SSDの総書き込み量が40TB超え――Windowsが裏でデータを書き続ける仕組みと、それが重要な理由
2026年4月26日公開
筆者のAfamは2018年からテクノロジーメディアMake Tech Easierで活動を始め、以来、Windows、Linux、オープンソースツールを扱うガイド、レビュー、解説記事の執筆で評価を築いてきました。Technical Ustad、Windows Report、Guiding Tech、Alphr、Next of Windowsなどの主要サイトにも寄稿経験があります。コンピューターサイエンスの学位を持ち、データプライバシーとセキュリティの啓発者として、Fuzo Tech YouTubeチャンネルで多数のチュートリアルを公開しています。
筆者は長年、複数のPCでCrystalDiskInfoを使い、SSDの健康状態をチェックしてきました。普段は「正常(Good)」と表示されれば安心してツールを閉じ、他の作業に戻るだけでした。しかし今回、ふと目に留まったのが「総ホスト書き込み量」の数字。なんと40,513GB。想定をはるかに上回る値で、追加情報がないままでは「SSDの寿命を一気に使い潰しているのでは」と不安になりました。
そこで徹底的に調べたところ、WindowsはSSDの耐久性をTBW(Total Bytes Written/累計書き込み量)という指標で管理しているものの、その生の数値をユーザーにほとんど表示しないことが分かりました。さらに驚いたのは、書き込み量の大部分が自分の操作によるものではなく、Windowsのバックグラウンド処理によるものだった点です。
SSDの総書き込み量を確認する方法
Windowsが記録しているのに、見せてくれない数字
CrystalDiskInfoでは、このデータは「総ホスト書き込みカウント(Total Host Writes)」として表示されます。これはドライブが自身の状態を記録するSMARTデータの一部で、継続的にログされながらも、ユーザー向けには一切提示されない値です。ツールを開くとドライブの属性一覧が表示されますが、特に注目すべき項目は以下の通りです。
| 項目 | 表示内容 | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| 総ホスト書き込み量 | 出荷時から現在までの累計書き込みデータ量 | ドライブのTBW規格と比較する |
| 健康状態(%) | ドライブの推定残存耐久性 | おおよその目安であり、正確なカウントダウンではない |
| 通電時間 | ドライブが稼働した合計時間 | 書き込み量を時間軸で把握できる |
| 電源投入回数 | ドライブの電源オン回数 | 任意項目。特にノートPCで有用 |
筆者の環境では、書き込み量はすでに約40.51TBに達していました。この数字が意味を持つのは、メーカーの製品ページでSSDの定格TBWを確認してからです。両者の数値があれば、次のシンプルな計算式で寿命のうちどれくらいを使い切ったかを算出できます。
定格寿命の使用率 =(総ホスト書き込み量 ÷ 定格TBW)× 100
参考までに、一般的なユーザーの年間書き込み量は7〜15TB程度、一方コンシューマー向けSSDの定格は300〜600TBWです。たとえば600TBW定格の1TBドライブなら、典型的な家庭用途の書き込みペースでは約40年持つ計算になり、耐久性がドライブ寿命のボトルネックになることはまずありません。とはいえ、その前提で見ても筆者のSSDの数字は高めに感じられました。
なお、一部の廉価版や旧型ドライブでは、こうした詳細情報がCrystalDiskInfoでも表示されない場合がある点に注意してください。
数字は怖く見えるが、実際はそうでもない
SSDの耐久性は、多くの人が思うようには機能しない
大きな書き込み数を見て焦ったのは事実です。気持ちとしては理解できますが、その心配は的を射ていませんでした。TBWはハードな使用期限ではなく、あくまで保証に基づくしきい値です。メーカーが「通常条件下でこの程度のデータ量までは問題なく動作する」と保証している数値にすぎません。実際には、NANDセルの劣化は非常に緩やかなプロセスであり、ウェアレベリングによって書き込みはドライブ全体に均等に分散されるため、SSDはこの上限を大幅に超えて動作するのが普通です。
