Crave Invoice 徹底レビュー|請求書作成ソフトの実力と使い勝手を検証
最近、自身のビジネスを立ち上げようとして痛感したのですが、財務管理は本当に大変です。何年にもわたってソフトウェア開発やカスタムカーネルのコンパイル、独自のLinuxシステム構築を経験してきた私でも、資産・負債・資本・請求書・貸借対照表の管理となると手に負えず、どうしてもソフトウェアの助けが必要でした。ネット上に財務系アプリケーションが数多く存在する状況を見れば、同じ悩みを抱えるのは私だけではないようです。作業を楽にしてくれるソフトを探す中で出会ったのが「Crave Invoice」でした。必ずしも自分の業種向けではありませんでしたが、あえて試してみることに。以下はその体験談です。良い点も悪い点も包み隠さずお伝えします。
Crave Invoice とは
Crave Invoice は Windows 向けアプリケーションで、Pro・Enterprise・Ultimate の3つのエディションが用意されています。各エディションは下位版の機能をすべて含む段階的な構成になっており、Pro には請求書発行機能と顧客管理・製品管理が搭載され、Enterprise はそれに在庫管理が加わり、Ultimate は Enterprise の全機能に加えて生産管理用プラグインまで付属します。
すべてのエディションに30日間の無料トライアルが用意されており、ライセンスを購入する前に十分に使い勝手を確かめられるのも嬉しいポイントです。
セットアップ
Windows アプリケーションなので、インストールは他のソフトウェアと同様の手順で完了します。初回起動時には、会社情報の入力と、任意で税制や通貨情報を設定するシンプルな3ステップウィザードが表示されます。
ウィザード自体は短時間で完結し、非常にシンプルです。特に好印象だったのは、会社情報の入力を終えた後、税制や通貨の画面をスキップできる柔軟性がある点です。
基本的な使い方
今回は3つのエディションのうち、最も機能が絞られた Pro 版をレビューします。とはいえ、全エディション共通のコアモジュールを備えているため、本ソフトの基本性能を確認するには十分です。初回セットアップウィザードを終えると、メイン画面が表示されます。
画面構成はいたってシンプルで分かりやすい印象です。まず最初に試したのが新規顧客の登録でしたが、ここで早速、本アプリ特有の「癖」とも言える挙動に遭遇しました。架空の顧客を作成する際、米国外の住所がどう処理されるかを確認するため、あえてイギリス・ロンドンの住所を入力してみたところ、次のような警告が表示されました。
内容を要約すると、「郵便番号(ZIPコード)が未入力である」(イギリスには該当する制度がない)という指摘と、隣のタブにある配送先住所が未入力であることへの警告です。幸い、Crave は ZIP 欄にロンドン式のポストコードを受け入れ、配送先情報を「Same As Billing Address(請求先住所と同じ)」に設定できたため致命傷にはなりませんでした。ただし、郵便番号制度そのものが存在しない国でどうなるかは予測できません。そもそも配送業務と無関係なビジネスも多い中、Delivery タブが必須項目になっている設計には少し驚かされました。
製品の管理
経理業務を効率化するために、Crave では個々の製品と価格を事前に登録しておき、請求書作成時に簡単に呼び出せる仕組みが用意されています。操作は Quick Access Panel の「Create New Product」ボタンを選択するだけです。
アプリ全体の中では比較的小さな機能ですが、この部分については2点の不満があります。1つ目は、説明フィールドが存在せず、製品に関する補足情報やコメント・メモを記録する手段がないこと。2つ目は、「Units of Measure(単位)」フィールドに NOS・KGS・LTR・MTR の4つの選択肢があるものの、それぞれの意味を示すツールチップなどの説明が一切ないことです。見た目からすると、それぞれ「数量」「キログラム」「リットル」「メートル」を意味していると推測できますが、GUI にもオンラインドキュメントにもそれを裏付ける記載がありません。これらの用語を Google 検索したところ、外国貿易関連の政府機関サイトに行き着き、推測が正しいことを確認できました。とはいえ、ソフトウェア側がユーザーを最新の貿易略語規格に精通している前提とするのは不親切です。
請求書の作成
このソフトウェアが真価を発揮すべき場面といえば、やはり請求書の作成です。名前に「Invoice」と冠している以上、ここは譲れないところでしょう。結論から言えば、概ね名前通りの出来栄えです。Crave なら顧客情報と製品情報を手軽に呼び出し、使いやすい請求書ジェネレーターへと組み込めます。
この画面には、請求書作成に必要なオプションが一通り(むしろ少し余るほど)揃っており、直感的かつ分かりやすい設計です。
ところが、請求書の詳細を入力し終えたところで、Crave を「使えないソフト」と切り捨てかけた問題に直面しました。それが GUI の「癖」だと気づくまでは。上のスクリーンショットを見ると、重要な2つの要素が欠けていることに気づくかもしれません。印刷ボタンはあるのに、請求書をメール送信する機能も、ファイルへ書き出す機能も見当たらないのです。ただし、絶望する必要はありません。どちらの機能も実際には存在しており、なぜか両方とも Print ボタンの奥に隠されています。Print をクリックしてプレビューウィンドウを開くと、そこにメール送信とエクスポートの操作ボタンが現れます。
まとめ
Crave Invoice について、一言で断定的な評価を下すのは難しいソフトです。本来の主目的である「シンプルで見栄えの良い請求書の作成」に関してはしっかりと仕事をしており、グラフィックの品質も良好です。一方で、一部のユーザビリティ面の設計には呆れてしまうほど不可解な部分があります(例えば、すべての画面を1つの重なり合う領域に表示し、タブやタイリングといった合理的な整理手段がない点など)。レポーティング機能は非常に充実しているものの、操作性に難があるため、積極的に活用しようという気持ちになりにくいのが実情です。総じて言えば、Crave Invoice は機能面ではかなり魅力的でありながら、形式・操作性の面で大きく物足りないソフトだと言えます。やや限定的な業態向けに設計された印象ですが、小規模製造業のような用途であれば、これらの癖さえ受け入れられれば、十分に強力な味方になる可能性を秘めています。
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