オンプレミスのOracleデータベースのRMANバックアップをOCI Object Storageに構成する方法
クラウドストレージは、容易なアクセシビリティ、高い冗長性とレプリケーション機能、コスト削減につながる多彩なストレージ階層など、多くのメリットを持つことから、近年広く利用されています。こうした利点を活かして、Oracle® Databaseのバックアップをクラウドストレージに保管できます。さらに、オフサイトにバックアップコピーを保持できることも、Oracleデータベースのバックアップをクラウドストレージに取得する大きな理由の一つです。
概要
Oracle Recovery Manager(RMAN)によるバックアップは、Cloud Object Storageに直接保存するよう構成できます。本記事では、オンプレミスのOracleデータベースに対してRMANバックアップを設定し、作成したバックアップをOracle Cloud Infrastructure(OCI)Object Storageへ直接送信する方法を解説します。
ODBCSを使用したバックアップの取得
Oracle Databaseのバックアップをクラウドストレージに取得するには、Oracle Database Backup Cloud Service(ODBCS)を使用する必要があります。ODBCSは、OracleデータベースのバックアップをOracle Cloudに保存するための、セキュアでスケーラブルなオンデマンド型ストレージソリューションです。本記事では、以下の手順に従ってOracleデータベースのバックアップを取得し、Oracle Database Backup Cloud Serviceを使ってCloud Object Storageに送信する方法を説明します。
- ODBCSを契約する
- Oracle Database Cloud Backupモジュールをダウンロードしてインストールする
- 環境に合わせてRMAN設定を行い、バックアップをCloud Object Storageに送信できるようにする
- RMANコマンドを使用してバックアップを取得する
次の図は、これらのステップを示しています。
注意: ODBCSは11g Release 2(11.2.0.4)以降で利用可能です。OracleソフトウェアのEnterprise EditionとStandard Editionの両方がクラウドバックアップに対応しており、このサービスはLinux®、Solaris® x86-64、SPARC®、Windows®、AIX®、HP-UX、zLinuxの各プラットフォームで利用できます。
Oracle Database Backup Cloud Serviceの契約
Oracle Database Cloudサービスを契約するには、以下の手順を実行します。
- Cloud Portalで「Oracle Storage Cloud Service」を検索し、Oracle Database Backup Cloud Serviceのトライアルを申請するか、サブスクリプションを購入します。
- サービスをアクティブ化し、動作を確認します。
- サービス用のデータセンターまたはリージョンを選択し、必要に応じて別リージョンへのレプリケーションを設定します。
Oracle Database Cloud Backupモジュールのダウンロードとインストール
OCI向けのOracle Database Cloud Backupモジュールと標準的なRMANコマンドを使用することで、OCI上でバックアップおよびリストアを実行できます。このモジュールはRMANと統合されるシステム・バックアップ・テープ(SBT)インターフェースを提供します。
- Oracle Technology Network(OTN)から、OCI向けOracle Database Cloud Backupモジュールをダウンロードします。
- OCI向けOracle Database Cloud Backupモジュールをインストールする前に、以下の点を確認してください。
- サポート対象のOSとOracleデータベースのバージョンを使用していること
- OCI Object Storageへのアクセス権を持つOracle Cloudアカウントがあること
- JDK 1.7以降がインストールされていること
- インストールに必要な以下のパラメータ情報が揃っていること
- OCI Object StorageのHTTPSエンドポイントURL
- テナンシOCID(リソースを識別するOracle Cloud Identifier)
- コンパートメントOCID(任意)
- 秘密鍵ファイル
- ウォレットの配置場所
- SBTライブラリのインストール先
インストールプロセスがデフォルトのストレージコンテナを自動的に作成するため、ストレージバケットやコンテナを事前に作成する必要はありません。
- ダウンロード後、zipファイルの内容を展開します。ファイルにはoci_installerディレクトリとopc_installerディレクトリ、およびREADMEファイルが含まれています。
- Oracle Cloudの資格情報を使用し、データベースサーバー上のoci_installerディレクトリにあるインストーラーoci_install.jarを実行します。以下のコマンドで必要なパラメータを指定し、OCI Cloud Backupモジュールをインストールします。
$ java -jar oci_install.jar
-host https://objectstorage.REGION.oraclecloud.com
-pvtKeyFile /home/oracle/install/privateKeyFile.pem
-pubFingerPrint XX:XX:XX:XX
-tOCID ocid1.tenancy.oc1..XXXX
-uOCID ocid1.user.oc1..XXXX