コンシューマー向けドライブをいくつか比較してみました。
| SSDモデル | インターフェース | 容量 | TBW定格 |
|---|---|---|---|
| Samsung 870 EVO | SATA | 1TB | 600TBW |
| WD Blue SN580 | NVMe(PCIe 4.0) | 1TB | 600TBW |
| Crucial P3 Plus | NVMe(PCIe 4.0) | 1TB | 220TBW |
| SK Hynix Platinum P41 | NVMe(PCIe 4.0) | 1TB | 750TBW |
この比較から分かるように、エントリーモデルはミドルレンジに比べてTBW定格がかなり低めです。長期間使い続けるつもりなら押さえておきたいポイントです。ただし、TBW上限に近づいてもパフォーマンスが段階的に低下することはなく、セルが実際に故障するまでは安定して動作するのが一般的です。ここが、筆者のドライブの数字がそれほど心配するものではないと分かった決め手でした。仮に定格耐久性の85%に達していても、通常のタスクにおける性能は新品のドライブと変わりません。
参考製品:Samsung 870 EVO
- 速度:読み取り560MB/s/書き込み530MB/s
- 接続:SATA
- ポータブル:非対応
- ブランド:Samsung
- 容量:500GB
Samsung 870 EVOは、一般ユーザー、クリエイター、ITプロフェッショナル向けに設計された高性能な2.5インチSATA III内蔵SSDです。
大量の書き込みは、どこから来ているのか
Windowsは本当にアイドル状態にならない
筆者は特別な操作をしていないつもりだったので、この数字は驚きでした。しかし、それはユーザーの操作とは無関係にWindowsが生成する書き込みトラフィックで完全に説明できます。
休止状態(hiberfil.sys)の影響が最も大きいです。PCが完全に休止状態に入ると、WindowsはRAMの内容のほぼすべてをディスクに書き込みます。多くのWindows 11マシンでデフォルト有効になっている高速スタートアップは少し異なり、RAM全体ではなくカーネルセッションのみを休止させるため、ファイルサイズは小さくなり、搭載RAMの約40%程度になります。それでも16GBシステムなら、シャットダウンのたびに約6GBが書き込まれる計算です。
ページファイル(仮想メモリ)も影響が大きい要素です。Windowsはページファイルを仮想メモリとして利用し、サイズを動的に管理します。メモリ圧迫に応じてこのファイルは絶えず拡大・縮小しており、その過程で大量のバックグラウンド書き込みが発生します。
さらにWindows Updateのキャッシュも無視できません。書き込み頻度こそ低いものの、大型アップデートでは数GB規模になることもあります。また、システムの復元/ボリュームシャドウコピー(VSS)も相当量の書き込みを生み出します。
このほか、Windows Searchのインデックス作成やSysMain(Superfetch)も書き込みを発生させますが、影響は前述の要素ほど大きくありません。こうした仕組みを理解すると、なぜ筆者のシステムで40TBもの書き込みが記録されていたのかが腑に落ちました。
実際に効果があった調整と、手をつけなかった項目
バックグラウンドサービスを片っ端から無効化するのは、ほとんどのドライブにとって不要かつ非現実的です。そこで筆者は、書き込み量の多い処理に絞って変更を加えることにしました。まず行ったのが休止状態の完全無効化です。バッテリーで動かすことのないデスクトップPCなら、この機能は実質不要です。管理者権限のコマンドプロンプトでpowercfg /h offを実行するだけでオフにできます。
Searchインデックスは無効化せず、検索対象を「ドキュメント」やスタートメニューなど、実際に検索するフォルダーのみに絞りました。一方、SysMainはそのまま残しています。VSSも、復元ポイントを失うデメリットが大きすぎるため維持しました。これらの変更の中で最も効果が大きいのは、SSDへの書き込み量が最も多い休止状態の無効化です。
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