AI需要でRAM価格が高騰──Appleが模索するメモリコスト対策
要点まとめ
- Macworldによると、AppleはAIサーバー需要の急増とチップ供給能力の限界によりRAMコストの高騰に直面しており、さまざまな緩和策を検討しています。
- 49.3%という高い粗利益率を維持しているものの、ティム・クックCEOは6月期以降、メモリコストの影響が一段と拡大すると予測しています。
- 解決策としては、製品価格の引き上げ、RAM搭載量の削減、あるいは供給不足の継続などが考えられます。後任のジョン・ターナス新CEOがこの課題に向き合うことになります。
Appleはつい先日、史上最も手頃な価格のMacBookを発表したばかりですが、今後も低価格帯のApple製品が続々と登場すると期待するのは早計かもしれません。ティム・クックCEO(現時点では)の話によれば、AIサーバー需要が世界中のチップ生産能力を食いつくしているため、同社も他社と同じく高騰するRAM価格に直面しているとのことです。
Appleの超高効率アーキテクチャは、限られたRAMで動作するスマートフォン、タブレット、ノートPCに適しています。しかし、それにも限界があり、しかもそのわずかなRAMすら値上がりしているのが現状です。
3月期決算で過去最高の売上を発表した後の投資家向け電話会議で、クック氏は前四半期および今四半期(6月期)については、メモリ価格高騰の影響が「繰越在庫によって部分的に相殺されている」と述べました。つまり、すでに確保済みのチップで乗り切れている段階だというのです。しかし6月期以降は、メモリコストが「当社ビジネスへの影響をますます大きくする」と警告しました。
「メモリコストの上昇に伴い、幅広い選択肢を検討していきます……」―― ティム・クック
Appleの取れる選択肢とは?
では、Appleはどう対応するのでしょうか? 推測抜きに断言することは困難です。クック氏は「幅広い選択肢を検討中」と述べるにとどまり、Mac miniとMac Studioは今後数か月間、供給不足が続きそうだと明かしました。「幅広い選択肢」の中身は誰にも分かりませんが、想定されるシナリオは以下の通りです。
- 製品本体、あるいはRAMアップグレードオプションの価格を引き上げるのか?
- 市場から期待されていたRAM増量を見送り、現行のまま少ないRAMで出荷するのか?
- 一部製品の供給不足を容認し、総販売台数への影響を受け入れるのか?
- ハードウェア価格を据え置いたまま、サービス事業やマップ内広告といった新収益源で利益率を補填するのか?
どの問いに対しても、答えは「その可能性もある」という曖昧なものです。ただ、消費者向けテクノロジー業界において、サプライチェーン管理、価格設定、そして驚異的な利益率の維持に関しては、Appleの右に出る企業は存在しません。今四半期の粗利益率は関税の影響を受けながらも49.3%に達し、チップ調達の課題を抱えながらも、来期は48%前後を見込んでいます。
ただし、Appleは翌四半期までしか業績見通しを公表しません。まさに繰越在庫が枯渇し、RAM価格高騰が本格的な打撃となるタイミングです。9月1日にCEO職をジョン・ターナス氏へ引き継ぐクック氏は、「信じられないほど素晴らしいロードマップ」を託すことになるかもしれませんが、同時に、製品価格の高さが折に触れて批判される同社にとっての時限爆弾とも言えるチップ価格問題も引き継がせることになります。
iPhone Ultraやスマートグラスの発売ではなく、このチップ危機の乗り切りこそが、ターナス新体制にとって最初の真の試練となるでしょう。
著者について
Jason Cross(Macworld シニアエディター)
ジェイソンは25年以上にわたりテクノロジー分野で執筆活動を続けています。キャリアの始まりはゲームメディアで、その後、自作PC愛好者向け媒体や一般技術誌へと活動の場を広げました。複雑なテクノロジーの仕組みを深く探究し、誰にでも分かりやすく解説することを得意としています。
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