iOSの新バージョンを入れるたびに動作が遅くなったという声がよく聞かれます。新機能が追加される一方で、旧ハードウェアには大きな負担となっているのです。

5. ソフトウェアの互換性問題

一部のソフトウェアは、新しいOS上では動作しないことがあります。iPhoneの世界では、iOS 6の脱獄(jailbreak)ツールが利用可能になるまで長い時間がかかりました。脱獄アプリに依存していたなら、iOS 6用の脱獄ツールが整うまでiOS 5のまま待つべきだったのです。このサイクルはiOS 7でも繰り返されると予想されます。

Windowsの世界でも同様です。業務上不可欠なソフトウェアが新版Windowsで動かないケースがあります。大規模なコンピュータ環境を持つ企業は、アップグレード前に自社ソフトウェアの動作確認を徹底します。重要なソフトウェアをお使いの方は、これと同じ慎重さを持つべきです。

6. ハードウェアの互換性問題

新OSは、現在使用中のハードウェアと相性が悪いことがあります。例えばWindows 8は印刷システムが刷新され、プリンタードライバーの対応が必要になりました。お使いのプリンターがWindows 8で正常に動作しない可能性があるのです。問題なく使えるプリンターを処分して新しいものを買い直すためだけにアップグレードする価値はあるでしょうか? いずれ新しいハードウェアを購入すればOSもアップグレードすることになりますが、その頃にはプリンターの買い替えどきかもしれません。

7. 今のOSはまだサポートされている

Windowsの場合、Microsoftは旧バージョンをかなり長い期間サポートします。執筆時点でWindows XPはまだサポート対象であり、2014年4月8日までセキュリティ更新が提供されます。Windows 7なら2020年までサポートが続きます。

各バージョンに約10年間もセキュリティ修正を提供してくれるのだとしたら、最新版へ慌てて駆け上がる必要はないはずです。

OSアップグレードのトレッドミルから降りる――最新OSへの更新を見送るべき8つの理由

8. 学習コスト

企業が新しいOSへ移行すると、従業員教育のコストが発生します。Windows XPと大きく変わらなかったWindows 7でさえ、操作方法に関する社内研修が必要でした。スタートメニューを廃し、まったく異なる「Modern」UIを採用したWindows 8なら、なおさら研修の手間がかかるでしょう。

個人ユーザーであれば、会社のネットワーク管理者ではないかもしれませんが、アップグレード後は自分自身(ときには家族)に新OSの使い方を覚えてもらう必要があります。ガジェット好きなら楽しい時間かもしれませんが、単に仕事を片付けたい人にとっては、時間の無駄以外の何物でもありません。

OSアップグレードのトレッドミルから降りる――最新OSへの更新を見送るべき8つの理由

それでもアップグレードしたほうがいい場合もある

もちろん、決してOSをアップグレードしてはならないと言っているのではありません。伝えたいのは、アップグレードの前に一度立ち止まり、理性的に判断しようということです。アップグレードによって大きなメリットは得られるのか? デメリットは何か? 実行と再セットアップに要する時間以外に、どんなコストがかかるのか? 作業完了後もすべてのソフトウェアが使えるのか、それとも代替品を探し回る羽目になるのか? ハードウェアは問題ないのか? 新OSには十分な魅力があるのか、それとも重要な機能が欠けていたり、不安定だったり、動作が遅かったりしないか?

少し立ち止まって考えることで、不安定なパソコン、Googleマップの使えないスマートフォン、望んでもいないタブレット向けの「タッチファースト」インターフェースを押し付けられたデスクトップPCといった事態は避けられます。

この記事は、MakeUseOf Answersでの読者の皆さんの活発な議論に触発されて書かれたものです。ご意見があれば、ぜひコメント欄でお聞かせください!

画像クレジット:David Pursehouse(Flickr)

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