-cOCID ocid1.compartment.oc1..XXXX
-walletDir $ORACLE_HOME/dbs/wallet
-libDir $ORACLE_HOME/lib
-configFile $ORACLE_HOME/dbs/opcSID.ora
モジュールのインストール後、認証キーはOracleウォレットにセキュアに格納され、OCI Object Storageとのやり取りの認証に使用されます。
- 1台のサーバーに複数のRDBMSホームが存在する場合は、各ホームごとにこのモジュールを個別にインストールし、それぞれのバックアップをOCI Object Storageに送信できるようにする必要があります。インストールにより、以下のファイルが作成されます。
- $ORACLE_HOME/lib/libopc.so: OCIでのクラウドバックアップおよびリストアを可能にする、OS固有のSBTライブラリ
- $ORACLE_HOME/dbs/opcSID.ora: OCI Object StorageのバケットURL、クレデンシャルウォレットの場所、バケット名などの必須情報を含む構成ファイル
- cwallet.sso: インストーラー実行時に
--walletDirパラメータで指定した場所に作成され、OCI Object Storageの資格情報をセキュアに保管するOracleウォレットファイル
RMAN設定とOCI Object Storageへのバックアップ送信
OCI Object Storageへのバックアップを正常に実行できるよう設定するには、以下の手順を実行します。
- Oracle Database Backup Cloud Serviceにバックアップを送信する前に、バックアップを暗号化する必要があります。バックアップ実行時に、以下のいずれかのモードで暗号化を指定できます。
- パスワード暗号化
- TDE(Transparent Data Encryption:透過的データ暗号化)
- デュアルモード暗号化(パスワードとTDEの組み合わせ)
- OCI Object Storageへのバックアップを成功させるには、あらかじめデータベースに対してTDE暗号化を有効にしておく必要があります。有効にしていない場合は、パスワード暗号化を使用できます。たとえば、バックアップ時にパスワード暗号化を有効にするには、次のコマンドを使用します。
RMAN> SET ENCRYPTION ON IDENTIFIED BY 'my_pswd' ONLY;
- OracleデータベースをODBCSにバックアップする際は、クラウドへ送信する前にバックアップサイズを削減するため、圧縮をオプションで利用することもできます。たとえば、次のRMANコマンドはMEDIUMアルゴリズムによる圧縮を構成します。
RMAN> CONFIGURE COMPRESSION ALGORITHM 'MEDIUM';
backup、restore、recoverなどすべてのRMANコマンドでこのチャネルが使用されるよう永続的な構成を作るため、RMANチャネルを構成します。LinuxおよびUNIXシステムでは、次のコマンドを使用します。
RMAN> CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE sbt PARMS='SBT_LIBRARY=<ORACLE_HOME>/lib/libopc.so, SBT_PARMS=(OPC_PFILE=<ORACLE_HOME>/dbs/opcSID.ora)';
RMANコマンドによるバックアップとリストアの実行
RMANの構成が完了すると、オンプレミスのディスクへのバックアップで普段使用しているRMANコマンドと同じものを使って、クラウドへのバックアップやリストアを実行できます。構成完了後は、次のようなバックアップスクリプトを実行して、OCI Object Storageへのバックアップを取得できます。
SET ENCRYPTION ON IDENTIFIED BY '<my_pswd>' ONLY;
run {
allocate channel ch1 device type sbt parms 'SBT_LIBRARY=<ORACLE_HOME>/lib/libopc.so,ENV=(OPC_PFILE=<ORACLE_HOME>/dbs/opcSID.ora)';
allocate channel ch2 device type sbt parms 'SBT_LIBRARY=<ORACLE_HOME>/lib/libopc.so,ENV=(OPC_PFILE=<ORACLE_HOME>/dbs/opcSID.ora)';
backup as compressed backupset database format '%d_DB_%U';
backup as compressed backupset archivelog all not backed up format '%d_ARCH_%U';
backup as compressed backupset current controlfile format '%d_CTRL_%U';
release channel ch1;
release channel ch2;
}
まとめ
本記事では、オンプレミスのOracleデータベースのRMANバックアップをOCI Object Storageに取得するために必要な手順を紹介しました。構成を整えてしまえば、OCI Object Storageをもう一つのテープライブラリのように扱い、アーカイブログのバックアップ、リストア、リカバリ、バックアップの削除など、オンプレミスデータベースと同様のすべての操作を実行できます。これにより、冒頭で述べたクラウドストレージの価値ある機能を最大限に活用できます。
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