ブラウザで今すぐ試せる15の興味深いAI実験
AI(人工知能)の実験に触れると、AIが持つ驚くべき能力を目の当たりにできます。実在しない人物のリアルな顔を生成したり、自分の人生のサウンドトラック作りを手伝ったりと、AI実験の用途は実にさまざま。その完成度の高さに、少し不気味さすら感じるほどです。AIには何ができるのか、昔から気になっていたという方は、特別なハードウェア不要でブラウザ上からこれらの実験を試してみましょう。
人工知能(AI)とは何か?
人工知能とは、人間の知能を模倣できるコンピュータサイエンスの一分野です。プログラマーが指示した範囲でしか動けない従来のソフトウェアとは異なり、AIはやり取りやフィードバックを通じて継続的に学習し、適応していきます。
近年、AIはますます賢くなり、日常生活への浸透も進んでいますが、実はその歴史は長く、何年も前から存在していました。私たちが日常的に接しているAIの例としては、次のようなものがあります。
- メールのスパムフィルター(完璧ではありませんが、驚くほど多くのスパムをブロックしています)
- Siri、Alexa、Googleアシスタントなどのスマートスピーカー・音声アシスタント
- 動画配信サービスの「次に見るおすすめ」機能
- 自動運転車(毎日触れる機会はないかもしれませんが、多くの地域ですでに公道を走っています)
- ネットショッピングの商品レコメンド
- ネットバンキング、特に不正利用に関するスマートアラート
AIは「特化型AI」と「汎用人工知能(AGI)」に分類できます。特化型AIはGoogle検索エンジンや音声アシスタントのように、単一のタスクに特化したものです。特定の目的を遂行し、それについて学習するよう設計されており、それ以外のことは行いません。
一方、AGIはディープラーニング(深層学習)や機械学習といった、より高度なAIを包括する概念です。こちらの方がはるかに複雑で、大量のデータを与えることでプログラム自体が学習し、開発者がコードを追加しなくても自律的に成長・適応していきます。人間の脳により近い働きをするのがこのタイプで、データを受け取るほど新たな結び付きが生まれ、さまざまな状況に対してリアルタイムで判断できるようになります。
さらに、ディープラーニングは機械学習よりも高度で、より人間らしい振る舞いが可能です。常に変化する走行状況に適応しなければならない自動運転車は、その好例といえるでしょう。
AIの基礎知識がつかめたところで、早速ブラウザから体験できるAI実験をご紹介します。
1. This Person Does Not Exist
「あざとすぎて偽物と分かる合成写真」の時代は終わりました。AI実験の精度の高さに驚きたいなら、まずThis Person Does Not Existを試してみてください。
このツールは、実際の人間の画像をもとに、完全に架空でありながらリアルな人物の顔を生成します。偽物だと見抜ける唯一の手がかりは顔周辺の部分。背景のぼやけや、たまたま画面内に写り込んだ手の指が多かったりする不自然さなどがそれです。
また、自分専用のモデルをトレーニングする方法を学べるほか、アート向け、猫向け、馬向けなど、テーマ別のバージョンも試せます。
2. AttnGAN
このAI実験は、入力したキャプション(文章)を画像に変換するものです。ただし、かなり奇妙な画像が生成されることも覚悟しておきましょう。表現はまだ荒削りですが、入力した内容に何かしら似たものは表示されるはずです。Tao Xu氏によるAttnGANと、AI動画編集ソフトRunwayを組み合わせて動作しています。
Runwayの本体ソフトも無料で試せます。利用時間は15分までという制限がありますが、さらに多くのAI機能を遊び感覚で体験できます。
3. Cyborg Writer
文章自動生成ツール自体は珍しくありませんが、Cyborg Writerは少しひねったアプローチを採用しています。文を書いても、何も書かなくてもOK。選んだ文体に合わせて新しい文章を生成してくれるのです。対応するのはテイラー・スウィフト、シェイクスピア、さらにはLinuxカーネルのソースコード風など、ユニークなスタイルばかり。
もちろん出力の多くは意味不明なものですが、それでも遊んでいて楽しいツールです。ポップミュージックを選んだところ、実際によくあるポップソングらしい歌詞が生成されました。シェイクスピアやLinuxカーネルも同様です。複数のスタイルを掛け合わせれば、思わず目を見張るような作品が生まれることもあります。
4. Pix2Pix
