ASUS H81M-A 第4世代マザーボード修理記:完全故障からの復活までの診断と修復

今回ワークショップに持ち込まれたのは、ASUS H81M-A(Rev.:1.03、第4世代Intel Core対応)マザーボードです。症状はいわゆる「完全な死亡状態」――電源を入れても一切反応しないというものでした。
診断の第一歩:ボードビューとスタンバイ電圧の確認

まずはこのマザーボードのボードビュー(基板レイアウト情報)を開き、修理作業を開始しました。通電済みのSMPS(スイッチング電源)を接続すると、+5VSB(スタンバイ電圧)が供給されていることを確認できます。この回路図では、+5VSBはSMPSから供給される構成になっています。
次に+3VSBをチェックします。この電圧はLDOレギュレータAZ2085D(回路図上のPU601)によって生成されます。
電源投入で発生した「ループ」現象

+3VSBも正常に出力されており、ここまでは順調でした。しかし、F_Panelの6番ピンと8番ピンをショートさせてマザーボードの電源を入れると、システムがループ状態(起動と停止を繰り返す)に陥りました。これは明らかに悪い兆候です。
各電源ラインの順次チェック

そこで、各電源の出力電圧を順番に測定していきました。最初はメモリ用電源で、1.5Vが正常に供給されています。次に注目したのがNチャネルMOSFET PH7730DL(PQ701)ですが、ここで奇妙な挙動が見つかりました。次の写真で詳しく見てみましょう。

PQ701のドレインには、リニアレギュレータRT9045GSP(PU502)から供給される+1.5VDUALがかかっており、ここまでは問題ありません。ところが、このMOSFETのソースピン(1・2・3番ピン)には出力電圧がありません。回路を解析した結果、致命的な問題が判明しました――ゲートにバイアス(駆動電圧)がまったくかかっていないのです。
オペアンプGS358ASFの不良を特定
このゲート電圧は、オペアンプGS358ASF(PU701)から供給されるはずのものです。このICの3番ピンには1.04Vが存在していました(下の写真参照)が、2番ピンには電圧がありません。

このICはコンパレータとして動作する設計ですが、期待どおりに機能していませんでした。そこで新品と交換。するとマザーボードは起動し、PCHには1.05Vが正常に供給されました。しかし今度はループすることなくシステムがシャットダウンしてしまう――新たな症状が現れたため、次はPWMコントローラASP1258QGJ-A(PU101)を調べることにしました。
PWMコントローラ周辺の調査

このICの2番ピン(P_VCORE_VCC5_20)には+5Vが来ていますが、1番ピン(P_VCORE_EN_10)には電圧がありません。回路を解析すると、トランジスタの1つが劣化しており、適切なタイミングでスイッチングせず、イネーブル信号の+3.3VをGND側に落としてしまう状態になっていました。
トランジスタPQ802の交換で復旧

原因となっていたのは、回路図上のPQ802、NPNトランジスタMMBT3904-Gです。これを新品に交換したところ、すべてが通常どおりの動作に戻りました。
仕上げ:グリス塗布と3日間の連続テスト

最後にCPUへサーマルコンパウンド(グリス)を塗り直し、マザーボード全体の予防保守を実施。その後3日間連続でテストを行いましたが、不具合は一切発生しませんでした。
所有者にとっても、修理者にとっても、二重の満足感。ミッションコンプリートです。

まとめ
本記事は、キューバ在住の「マスター著者」の一人であるHumberto Rodriguez氏によって執筆されました。
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