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Windows Terminalは優秀なのに、旧来のCmderが今も勝る3つの理由

公開日:2026年4月26日

Windows Terminalは、Microsoftがリリースしているソフトウェアの中でも静かに評価を高めてきた存在です。タブ機能、画面分割、Quakeモード、GPUレンダリング、実用性の高いUnicodeサポート、そしてJSONを直接編集しなくて済む設定UIまで備えています。筆者にとっても既定のターミナルであり、ここしばらく他を探す理由はありませんでした。

しかし、Windows Terminalがここまで完成度を高める前、愛用していたのはCmderでした。Windowsのシェル作業を耐えられるものにしてくれるポータブルなバンドルで、Git for Windowsを同梱し、初期状態からまともなデフォルト設定が揃っていました。Microsoft純正ターミナルがプロファイルやシェル統合をきちんと備えた時点で乗り換えるつもりでしたし、実際ほぼそうしました。それでもCmderを環境から完全には外せないのは、Microsoft単体ではまだ実現できない部分がいくつかあるからです。

Git、ls、grep、sshがどんなWindowsマシンでもすぐ使える

Windows Terminalはあくまで「ターミナルホスト」です。指定したシェルを描画するだけで、ツール一式を持ち合わせていません。クリーンインストール直後のWindowsでは、cmdにもPowerShellにも、日々使うUnixコマンドは含まれていません。lsもgrepもcatもsshもないのです。これらを使いたければ、Git for Windowsを別途インストールし、PATHを整え、新しいマシンごとに同じ作業を繰り返すことになります。

Cmderにこの問題はありません。フルエディションは約100MBで、Git for Windowsを同梱しているため、追加インストールなしでgit、ls、grep、cat、ssh、そして動作するbashシェルがすぐ手に入ります。Zipを展開するだけで、Linuxマシンで普段使うコマンドがそのまま動くのです。

さらにcmdにはClinkが組み込まれ、bash風のコマンドライン編集が可能になります。Ctrl+Rによる履歴の逆検索、精度の高いタブ補完など、Linuxシェルに慣れた人なら自然に感じられるショートカットがそのまま使えます。素のcmdはWindows Terminal上でも、Clinkを自分で導入しない限りこれらを実現できません。

実用面での結論はこうです。Windows TerminalのプロファイルからCmderのinit.batを起動すれば、両者の長所を一度に得られます。Windows TerminalのGPUレンダリングとタブ管理を保ちながら、Cmder側が必要なUnixツール群を環境に静かに投入してくれるのです。

Cmderは完全にポータブル

環境全体がひとつのフォルダに収まり、どこへでもコピーできる

Windows Terminalは優秀なのに、旧来のCmderが今も勝る3つの理由

ポータビリティも、CmderがWindows標準環境に対して依然優位に立つ理由のひとつです。Windows TerminalはMicrosoftアカウントとOSに紐づいたストアアプリであり、別のPCへそのままコピーすることはできません。Cmderはその対極にあります。

Cmderの中身は単一フォルダです。C:\tools\Cmderに展開し、%CMDER_ROOT%環境変数を設定すれば、セットアップはそれだけ。別ドライブや別マシンへ移したくなったらフォルダをコピーするだけで、すべてが付いてきます。エイリアス、カラースキーム、キーボードショートカット、同梱のGit、binフォルダに入れた自前のバイナリまでまとめてです。

Windows Terminalにも設定のエクスポート機能はありますが、対象はあくまでWindows Terminal自身のみ。GitバイナリやUnixツール、エイリアスまでは連れて行ってくれません。シェル環境全体をひとつのポータブルユニットとして扱えるのは、Microsoft製品にはない強みです。

CmderのエイリアスファイルはPowerShellプロファイル構築に勝る

ショートカット用のプレーンテキストファイル、スクリプト不要

Windows Terminalは優秀なのに、旧来のCmderが今も勝る3つの理由

マシンを変えるたびにショートカットを作り直す必要があるなら、ポータビリティの魅力は半減します。ここで真価を発揮するのがCmderのエイリアスファイルであり、純粋なPowerShellでは綺麗な代替手段を見つけられなかった部分でもあります。

Cmderはエイリアスをconfigフォルダ内のプレーンテキストファイルに保存します。記法は極めてシンプルで、1行に1エイリアス。alias gs=git status $*alias ..=cd ..と書けば、次回シェルを開いた瞬間から有効になります。スクリプトを書く必要も、実行ポリシーを調整することも、適切なプロファイルパスを探す作業もありません。PowerShellプロファイルで常用コマンドを登録した経験があれば、この違いはよく分かるはずです。

PowerShellプロファイルは起動時に実行されるスクリプトファイルで、使用するホストやPowerShellのバージョンによって、Documentsフォルダ以下の複数のパスのいずれかに置かれます。Set-Aliasはコマンドからコマンドへの単純なマッピングしか扱えないため、引数を伴う定義、たとえばgsをオプション付きのgit statusに展開するような場合は、関数として丸ごと書く必要があります。PowerShellを書くのが好きなら問題ありませんが、git statusのための2文字ショートカットが欲しいだけなら、儀式が多すぎます。

ここでもポータビリティが効いてきます。エイリアスファイルはCmderフォルダの中にあるので、Cmderを新マシンへコピーすれば、過去に定義したすべてのショートカットがそのまま付いてきます。PowerShellプロファイルはDocuments配下のパスを明示的に同期しない限り持ち運べず、同期できてもセットアップの半分にしかなりません。

Windows Terminalは優秀なのに、旧来のCmderが今も勝る3つの理由
Cmder

対応OS: Windows

価格モデル: 無料

CmderはWindows向けの無料ポータブルコンソールエミュレータです。ConEmuとClinkをベースに、タブ付きターミナル、Unixコマンド、カスタムエイリアス、MonokaiテーマをUSBメモリ1本から利用できます。

この旧式バンドルが今も活躍し続ける理由

筆者自身、Cmderのウィンドウが時代遅れに見えることは認めます。Windows TerminalのGPUアクセラレーション出力と比べると描画は鈍重で、タブ処理は基本的なもので、土台のConEmu UIは10年前に設計されたように見えます。今もCmderを単体で起動しているなら、乗り換えたい気持ちはよく分かります。

ポイントは、Cmderをターミナルとしてではなく、Windows Terminalの中で動く「シェルバンドル」として扱うことです。WTのプロファイルからCmderのinitスクリプトを呼び出せば、古いインターフェースは一切表示されません。残るのは、Unixツール群、ポータブルなフォルダ、そしてエイリアスファイル。それらがMicrosoftのモダンなレンダラーに包まれる形になります。CmderはWindowsコンソールエミュレータへの不満から生まれたツールですが、その不満の大半を、ようやくMicrosoftが描画面で解決しました。そして解決されていない部分こそが、この旧式バンドルが今も座席を守る理由なのです。

著者について

筆者のTashreefは、学生時代に図書館で技術誌「CHIP」に出会ったことがきっかけでコンピュータサイエンスを専攻。2012年以降、1,000本以上のハウツー記事を執筆し、Windows ReportやHow-To Geekに寄稿してきました。現在は2007年から使い続けているMicrosoft Windows関連の記事を中心に、MakeUseOfで執筆しています。ウェブサイトや技術ブログの構築経験を持つ実務派の開発者でもあり、ポートフォリオはitashreef.comで公開中です。

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