液体金属 vs サーマルペースト:CPU冷却に最適な選択肢はどっち?
CPUの性能を最大限に引き出すには、最適な冷却ソリューションが欠かせません。CPUはタスク処理の際に熱を発生させるため、熱がこもるとオーバーヒートにつながり、パフォーマンス低下や動作不良を引き起こす可能性があります。
オーバーヒートを防ぐためには、CPUに適した冷却方法を選ぶことが重要です。特に、PCをオーバークロックして運用する予定があるなら、冷却対策は必須といえるでしょう。CPU冷却の選択肢として主なものは「液体金属」と「サーマルペースト」の2つです。では、どちらがCPU冷却に最適なのでしょうか?本記事で詳しく解説します。
液体金属をCPU冷却に使う
液体金属は、金属を使って熱を伝導させる冷却ソリューションです。主成分はガリウムで、液体金属タイプのサーマルインターフェース素材(TIM)として知られています。
液体金属は、CPUの統合ヒートスプレッダー(IHS)とクーラーのコールドプレートの間にできる微細な空気の隙間を埋めることで機能します。空気は熱を伝えにくい物質のため、この微細な隙間を埋めることで、CPUからヒートシンクへの効率的な熱伝達が可能になり、CPUを常に低い温度に保てます。
ただし、液体金属にもメリットとデメリットの両方があります。最大の特徴は、ほぼすべての液体金属が電気を通す(電気伝導性がある)という点です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
液体金属のメリット
液体金属がサーマルペーストを上回る最大のポイントは熱伝導率です。サーマルペーストよりも速くCPUから熱を逃がしたい場合、液体金属の熱伝導率は非常に有効です。高性能な液体金属の熱伝導率は、73W/mK(ワット毎メートル毎ケルビン)を超えるものもあります。
液体金属のデメリット
一方、液体金属には2つの大きなデメリットがあります。1つ目は塗布の難しさです。電気を通す性質があるため、通常のサーマルペーストよりも細心の注意が必要になります。
目標範囲の外にわずか1滴でもこぼれれば、PCの電源投入時にショートを起こしたり、最悪の場合は清掃しない限り特定のパーツが故障する恐れもあります。また、主成分がガリウムであるため、アルミニウムと化学反応を起こす点にも注意が必要です。CPUクーラーのコールドプレートがアルミ製の場合は、液体金属の使用を避けましょう。
2つ目のデメリットは価格です。高い熱伝導率を持つ分、通常のサーマルペーストよりも割高になります。コストを抑えてPCを自作したい場合、この点がネックになるかもしれません。
サーマルペーストをCPU冷却に使う
サーマルペーストは「サーマルグリス」や「グリス」とも呼ばれる、PC冷却のもう1つの定番の選択肢です。液体金属と異なり電気を通しませんが、熱を伝える仕組み自体は液体金属と同じです。
サーマルペーストは、使用されている化合物の種類によって、金属系、シリコン系、セラミック系など複数のタイプに分けられます。ここからは、サーマルペーストのメリットとデメリットを見ていきましょう。
サーマルペーストのメリット
サーマルペーストが広く普及しているのには理由があります。最大の理由の1つは塗布の手軽さです。電気を通さないため、多少はみ出してしまってもPCに悪影響を与えることがありません。何度でも塗り直しができる点も魅力です。さらに、価格が安価なため、予算重視のユーザーに最適なCPU冷却ソリューションといえます。
サーマルペーストのデメリット
サーマルペーストは1グラムあたり非常に安価ですが、最大の弱点は熱伝導率です。液体金属と比べると、その性能差は歴然です。参考までに、執筆時点で最高性能とされるサーマルペーストでも熱伝導率は15W/mK強程度であり、液体金属にはるかに及びません。
液体金属 vs サーマルペースト:どちらの冷却ソリューションを選ぶべき?
それぞれのメリットとデメリットを理解したところで、どちらの冷却ソリューションが優れているのか気になるところです。答えは「ケースバイケース」です。液体金属は熱伝導率が高い反面、塗布時のリスクが大きいため、経験と知識のある人向けといえます。
一方、サーマルペーストは安価ですが、熱伝導率が低いという点は受け入れなければなりません。とはいえ、一般的な用途であればサーマルペーストで十分です。塗布が簡単で、液体金属のようなリスクもありません。
さらにサーマルペーストには、価格帯や性能の異なるさまざまな製品がラインナップされているため、どんなPC構成でもニーズに合うものが見つかるはずです。ただし、一般的なユーザーよりも高い冷却性能を求めていて、リスクにも対応できるのであれば、液体金属を選ぶのは間違いありません。
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