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STINGグリッドベースクラスタリングとは?仕組みと構築アルゴリズムを徹底解説

グリッドベースクラスタリングの概要

グリッドベースのクラスタリング手法は、マルチ解像度(マルチレゾリューション)のグリッドデータ構造を活用します。この手法では、対象となる領域を有限個のセルに量子化し、それらのセルがグリッド構造を形成します。クラスタリングに関するすべての処理は、このグリッド構造上で実行されます。

この手法の最大の利点は処理速度の速さです。処理時間はデータオブジェクトの数にはほとんど依存せず、量子化された空間における各次元のセル数のみに依存します。そのため、大規模なデータセットに対しても効率的に動作します。

グリッドベースクラスタリングでは、マルチ解像度のグリッドデータ構造を用い、密度の高いグリッドセルをクラスタとして形成します。代表的な手法として、STINGWaveClusterCLIQUEなどが挙げられます。

STING(Statistical Information Grid)とは

STINGは「Statistical Information Grid(統計情報グリッド)」アプローチと呼ばれる手法です。空間領域を長方形のセルに分割し、異なる解像度に対応した複数のレベルのセルを持ちます。上位レベルの各セルは、次の下位レベルで複数のより小さなセルに分割されます。

各セルの統計データは事前に計算・保存されており、クエリに対して即座に回答できます。上位レベルのセルの統計情報は、下位レベルのセルの統計情報から簡単に算出できます。保存される統計情報には以下が含まれます。

  • count(個数)、mean(平均)、s(標準偏差)、min(最小値)、max(最大値)
  • 分布の種類(正規分布、一様分布など)

STINGの階層構造

STINGは、クアッドツリー(四分木)と同様の階層的アプローチに従い、空間領域を長方形のセルへと分割します。空間データベースを一度だけスキャンし、各セルの統計パラメータを決定します。

STINGは階層型アプローチの一種と見なすことができます。最初のステップは階層記述の作成です。作成されたツリーは、領域を象限ごとに再帰的に分割していきます。

STING構築アルゴリズム

ツリー作成のプロセスを以下のアルゴリズムに示します。空間内の各セルはツリーのノードに対応し、属性非依存のデータ(count)と属性依存のデータ(平均、標準偏差、最小値、最大値、分布)の両方で記述されます。

ツリーのノード数はデータベース内のアイテム数より少ないため、STING BUILDの計算量はO(n)となります。

入力

D // 階層構造に配置するデータ
k // 最下位レベルで必要なセルの数

出力

T // ツリー

STING BUILDアルゴリズム

// 上から下へ空のツリーを作成
T = データ値を初期化したルートノード; // 初期状態ではルートノードのみ
i = 1;
repeat
  for each node in level i do
    初期値を持つ4つの子ノードを作成;
  i = i + 1;
until 4^i = k;

// 下から上へツリーを構築
for each item in D do
  Dの位置に対応するリーフノードjを決定;
  アイテムの属性値に基づいてjの値を更新;
  i := log4(k);
  repeat
    i := i - 1;
    for each node j in level i do
      4つの子の属性値に基づいてjの値を更新;
  until i = 1;

STINGの特徴と利点

STINGには以下のような特徴があります。

  • 高速なクエリ処理: 各セルの統計情報が事前計算されているため、クエリへの応答が非常に速くなります。
  • 増分的な更新: ボトムアップ方式でグリッドを更新できるため、新しいデータの挿入にも柔軟に対応できます。
  • 並列処理との親和性: セルごとに独立して統計情報を計算できるため、並列化が容易です。
  • 注意点: グリッド構造に依存するため、クラスタの境界精度はセルの解像度(粒度)に左右されるという限界があります。
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