2024年の最新コンピューターウイルス・マルウェア7つの脅威を徹底解説
個人から米軍などの大規模組織に至るまで、巧妙化するサイバー攻撃が相次いでいることは、急速に進化する脅威が消費者だけでなく、最も資金力と防御体制が整った組織をも危険に晒していることを物語っています。本記事では、最新のウイルスやマルウェアの動向、詐欺やフィッシング攻撃が有力な攻撃手法として定着した理由、そしてAIが脅威の状況をどのように変えつつあるのかについて詳しく解説します。
2024年の最新コンピューターウイルス・マルウェア・その他の脅威
サイバー犯罪者が新たな手法でデバイスやネットワークにウイルスやマルウェアを侵入させ続けているため、脅威の状況は絶えず変化しています。しかし一貫しているのは、マルウェアによる脅威が拡大し、高度化し続けているという点です。
2023年には特にランサムウェアの動向が顕著で、3月には前年同月比62%増という記録的な攻撃数を記録しました。この傾向は2024年にも引き継がれ、ランサムウェア攻撃は月次・年次ともに過去最高水準で推移しています。
ランサムウェアはハッカーにとって最も収益性の高いサイバー犯罪の手口の一つですが、それ以外の種類のマルウェアも依然として深刻な脅威であり続けています。トロイの木馬やドライブバイダウンロードなど、ますます巧妙化する攻撃手法により、あらゆる種類のマルウェアからの防御は困難になっています。
2024年に警戒すべき主要なマルウェアの脅威は以下の通りです。
- RaaS(ランサムウェア・アズ・ア・サービス)
- LockBit 3.0
- 8Base
- SocGholish
- Clop
- Akira
- Windowsアップデート型ランサムウェア(Cyborg)
1. RaaS(ランサムウェア・アズ・ア・サービス)
かつてランサムウェアは、自らソフトウェアを作成できる知識と技術を持つ悪意ある者だけが使えるものでした。しかし「Ransomware as a Service(RaaS)」の台頭により状況は一変しました。現在では誰でも「専門家」に報酬を支払えば、高度な攻撃を実行してもらえるのです。
RaaSは、経験の浅いハッカーでも高度なマルウェアツールを利用できるようにすることで、ランサムウェア攻撃の拡大と予測不能化を招く懸念されるトレンドです。こうした新たなアクセス手段が広がるにつれ、RaaSグループによる突発的で予測困難な攻撃は今後さらに増加すると見込まれます。
LockBitは2024年第1四半期においても最も確立され広範に活動するRaaSであり、217件の攻撃成功を宣言。これは、次に規模の大きいランサムウェアグループである8BaseとBlackBastaの攻撃件数を合計した数を上回っています。

2. LockBit 3.0
LockBitランサムウェアグループは2020年から活動しています。LockBit 3.0が従来のバージョンと異なる点は、モジュール化された構造を持つことです。つまり、マルウェアが段階的にシステムへ感染していくため、旧来の検知されやすいタイプに比べ、発見や防止がはるかに困難になっています。
最近のLockBit関連の主な事例を見てみましょう。
- SpaceXの部品メーカーMaximum Industriesから、設計図や図面3,000件がLockBitによって窃取されました。
- 半導体メーカーTSMCからデータを盗んだとして、LockBitグループが7,000万ドルの身代金を要求したと主張。
- 従来型のコンピューターウイルスのように自己増殖する機能を持つ、LockBit 3.0の新たな亜種が発見されました。
- 英国国家犯罪対策庁(NCA)、FBI、Europolが合同でLockBitの運営基盤に対する摘発作戦を実施し、同グループが使用していたウェブサイトを乗っ取った後も、LockBitは新しいサーバーと更新された暗号化ツールを使って攻撃を継続しました。
法執行機関によって差し押さえられたLockBitサイトに表示されたメッセージ。出典:Avast 2024 Threat Report および BBC。
3. 8Base
8Baseランサムウェアグループは2022年3月から活動しており、2024年5月までに356人以上の被害者が出ています。同グループは2023年6月に活動が急増し、大きな注目を集めました。
8Baseは企業を標的にすることが多く、「二重恐喝」と呼ばれる手口を用います。データを窃取・暗号化した上で、被害企業名を公表すると脅して身代金の支払いを迫るのです。別のグループであるRansomHouseとの類似性から、8Baseはその分派ではないかという噂もありますが、その意図や手法については依然として不明な点が多いのが実情です。
