EVGA 500W 80 Plus認証電源の修理記 ― テスターの導通チェックで-12Vラインのショートを突き止める
電源がまったく入らなくなったPCが、当ワークショップに持ち込まれました。トラブルシューティングの第一歩として、まず電源ユニット(PSU)の状態を確認したところ、どうやらこちらが動作していない様子です。
そこで、電源ユニットをケースから取り外しました。
取り出してみると、これは決して安物ではありません。EVGA製の500W、80 Plus認証(ホワイト)を取得した高品質なSMPS(スイッチング電源)です。せっかくの優良製品なので、なんとしてでも修理を成功させたいところ。掛ける労力は、必ず見合うものになると確信しました。
導通チェックで全出力ラインをテスト
PC用SMPSの修理において、私が特に有効だと考えている手法を採用することにしました。すると、思っていたよりもスムーズに原因へたどり着くことができたのです。
具体的には、デジタルマルチメーターを導通(コンティニュイティ)モードに設定し、すべての出力ライン(V-out)を順番にチェックしていきます。以下は、その作業の様子です。
写真をご覧いただければお分かりのとおり、青色ケーブル(-12Vライン)にショートが発生していました。-12Vはメインの出力ほど使用頻度こそ高くありませんが、シリアルポートや一部のオーディオ回路などで使われる重要なラインであり、ショートしたままでは保護回路が働いて電源が立ち上がりません。ここからは、SMPSを分解して、この青色ケーブルの経路をリバースエンジニアリング的に追跡していきます。
故障部品の特定 ― ショットキーダイオードが短絡
分解と追跡を進めた結果、なんと!ショットキーバリアダイオードがショートしていることが判明しました。次の画像でその様子をご確認ください。
故障していたのは「SR2100」。定格は逆耐圧20〜200V、順方向電流2Aのショットキーバリア整流ダイオードで、データシートはウェブ上で容易に入手できます。今回の交換には、ほぼ同等のスペックを持つ「SB2100(2.0A ショットキーバリアダイオード)」を使用しました。
新しいダイオードを基板に実装したところ、ショートは完全に解消されました。次の写真をご覧ください。
最終テストと復旧
続いて、専用の電源テスター(PSUテスター)を使ってSMPSの各電圧を総合チェックします。さあ、結果はいかに。
テストを無事パスしたので、SMPSをケース内のもとの位置に戻し、PCを起動しました。予想どおり、問題なく正常に動作しています。
シンプルながら実に価値のある修理でした。また一台、高価な機器を廃棄から救えたと思うと、大きな達成感があります。
その後もこのPCは数ヶ月間、現在に至るまで一切の不調なく快調に稼働し続けています。
まとめ
今回の修理で学べるポイントは以下の3つです。
- 導通モードでの全ラインチェック:PC電源の故障切り分けにおいて、最も手早く確実な初動調査になる
- -12Vラインも忘れずに:使用頻度は低いものの、ここがショートすると電源全体が起動しなくなる
- 整流ダイオードはよく壊れる:ショットキーダイオードの短絡はSMPS故障の定番パターンの一つで、安価な同等品への交換で復旧できる
本記事は、当サイトの「マスター著者」の一人である、キューバ在住のHumberto Rodriguez氏による執筆です。
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なお、同氏による過去の記事「ASUS H81M-A(第4世代対応マザーボード)の修理」も併せてご覧ください。
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