下手な落書きをリアルな画像に変換してみたいと思いませんか? Pix2Pixならそれが可能です。筆者のように絵が苦手な人の場合、リアルに描き起こされた結果がむしろホラーに見えるかもしれません。
猫、建物、バッグ、靴など、描ける対象がいくつか用意されています。サイトに最初から表示されているサンプルは、筆者が描いた上の画像のような謎の黒い塊(一応、猫のつもりです)とは比べ物にならないほど上手でした。
5. Evolution by Keiwan
もう少しゲーム的な体験がしたい方には、Evolution by Keiwanがおすすめです。関節・骨・筋肉を使って生物を作り、AIがそのデザインに基づいて動きをシミュレートします。世代を重ねるごとに生物は進化し、移動がどんどん上手になっていくのです。
仕組みはシンプルですが、自分の作った生物がどう変化し、どう動くのかを見るのはとても興味深いもの。ちゃんと動き続ける生物を作れるか、それともあっさり失敗するか、純粋に楽しい時間が過ごせます。
6. I Told You This Was a Bad Idea
ゲーム系のもうひとつのAI実験がI Told You This Was a Bad Ideaです。DOS時代のテキストアドベンチャーゲームをプレイしたことがあれば懐かしく感じるかもしれません。ただし、このゲームでは使える言葉やフレーズ、コマンドが限定されていません。
AIがあなたの質問に応じた回答を返してくれるため、状況を打開するには的確な質問を投げかける必要があります。そもそも現状を把握すること自体が課題となることも。毎回展開が変わり、何度プレイしても新鮮です。同じ答えが出ることもありますが、質問とのマッチング精度が驚くほど高いのにびっくりします。
7. Fontjoy
フォントの組み合わせに頭を悩ませるのは嫌だという方は、Fontjoyにお任せください。最大3つのフォントを組み合わせられ、「全く違う雰囲気(高コントラスト)」から「よく似た雰囲気(低コントラスト)」まで、求める対比度を指定できます。気に入ったフォントが表示されたらロックして固定することも可能です。
まず条件に合うランダムなフォントを3つ生成し、いつでもどれかをクリックすれば最適な組み合わせ候補を確認できます。フォント好きの方や、プロジェクト用の書体選びに悩むすべての人にとって楽しいツールです。
8. Text Analytics
Microsoft AIは、Text Analyticsなど複数のAIデモを公開しています。短文でも長文でも自由に入力すると、AIがテキストを分析し、感情(センチメント)の判定、関連するWikipedia記事へのリンク、Bing検索カードの生成などを行ってくれます。
他のMicrosoft AIデモも試してみると、Microsoftがどんな研究を進めているのかが分かり、AI全体の仕組み理解にも役立ちます。
9. DeepBeat
ラップのリリックを考えるのは簡単ではありません。言葉が浮かばないときはDeepBeatを試してみてください。これはAIによるラップ歌詞ジェネレーターで、自分のラインを加えたり、キーワードやテーマをカスタマイズしたり、各行に合わせたライム(押韻)やキーワード入りラインの提案を受け取ったりできます。
無限に楽しめてアイデアの宝庫になる実験です。意味をなさないラインもありますが、中にはなかなか悪くないものも。何より、インスピレーションを得て、自分だけの印象的なラインを作る助けになります。
10. Akinator
Akinatorは「20の質問」ゲームを再現したAI実験です。AIが一連の質問を通じて、あなたが思い浮かべているものを推測します。答えは「はい」「いいえ」「わからない」「たぶんそう」「たぶん違う」から選択でき、対象はキャラクター、動物、物体から選べます。
質問は最初こそ一般的ですが、すぐに具体的になります。筆者のケースでは、思い浮かべた動物がロシア原産かどうかまで聞かれました。わざと間違った答えをして様子を見ましたが、それでも正解を突き止められました。
GoogleのAI実験について
最も興味深いAI実験の数々は、Googleから生まれています。機械学習ツールの構築からお絵かきまで幅広いジャンルがあり、他の実験とは一線を画します。ここではすべてを紹介しきれませんが、少なくとも以下のものはぜひ試してみてください。
11. AutoDraw
絵心に自信がないなら、AutoDrawは必携ツールです。大雑把な図形を描き始めると、AIが「描こうとしているもの」の候補を提案してくれます。筆者が月を描こうとしたところ、瞬時に「月」「肘」「バナナ」の候補が出てきました。確かにどれも自分の絵に似ている形です。