4. SocGholish
SocGholishは2024年前半、Windowsユーザーに影響を与えたマルウェアトップ10のうち60%を占め、今年最大級の脅威となっています。「FakeUpdates」としても知られるSocGholishは、少なくとも2017年頃から存在しています。
SocGholishはドライブバイダウンロードによって配信されるダウンローダー型マルウェアです。ユーザーは偽のソフトウェア更新やブラウザ更新リンクをクリックするよう仕向けられ、気づかないうちに侵害されたサイトや悪意のあるサイトからマルウェアをダウンロードしてしまいます。
SocGholishによる攻撃は通常、以下のような流れで展開されます。
- 偽ブラウザ更新: ハッカーは悪意のあるウェブサイトを作成したり、正規サイトを改ざんしたりして、人気ブラウザの本物の更新通知そっくりに見せかけた偽のソフトウェア更新アラートを表示させます。
- 悪意あるダウンロード: ユーザーが偽の更新に引っかかると、ダウンロードページへ誘導され、一見無害なファイルが追加操作なしでダウンロード・実行されます。
- 二次マルウェア: その後、システムを遠隔操作したり機密情報を窃取したりするための、リモートアクセストロイの木馬(RAT)などの二次的なマルウェアが配置される可能性があります。
5. Clop
Clopランサムウェア(CLOP、Cl0p、TA505とも呼ばれる)は、現在最も危険なデータセキュリティ上の脅威の一つとされています。2016年に初めて確認されたCryptoMixの近代化版で、Windows PCを標的とします。このランサムウェアを操るロシアのギャング集団は、BBCや英国航空への攻撃を含む数々の大規模データ漏洩について犯行を主張しています。
Clopランサムウェアの脅威は2023年を通じてニュースを賑わせました。悪意あるコードは複数の企業、米連邦政府機関、ミネソタ州およびイリノイ州政府を標的としたほか、ジョンズ・ホプキンス大学やジョージア州立大学システムも同じ時期にClop攻撃の被害を受けています。
これを受け、CISA(米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁)とFBIはClopランサムウェアグループに関する警告を発表し、サイバー犯罪者たちがSQLインジェクションを用いてMOVEitデータ転送ソフトウェアの脆弱性を悪用していたことを明らかにしました。この脆弱性により、彼らは政府機関や個人の機密情報を含む、同サービスがホストするデータへアクセスできたのです。
6. Akira
Akiraは、数億ドル規模の身代金要求で知られ、大きな注目を集めた最新のランサムウェア脅威の一つです。あまりに高額な身代金のため、企業の被害者が盗まれたデータを取り戻せる可能性は低く、ダークウェブ上のグループサイトに公開されてしまうケースが少なくありません。
Akiraは非常に懸念される新興サイバー脅威であり、以下のような著名な攻撃と関連付けられています。
- ジョージア州マーサー大学への大規模攻撃。
- バージニア州ミドルセックス郡公立学校のウェブサイトから543GBのデータが持ち出された事件。
- 南部アフリカ開発銀行におけるサーバー、ログ、従業員の個人情報の暗号化と身代金要求。
7. Windowsアップデート型ランサムウェア(Cyborg)
サイバーセキュリティの基本原則の一つは、デバイスのOSやソフトウェアを常に最新の状態に保つことです。しかしその原則を逆手に取り、マルウェアを仕込んだ偽のアップデートで犠牲者を狙うハッカーも存在します。
Windowsアップデート型ランサムウェア自体は新しい攻撃手法ではありませんが、Microsoftなど信頼できるソフトウェア会社を装った偽のインストール更新メールを悪用する、新種のランサムウェアが開発され続けています。
こうした攻撃で最もよく使われるマルウェアの一つが「Cyborgランサムウェア」です。2019年に初めて出現した比較的典型的なランサムウェアで、一度起動すると標的PC内を走査し、見つけたすべてのファイルを暗号化します。
世界の脅威活動の現状
マルウェアがもたらす脅威の規模は、世界中の個人にとっても組織にとっても深刻な懸念材料です。Gen社の2024年第2四半期脅威レポートによると、4月から6月の期間に観測されたサイバー攻撃は前年同期比46%増加し、詐欺が支配的な脅威となり、ブラウザとウェブが主要な攻撃対象面を占めました。
