MacでRAIDハードドライブからデータを復元する方法|おすすめツールと手順を解説
RAIDは、コンピュータのパフォーマンスと信頼性を向上させるために使用される技術です。個人利用で採用されることはそれほど多くありませんが、極めて高速なサーバー構成を実現でき、ハードドライブに障害が発生してもビジネスの稼働を止めることなく運用を続けられる点が大きな魅力です。データへのアクセスが常時求められる環境では、冗長性の確保と高速な読み書き速度の両方を兼ね備えたRAIDは非常に有効な選択肢となります。
しかし、どれほど優れた技術でもハードウェア障害のリスクからは逃れられません。発生確率は低くても、ハードウェアはいつか故障しうるものです。この記事では、MacでRAIDハードドライブからデータを復元する方法について詳しく解説します。
MacにおけるRAIDとは?
RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks:安価なディスクの冗長アレイ)とは、複数の物理ハードドライブを連結して1つのシステムとして扱う技術のことです。コンピュータ上では、これらのドライブは個別ではなく「1台のドライブ」として認識されます。

RAIDの主な種類
RAIDには複数のレベル(タイプ)があり、それぞれ異なる用途に適しています。ここでは、Macでよく使われる代表的なRAID構成とその仕組みを見ていきましょう。
RAID 0 – ストライピング
「ストライプセット」「ストライプボリューム」とも呼ばれる構成です。大容量と高速パフォーマンスを求めるユーザーに最適ですが、冗長性を持たないためデータ保護の観点からは推奨されません。修復が必要になった場合は、各ドライブ単位で対応することになります。

RAID 1 – ミラーリング
「ミラーリング」と呼ばれるこの構成は、2台のハードドライブに同じデータを常時複製(クローン)することで、冗長性とデータ保護を実現します。ビット単位まで含めた完全なバックアップが可能です。コンピュータを何らかの理由で止められない環境に適した設定です。片方のドライブが故障した場合でも、多くの場合は新しいドライブに交換するだけで、データを失うことなくRAIDを再構築できます。

RAID 5 – パリティ付きストライピング
最も人気のあるRAIDタイプの一つです。容量効率と冗長性のバランスに優れており、ブロック単位のストライピングに分散パリティを組み合わせた構成を採用しています。パリティと呼ばれるチェックサム機能を備えており、最低4台のハードドライブが必要です。1台が故障しても、残りの3台からデータを読み出せるため、故障ドライブを交換して運用を続ければ、通常はデータ復元を行う必要すらありません。

RAID 10 – ミラーリングとストライピングの併用
この構成は、RAID 1とRAID 0それぞれのメリットを組み合わせたものです。容量拡張と耐障害性を1つのソリューションに統合し、性能と容量を2倍にできます。予算を抑えながら性能と空き容量を両立したい場合に最適です。複数のドライブが同時に故障していない限り、このRAIDからのデータ復元は比較的成功しやすいと言えます。

RAIDの種類がわかったところで、次にソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの違いについて見ていきましょう。
ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの違い
ソフトウェアRAIDとハードウェアRAIDの違いは、RAIDアレイを構成するストレージドライブが、Macのマザーボード(またはサーバーなど別のコンピュータ)にどのように接続されているかによって決まります。
ハードウェアRAID
ハードウェアRAIDは、マザーボード本体または専用のカードによって構成されるRAIDです。NAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続ストレージ)は、外部ハードウェアRAIDの代表例といえます。NASはコンピュータネットワークに接続されたファイルレベルのデータ保存サーバーで、複数のユーザーが共有データにアクセスできる仕組みを提供します。
ソフトウェアRAID
ソフトウェアRAIDは、コンピュータのオペレーティングシステムによって構築されるRAIDです。専用ハードウェアの購入コストが不要な分、導入コストを抑えられるのが特徴で、主に内部サーバー上で運用されることが多いです。
どちらにも一長一短があり、優劣をつけることはできません。目的や用途に応じて選択することが重要です。より詳しい比較については、DataPlugsの関連記事も参考にするとよいでしょう。
RAIDアレイからのデータ復元に使える5つのツール
RAID内のデータを失ってしまった場合、どこから手をつければよいのでしょうか。
以下に、おすすめのMac対応RAID復元ソフト5選をご紹介します。そのうちのいくつかについては、後ほどより詳しく解説します。
ReclaiMe Free RAID Recovery
ReclaiMeは、無料でRAIDファイル復元ができるツールです。ハードドライブ、USBメモリ、RAIDアレイなど、コンピュータに接続できるほぼすべてのストレージデバイスからのデータ復元に対応しています。

