クヌース・モリス・プラット(KMP)法とは?最悪計算量O(n)の文字列検索アルゴリズムを解説
Knuth–Morris–Pratt法(KMP法)は、テキストを左から右へ向かって一方向に走査しながらパターン照合を行う、高速な文字列検索アルゴリズムです。照合中に不一致が発生した際にも、それまでに一致済みだった文字の情報を捨てずに再利用するため、テキスト側の比較位置を後戻りさせる必要がありません。とくに、パターンの中に同じ部分文字列(サブパターン)が複数回現れるような場合、その性質を活かして無駄な比較を大幅に削減でき、最悪の入力に対しても安定した性能を発揮します。
その計算量は O(n)(nはテキスト長。厳密には前処理を含めて O(n + m)、mはパターン長)であり、どのような入力でも線形時間で完了する点が最大の強みです。
入力と出力
ここでは、主文字列「AAAABAAAAABBBAAAAB」からパターン「AAAB」を検索する例を扱います。
入力: 主文字列: "AAAABAAAAABBBAAAAB" パターン: "AAAB" 出力: パターンの一致位置: 1 パターンの一致位置: 7 パターンの一致位置: 14
アルゴリズムの考え方
KMP法は、次の2つの段階で構成されます。
- 前処理: パターン自身から「接頭辞関数」(失敗関数とも呼ばれます)を作成します。これは、各位置までの部分文字列において「先頭からの接頭辞」と「末尾の接尾辞」が一致する最大の長さを記録した表です。
- 検索: テキストとパターンを比較し、不一致が起きたときに接頭辞関数を参照してパターン側の再開位置を決めます。これにより、一致済みの部分を調べ直すことなく検索を続行できます。
接頭辞関数の構築:findPrefix(pattern, m, prefArray)
入力 − パターン、パターンの長さ m、接頭辞の長さを格納する配列
出力 − 各位置における最長接頭辞の長さを格納した配列
length := 0
prefArray[0] := 0
パターンの各文字インデックス i について繰り返す
if pattern[i] = pattern[length] then
length := length + 1
prefArray[i] := length
else
if length ≠ 0 then
length := prefArray[length - 1]
i := i - 1
else
prefArray[i] := 0
本体:kmpAlgorithm(text, pattern)
入力: 主テキストと、検索対象となるパターン
出力 − パターンが見つかった位置の一覧
n := テキストの長さ
m := パターンの長さ
findPrefix(pattern, m, prefArray) を呼び出す
while i < n do
if text[i] = pattern[j] then
i と j を 1 ずつ増やす
if j = m then
位置 (i - j) にパターンが見つかったものとして出力
j := prefArray[j - 1]
else if i < n AND pattern[j] ≠ text[i] then
if j ≠ 0 then
j := prefArray[j - 1]
else
i := i + 1
C++による実装例
以下は、上記のアルゴリズムをC++で実装したコード例です。
#include<iostream>
using namespace std;
// 接頭辞(失敗)配列を構築する
def findPrefix(string pattern, int m, int prefArray[]) {
int length = 0;
prefArray[0] = 0; // 先頭は常に0(対応する接頭辞がないため)
for(int i = 1; i<m; i++) {
if(pattern[i] == pattern[length]) {
length++;
prefArray[i] = length;
}else {
if(length != 0) {
length = prefArray[length - 1];
i--; // 反復後のインクリメントを打ち消すため i を減らす
}else
prefArray[i] = 0;
}
}
}
// KMP本体:パターン検索を行う
void kmpPattSearch(string mainString, string pattern, int *locArray, int &loc) {
int n, m, i = 0, j = 0;
n = mainString.size();
m = pattern.size();
int prefixArray[m]; // パターンと同じサイズの接頭辞配列
findPrefix(pattern, m, prefixArray);
loc = 0;
while(i < n) {
if(mainString[i] == pattern[j]) {
i++; j++;
}
if(j == m) {
locArray[loc] = i-j; // 位置 i-j でパターンが見つかった
loc++;
j = prefixArray[j-1]; // 配列から接頭辞の長さを取得して再開
}else if(i < n && pattern[j] != mainString[i]) {
if(j != 0)
j = prefixArray[j-1];
else
i++;
}
}
}
int main() {
string str = "AAAABAAAAABBBAAAAB";
string patt = "AAAB";
int locationArray[str.size()];
int index;
kmpPattSearch(str, patt, locationArray, index);
for(int i = 0; i<index; i++) {
cout << "Pattern found at location: " <<locationArray[i] << endl;
}
}
実行結果
Pattern found at location: 1 Pattern found at location: 7 Pattern found at location: 14
主文字列中の位置 1、7、14 の3か所でパターン「AAAB」が検出されました。KMP法ではテキストの走査が常に一方向に進むため、テキスト長を n とすると、最悪の場合でも比較回数は線形オーダー O(n) に収まります。素朴な文字列検索(ナイーブ法)が最悪 O(n × m) かかることを考えると、長いテキストや反復的なパターンを扱う場面で、その効果は絶大です。
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