プリンタープーリング入門:Windows Server 2012 R2でプリンタープールを構成する手順
プリンタープーリングとは
プリンタープーリング(Printer Pooling)は、1台のプリントサーバーに接続された複数の物理プリンターを、1つの論理プリンターとして統合する機能です。クライアントから見ると、プリンタープールはあたかも1台のネットワークプリンターのように見えます。この論理プリンターの印刷キューに入った印刷ジョブは、プール内の空いている任意のプリンターから出力されます。
プリンタープーリングを活用することで、複数のプリンター間で負荷を分散でき、ネットワーク印刷システムの可用性とスケーラビリティを向上させることができます。印刷能力が不足してきた場合でも、管理者はクライアント側に追加設定を行うことなく、プールへ新しいプリンターを簡単に追加できます。
プリンタープーリングが有効なケース
ユーザーが大量のドキュメントを印刷する環境では、プリンタープーリングの利用が推奨されます。ユーザーは空いているプリンターを探す必要がなくなり、印刷の待ち時間(キュー時間)を短縮できます。
プリンタープールは、プリントサーバー上で1つのプリンターに対して複数のポートを指定することで作成します。各ポートが1台の物理プリンターに対応します。
プリンタープール作成の要件
- プール内のすべてのプリンターは同一機種であるか、少なくとも同じプリンタードライバーで動作する必要があります。
補足:HP製プリンターの多くは「HP Universal Print Driver」で共通して動作するため、これは大きな問題にはなりません。 - ユーザーは自分のドキュメントがどのプリンターから出力されるか事前に分からないため、すべてのプリンターは同じ場所に物理的に設置しておくのが望ましいです。
ここでは、Windows Server 2012 R2上にプリントサーバーを構築し、複数のプリンターを1つのプリンタープールに統合する手順を紹介します。
1. Print and Document Servicesロールのインストール
まず、サーバーマネージャーコンソールを使用して、サーバーに「印刷とドキュメントサービス(Print and Document Services)」ロールをインストールします。
このロールでは「印刷サーバー(Print Server)」サービスのみをインストールすれば問題ありません。
PowerShellでも同じ操作が可能です。
Install-WindowsFeature Print-Services
2. 新しいプリンターの追加
ロールのインストール完了後、「印刷の管理(Print Management)」コンソールを開き、新しいプリンターを追加します(「プリンターの追加」)。
プリンターのインストールウィザードで、ネットワークプリンターをインストールすることを確認し、「TCP/IP アドレスまたはホスト名で TCP/IP または Web サービス プリンターを追加する」を選択します。
次に、TCP/IPデバイス(TCP/IP Device)としてインストールすることを選択し、IPアドレスを指定します。この際、「自動的に使用するプリンタードライバーを検出する」のチェックは外しておいてください。
次の画面では、デバイスの種類として「Generic Network Card」を選択します。
続いて、適切なプリンタードライバーを選択します。
その後、プリンターのシステム名と共有名を指定します。
ウィザードが完了すると、新しいプリンターが印刷の管理コンソールに表示されます。
ヒント:コマンドプロンプトやPowerShellからも新しいプリンターをインストールできます。
必要に応じて、ネットワークプリンターのプロパティで「支社直印刷(Branch Office Direct Printing)」を有効にすることも可能です。
ヒント:Branch Office Direct Printingは、本社に設置された集中型プリントサーバーと、プリンターやユーザーが所在する支社ネットワーク間のトラフィックを削減するための技術です。この技術により、クライアントはプリンター情報をプリントサーバーから取得しますが、印刷ジョブ自体はサーバーのスプーラーを経由せず直接送信されます。その結果、印刷ジョブが本社と支社のネットワーク間を行き来しなくなり、WAN回線への負荷を軽減できます。
3. Active Directoryへの公開設定
プリンターのプロパティの「共有」タブで、Active Directoryに公開する設定(「ディレクトリに一覧表示する」)が有効になっていることを確認します。
4. 2台目のプリンター用ポートの追加
プリンターのプロパティの「ポート」タブを開き、「ポートの追加」を選択して、次のネットワークプリンター用の新しいポートを追加します。
新しいポートの種類として「Standard TCP/IP Port」を指定します。
そして、2台目のプリンターのIPアドレスを入力します。
ヒント:コマンドプロンプトからもTCP/IPプリンターポートを作成できます。
5. プリンタープーリングの有効化
新しいポートを作成したら、先ほど作成したプリンターのプロパティを再度開きます。
「ポート」タブで「プリンタープーリングを有効にする(Enable printer pooling)」にチェックを入れ、さらに前の手順で作成したTCP/IPポートにもチェックを付けます。
プリンタープールの動作ロジック
これで、2台のプリンターを含むプリンタープールの完成です。あとはクライアントを論理プリンター(例:「OSI Finance Printer」)に接続するだけで、印刷ジョブが送信されると2台のうちいずれかのプリンターから自動的に出力されます。
プリンタープールの動作ロジックは以下の通りです。クライアントから受信したジョブは、プール内で最初に空いたプリンターに出力されます。いずれかのプリンターが利用できない場合(大量の印刷ジョブでビジー状態、電源オフ、紙詰まりなど)、そのジョブはプール内の次のプリンターに送られます。
なお、ドキュメントはプールに追加された順序で物理デバイスへ送信される点に注意が必要です。そのため、プリンターごとに処理性能が異なる場合は、最も高速なプリンターを最初に追加するのがおすすめです。
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