Macでも動作しますが、基本的にはWindows向けのツールです。Macで使用する場合は2015年以前のモデルが最適とされています。RAID復元の手順を解説した動画も用意されており、初心者にとって心強いサポートとなっています。
R-Studio(R-Tools Data Recovery)
Windows版とMac版の両方が提供されており、それぞれのOS向けに専用設計されているため、高い信頼性とパワーを発揮します。単純な移植版ではない点が強みです。
幅広いデータ形式に対応し、強力な機能セットを備えているR-Studioは、RAIDデータ復元の有力な選択肢です。後ほど詳しく紹介します。
UFS Explorer
UFS Explorerは、Windows・Mac・Linuxに対応したデータ復元ツールです。他のツールより価格はやや高めですが、その分充実したRAID対応の復元機能を提供します。RAIDパラメータの自動検出、さまざまなRAID構成の識別、多様なRAIDレイアウトへの対応など、検討する価値のある選択肢です。
TestDisk
TestDiskは無料で使える優秀なデータ復元ツールです。ただしテキストベース(CUI)のインターフェースのため、操作に慣れが必要な点には注意しましょう。とはいえ、RAIDを組んでいるユーザーならある程度技術に精通していることが多いので、問題ないでしょう。何より無料である点が大きな魅力です。

Disk Drill
Disk Drillを使えば、本来専門のデータ復旧ラボに依頼するしかないと思われているようなRAIDからのデータ復元も、Mac上で自力で行えます。洗練されたグラフィカルユーザーインターフェースを持ち、使いやすさとパワーの両立を実現しているのが魅力です。こちらも後ほど詳しく解説します。
R-Studioを使ったハードウェアRAIDのデータ復元手順
R-Studioは、RAIDデータ復元において実用的かつ強力な選択肢です。操作はシンプルで、短時間で復元作業を開始できるのが特長です。
ステップ1: 復元先となるコンピュータを用意します。復元したいデータを保存できる十分な空き容量があるマシンを選びましょう。
ステップ2: R-Studioをダウンロードしてインストールします。
ステップ3: ソフトウェアを起動し、「Scan(スキャン)」または「Partition Search(パーティション検索)」を選択して、MacのRAIDドライブをスキャンします。

ステップ4: RAIDハードドライブのスキャン完了後、検出されたファイルを表示させ、復元したいデータを選択します。
ステップ5: ツールバーの「RAIDs」オプションをクリックすれば、MacのRAIDドライブのバックアップを作成することも可能です。仮想ボリュームセットや仮想ミラーを作成できる、非常に便利で強力な機能です。
R-Studioの使い方を確認したところで、次はDisk Drillの活用方法を見ていきましょう。
Disk Drillを使ったソフトウェアRAIDからのデータ復元手順
Disk Drillは、macOS標準のRAIDユーティリティ(RAID Assistant)で作成されたRAIDタイプの管理・復元に対応しています。対象となるのはRAID 0、RAID 1、およびConcatenated(JBOD)セットです。Mac用RAIDソフトの中でも特に使いやすい一本です。
RAIDアレイからデータを復元したいケースは、大きく分けて2つあります。
- データが削除された、またはフォーマットされた場合: この場合は、RAIDハードドライブをコンピュータに接続し、削除・フォーマットされた失われたデータをスキャンで探します(手順は下記の通りです)。
- RAIDを構成するハードドライブの一部が故障・欠落している場合: このシナリオでは、Disk Drillが仮想RAIDを構築できます。仮想RAIDの構築中に、ユーザーはスキャンを実行できます。
意図的なものであっても事故であっても、データ復元ソフトを使えば失われたデータを取り戻せる可能性があります。Mac用のRAIDドライブは直接コンピュータに接続してスキャンできます。
ステップ1: Disk DrillをダウンロードしてMacにインストールします。
ステップ2: Disk Drillを起動し、データを復元したいRAIDストレージデバイスを選択します。

ステップ3: スキャンが完了するのを待ちます。

ステップ4: ハードドライブから復元したいデータを選択します。プレビュー機能で内容を確認しながら、復元したいファイルが見つかったら、青い「Recover(復元)」ボタンをクリックします。

筆者としては、Disk Drillは操作性が抜群に優れていて、インターフェースも親しみやすいため、データ復元ツールの中でも特にお気に入りの一つです。
無料で試せるRAID復元方法
ここでは、MacのRAIDハードドライブからデータを復元できるかもしれない無料の方法をご紹介します。
ステップ1: RAIDユニットの電源を切り、ハードドライブを取り外します。
ステップ2: 取り外したハードドライブを、SATA、SCSI、またはSASポート経由でコンピュータに接続します。
ステップ3: コンピュータの電源を入れ、すべてのハードドライブがシステムに認識されていることを確認します。1台でも認識されないドライブがあれば、復元は不可能です。
ステップ4: TestDiskをダウンロードして実行し、RAIDハードドライブからのデータ復元を試みます。
まとめ
RAIDからのデータ復元は、思われているほど難しいものではありません。本質的には、通常のハードドライブからデータを復元して保存する作業と変わりません。構築したRAIDが正しく動作しなくなったときのために、復元手順を知っておくことは大きな安心につながります。
また、RAID環境をお持ちでない方にとっても、この記事で紹介した復元方法は、万が一データ消失が起きた際の一般的なデータ復元にも役立ちます。
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