併せてQuick, Draw!もおすすめ。お題となった単語を制限時間内に描くと、AIが20秒以内に何を描いたかを当てるゲームで、AI版クイズペイントのような感覚が味わえます。
12. Semi-Conductor
誰にも見られずにオーケストラを指揮してみたいと思ったことはありませんか? Semi-Conductorなら、Webカメラを使って腕の動きだけで交響曲を指揮できます。最初は恥ずかしさを感じるかもしれませんが、すぐに夢中になれるはず。筆者はセッション中に『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』を指揮しました。
音楽系のもうひとつの楽しい実験がA.I. DUET。AIピアニストがあなたの演奏に合わせて連弾してくれます。
13. Teachable Machine
経験豊富なプログラマーでなくても、独自の機械学習モデルは作れます。Teachable Machineなら、経験やコーディング不要でモデルを構築可能です。やや踏み込んだ実験ではありますが、その価値は十分あります。
自分で集めたサンプルを使って、モデルを実際に教えて訓練できます。画像、音声、姿勢など、扱えるデータの種類も豊富です。完成したモデルは自由に活用でき、無料でオンラインに公開することも可能。何ができるのかイメージできない場合は、公式ページのサンプルプロジェクトやチュートリアルを参考にするとよいでしょう。
14. Semantris
Semantrisは、機械学習を活用した言葉の連想ゲームです。意味検索と自然言語理解の技術を使い、入力した言葉とリスト内の単語をマッチングさせます。
「Arcade」モードはよりスピード感のあるバージョンで、入力した言葉にAIが即座に反応する様子は圧巻です。ゆっくり進めたい方には、単語リストではなくブロックを使う「Blocks」モードも用意されています。
AIゲームが気に入ったら、Googleの隠れたゲームたちも試してみてはいかがでしょうか。
15. Talk to Books
次に読みたい本探しは意外と難しいもの。そんなときはAI実験Talk to Booksに助けてもらいましょう。文章や質問を入力するだけで、本の中の一節をもとにおすすめの本を提示してくれます。筆者が「素晴らしい剣戟シーンは?」と尋ねたところ、ジョージ・R・R・マーティンの『王狼たちの戦旗』やジム・ブッチャーの『Skin Game』を含む5冊の本から、それぞれの一節が紹介されました。
キーワード検索ではなく自然な文章で入力すると、より良い結果が得られるのがポイントです。読書との出会いとAIの実験を同時に楽しめる、一石二鳥のツールです。
よくある質問
1. 自分の実験をGoogleに提案することはできますか?
はい、できます。何か制作中のプロジェクトがある場合や、Googleの実験をベースにオリジナルのものを作りたい場合は、Googleへ投稿することが歓迎されています。革新的なアイデアが求められているため、技術の使い方に工夫を凝らせば採用される可能性も高まるでしょう。
2. AIは世界を良くするためにどんな活用をされていますか?
視聴や買い物のおすすめ機能は便利ですが、世界を変えるほどのものではないかもしれません。上記のAI実験は可能性のほんの一部に過ぎません。Microsoftの「AI for Good」プロジェクトでは、AIが世界改善に貢献する事例が紹介されています。たとえばSeeing AIは、視覚障害のある方が周りの世界をより認識しやすくするためのアプリです。
3. AIについてもっと詳しく学ぶには?
今回のようなAI実験が重要な理由のひとつは、AIを身近で分かりやすい存在にしてくれる点にあります。専門用語の羅列で頭痛がする前に学びたい方は、Code.orgのAIセクションをチェックしてみてください。AIの概念を噛み砕いて解説しているだけでなく、詳細な事例、興味深いプロジェクト、さらにはAIを教えるための教材まで用意されています。
まとめ
私たちはすでに毎日AIと接しています。だからこそ、オンラインの実験を通じてAIを直接「遊んで」みましょう。こうした取り組みこそが、AI技術のさらなる進化を支えています。技術に関わる人々は、実際の人間に試してもらうことで、何が有効で何がそうでないかを学んでいるのです。
AIのその他の可能性に興味がある方は、声から容姿を推測するAIの仕組みや、AIに匂いを認識させる方法とその理由について調べてみるのもおすすめです。
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