サイバー攻撃の広範な活動は、SoSafeの「Human Risk Review 2024」にも反映されています。調査対象組織の半数が過去3年間のどこかの時点で攻撃の被害を受けていたことが判明したのです。壊滅的なシステム全体への攻撃の可能性を裏付けるように、2023年の調査では、全ランサムウェア攻撃の43%がPowerShellにアクセスし、驚くべきことに全攻撃の91%がデータを外部に持ち出していたことが明らかになりました。
脅威は民間企業や組織にとどまりません。米軍は、中国のアクターによって仕掛けられたとみられるマルウェアを自らのシステム内で積極的に捜索しています。米政権当局者らは、放置すれば悪意あるコードが電力網、通信システム、水道供給、その他の軍民双方の重要インフラを混乱させる恐れがあると懸念しています。
さらに、ソーシャルエンジニアリングの手法が現在、モバイルおよびデスクトップ向けマルウェアの主要な攻撃ベクトルとなっており、詐欺やフィッシング通信の危険性は、トロイの木馬やアドウェアといった従来型のマルウェアを凌駕しつつあります。つまり今や、ソフトウェアの脆弱性よりも、人間こそがウイルスやマルウェアにとって最も悪用されやすい入り口となっているのです。

詳細については、世界中の政府機関や高価値ターゲットに影響を与えた重大なサイバー攻撃の時系列まとめを掲載する、戦略国際問題研究所(CSIS)のタイムラインをご覧ください。
幸い、最新のサイバーセキュリティツールは、新興の脅威からの攻撃防止に役立ちます。Avastの2024年第1四半期脅威レポートによると、3ヶ月間で30億回を超える攻撃と5億件以上の危険なURLがブロックされました。
AIウイルス・AIマルウェアの未来
今日のサイバーセキュリティ分野における最大の課題の一つが、「Worm GPT」のようなカスタムAIハッキングツールを活用して作成される、AI搭載のウイルスやマルウェアの台頭です。
BlackMamba
研究者たちは、人工知能を活用して悪意あるペイロードを動的に生成できる「BlackMamba」と呼ばれる高度な概念実証型マルウェアを開発しました。この独自のアプローチにより、マルウェアはシグネチャを変化させて従来の防御を回避できるため、検知が非常に困難です。
BlackMambaはキーロギング、機密情報の窃取、侵害されたシステムへのリモートアクセス確立が可能です。その高度な難読化技術と適応能力は、進化し続ける脅威に追いつこうとするセキュリティ専門家にとって重大な挑戦となっています。
フィッシングスクリプト
生成AIはまた、ハッカーがより洗練され説得力のあるフィッシングスクリプトを大量に作成するのを助けるでしょう。ディープフェイク音声や動画を使って正規の通信を装う、極めてパーソナライズされたフィッシングメールを特定し防御することは、セキュリティ専門家にとって非常に困難になります。
AIを活用したフィッシング攻撃は、ますます巧妙化し、検知が困難になっています。
すでにSoSafeの調査では、ユーザーの3分の1がフィッシングメール内の有害なコンテンツをクリックし、そのうちの半数が機密情報を入力してしまうという憂慮すべき結果が示されています。これがサイバーセキュリティの未来に何を意味するのかは、まだ未知数です。
現実の「BlackMamba」がデジタル世界に放たれ、フィッシングメッセージの判別がますます難しくなる中、悪意ある行為者を抑え込むための最先端のセキュリティソフトウェアは必須です。しかし、総合的なアプローチが必要であり、それは多層的な安全対策の実施を意味します。
最新のウイルスや脅威から身を守る方法
サイバー攻撃の複雑さが増す中、オンラインセキュリティツールと実践策のフルセットを導入することは、かつてないほど重要になっています。インターネット安全のベストプラクティスに従うことで、攻撃の被害に遭うリスクを最小限に抑えられます。
オンライン安全対策のヒント
多要素認証: アカウントやデバイスには、可能な限り二要素認証(2FA)または多要素認証(MFA)を有効にしましょう。
パスワードマネージャー: 強固で一意なパスワードを作成し、パスワードマネージャーを使ってすべて管理しましょう。
アップデートのインストール: アプリやソフトウェアを常に最新の状態に保ち、最新のセキュリティパッチの恩恵を受けましょう。
サイバーセキュリティソフト: アンチマルウェアソフト、ファイアウォール、VPNなど、信頼できるサイバーセキュリティツールをインストールして活用しましょう。
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