フルーリーのアルゴリズムとは?オイラー路・オイラー閉路の求め方を実装例つきで解説
フルーリーのアルゴリズム(Fleury's Algorithm)とは
フルーリーのアルゴリズムは、与えられたグラフからオイラー路(Euler Path)またはオイラー閉路(Euler Circuit)を求めるための古典的なアルゴリズムです。
基本的な考え方はシンプルで、ある辺から出発し、隣接する頂点へ移動するたびに通過済みの辺を削除していきます。この操作を繰り返すことで、ステップごとにグラフが単純化され、最終的にオイラー路やオイラー閉路を効率よく発見できる仕組みになっています。
アルゴリズムを適用するための条件
オイラー路やオイラー閉路を正しく求めるためには、以下のルールを満たしている必要があります。
- 対象のグラフはオイラーグラフであること。
- 移動先の候補として「橋(ブリッジ)」となる辺と「非橋」となる辺の両方が存在する場合、必ず非橋の辺を優先して選ぶこと。
特に2番目のルールが重要です。橋となる辺を先に通ってしまうと、グラフが分断されてしまい、残りの辺をすべて辿れなくなる恐れがあるためです。
開始頂点の選び方
開始頂点の選択にも注意が必要です。任意の頂点をスタート地点にできるわけではありません。
- グラフ内に奇数次(次数が奇数)の頂点が存在しない場合:どの頂点でも開始点として選択可能です。
- 奇数次の頂点が存在する場合:その奇数次の頂点を必ず開始点として選ばなければなりません。
アルゴリズムの擬似コード
フルーリーのアルゴリズムは、主に4つの関数で構成されます。開始頂点の探索、連結性の確認(DFS)、橋の判定、そして本体となる経路構築処理です。
findStartVert(graph)
入力: 対象のグラフ
出力: アルゴリズムの開始頂点
Begin
グラフ内の全ての頂点 i について:
deg := 0
i に隣接する全ての頂点 j について:
deg := deg + 1
もし deg が奇数なら:
return i
全ての次数が偶数の場合は 0 を返す
End
dfs(prev, start, visited)
入力: 直前の頂点 prev、開始頂点 start、訪問リスト visited
出力: DFS後に到達できたノード数
Begin
count := 1
visited[start] := true
グラフ内の全ての頂点 u について:
もし prev ≠ u かつ u が未訪問なら:
もし start と u が接続していれば:
count := count + dfs(start, u, visited)
return count
End
isBridge(u, v)
入力: 始点 u と終点 v
出力: 辺(u, v)が橋であれば true
Begin
deg := 0
v に隣接する全ての頂点 i について:
deg := deg + 1
もし deg > 1 なら:
return false // 橋ではない
return true // 橋である
End
fleuryAlgorithm(start)
入力: 開始頂点
出力: オイラー路またはオイラー閉路の表示
Begin
edge := グラフの辺の総数(再帰呼び出し間で保持)
v_count := ノードの総数(再帰呼び出し間で保持)
start に隣接する全ての頂点 v について:
visited 配列を false で初期化
もし isBridge(start, v) なら v_count を 1 減らす
cnt = dfs(start, v, visited)
もし |cnt − v_count| ≤ 2 なら:
辺 (start → v) を表示
もし isBridge(v, start) なら v_count を 1 減らす
start と v の間の辺を削除
edge を 1 減らす
fleuryAlgorithm(v) を再帰呼び出し
EndC++による実装例
以下は、8頂点の無向グラフを隣接行列で表現し、フルーリーのアルゴリズムでオイラー路を求めるC++プログラムの例です。
#include<iostream>
#include<vector>
#include<cmath>
#define NODE 8
using namespace std;
int graph[NODE][NODE] = {
{0,1,1,0,0,0,0,0},
{1,0,1,1,1,0,0,0},
{1,1,0,1,0,1,0,0},
{0,1,1,0,0,0,0,0},
{0,1,0,0,0,1,1,1},
{0,0,1,0,1,0,1,1},
{0,0,0,0,1,1,0,0},
{0,0,0,0,1,1,0,0}
};
int tempGraph[NODE][NODE];
// 奇数次の頂点を探して開始頂点とする
int findStartVert() {
for(int i = 0; i<NODE; i++) {
int deg = 0;
for(int j = 0; j<NODE; j++) {
if(tempGraph[i][j])
deg++; // 接続する辺が見つかったら次数を増やす
}
if(deg % 2 != 0) // 次数が奇数の頂点の場合
return i; // その頂点を開始点とする
}
return 0; // 全て偶数次なら頂点0から開始
}
// 到達可能なノード数を数えるDFS
int dfs(int prev, int start, bool visited[]){
int count = 1;
visited[start] = true;
for(int u = 0; u<NODE; u++){
if(prev != u){
if(!visited[u]){
if(tempGraph[start][u]){
count += dfs(start, u, visited);
}
}
}
}
return count;
}
// 辺(u, v)が橋かどうかを判定
bool isBridge(int u, int v) {
int deg = 0;
for(int i = 0; i<NODE; i++)
if(tempGraph[v][i])
deg++;
if(deg>1) {
return false; // 橋ではない
}
return true; // 橋である
}
// グラフの辺数をカウント
int edgeCount() {
int count = 0;
for(int i = 0; i<NODE; i++)
for(int j = i; j<NODE; j++)
if(tempGraph[i][j])
count++;
return count;
}
// フルーリーのアルゴリズム本体
void fleuryAlgorithm(int start) {
static int edge = edgeCount();
static int v_count = NODE;
for(int v = 0; v<NODE; v++) {
if(tempGraph[start][v]) {
bool visited[NODE] = {false};
if(isBridge(start, v)){
v_count--;
}
int cnt = dfs(start, v, visited);
if(abs(v_count-cnt) <= 2){
cout << start << "--" << v << " ";
if(isBridge(v, start)){
v_count--;
}
tempGraph[start][v] = tempGraph[v][start] = 0; // グラフから辺を削除
edge--;
fleuryAlgorithm(v);
}
}
}
}
int main() {
for(int i = 0; i<NODE; i++) // 元グラフを作業用グラフへコピー
for(int j = 0; j<NODE; j++)
tempGraph[i][j] = graph[i][j];
cout << "Euler Path Or Circuit: ";
fleuryAlgorithm(findStartVert());
}実行結果
上記のプログラムを実行すると、次のようなオイラー路が出力されます。
Euler Path Or Circuit: 0--1 1--2 2--3 3--1 1--4 4--5 5--6 6--4 4--7 7--5 5--2 2--0
この結果から、すべての辺をちょうど1回ずつ通る経路が正しく構成されていることが確認できます。フルーリーのアルゴリズムは、橋の判定とDFSによる連結チェックを組み合わせることで、常に安全な辺を選択しながらオイラー路を構築する点が大きな特徴です。
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