Amazon S3を活用したOracle Databaseのバックアップ方法
本記事では、Amazon Simple Storage Service(S3)をOracle® Databaseのバックアップストレージとして活用する方法を解説します。Amazon Web Services(AWS)は、クラウド上でのデータベースバックアップを可能にするためOracleと提携した最初のクラウドベンダーであり、S3はAWSの中核を担うストレージサービスです。
はじめに
S3はシンプルなWebサービスインターフェースを備えており、アプリケーションはインターネット上のどこからでも、任意の量のデータを保存・取得できます。S3は高い拡張性・信頼性・処理速度と低コストを兼ね備えたデータストレージインフラストラクチャであり、何千もの企業が、「コールド」と呼ばれる低価格ストレージから、世界中の顧客へのリッチなマルチメディアコンテンツのリアルタイム配信まで、さまざまな本番環境のストレージニーズにS3を活用しています。
以下の図は、S3の基本的なコンセプトを示したものです。
Oracle Secure Backupクラウドモジュールとは
Oracle Secure Backup(OSB)クラウドモジュールを使用すると、Oracle DatabaseのバックアップをAmazon S3へ直接送信できます。このモジュールはOracle Database 9i Release 2以降に対応しており、利用にはインターネットへのネットワーク接続とAWSへの支払い手段が必要です。また、OSBクラウドモジュールは、Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)上で稼働するデータベースに対しても使用でき、その場合、EC2内部の高いネットワーク帯域幅の恩恵を受けられるうえ、S3との間のデータ転送コストも発生しません。
OSBクラウドモジュールは、Oracle Recovery Manager(RMAN)のシリアルバックアップテープ(SBT)インターフェースによって実装されています。SBTインターフェースにより、外部のバックアップライブラリをRMANへシームレスに統合できるため、データベース管理者はEnterprise ManagerやRMAN、既存のスクリプトなど、これまで使い慣れたバックアップツールをそのまま利用してクラウドバックアップを実行できます。
OSBクラウドモジュールは、Linux® 64ビットおよびSPARC® 64ビット向けに提供されています。なお、Microsoft® Windows 32ビット版およびLinux 32ビット版は非推奨(廃止予定)となっている点に注意してください。
以降のセクションでは、OSBクラウドモジュールのインストール手順と、サンプルとなるクラウドバックアップの設定方法を順を追って説明します。
ステップ1:Amazon S3へのサインアップ
OSBクラウドモジュールの利用を始める最初のステップは、Amazon S3へのサインアップです。次の画像のように、Amazon S3の公式サイトにアクセスして登録を行います。
登録が完了すると、Access Key ID(アクセスキーID)とSecret Access Key(シークレットアクセスキー)と呼ばれる一組のアクセス識別子が発行されます。以下の画像をご参照ください。
アクセスキーIDとシークレットアクセスキーの確認手順は以下の通りです。
- AWS Management Consoleにログインします。
- ページ右上にあるユーザー名をクリックします。
- ドロップダウンメニューからSecurity Credentials(セキュリティ認証情報)を選択します。
- Access keys(アクセスキー)セクションにキーが表示されます。
- キーが存在しない場合は、Create access key(アクセスキーの作成)をクリックします。
ステップ2:Oracleアカウントの登録
OSBクラウドモジュールをインストールするには、Oracle.comまたはOracle Technology Network(OTN)のアカウントが必要です。アカウントをお持ちでない場合は、OTNのウェブサイトで新規登録できます。
ステップ3:OSBクラウドモジュールのインストール
OTNのウェブサイトからOSBクラウドモジュールのインストールツールをダウンロードし、以下のコマンドを実行してモジュールをインストールします。
[root@ip-10-0-1-135 Downloads]# unzip osbws_installer.zip
Archive: osbws_installer.zip
inflating: osbws_install.jar
inflating: osbws_readme.txt
[root@ip-10-0-1-135 Downloads]#
[oracle@ip-10-0-1-135 dbs]$ /home/oracle/jdk1.8.0_144/bin/java -jar osbws_install.jar \
> -AWSID ******************** \
> -AWSKey ******************************** \
> -otnUser vverma@tricoresolutions.com \
> -walletDir $ORACLE_HOME/dbs/osbws_wallet \
> -libDir $ORACLE_HOME/lib
Oracle Secure Backup Web Service Install Tool, build 2017-06-01
AWS credentials are valid.
Oracle Secure Backup Web Service wallet created in directory /u01/app/PROD/db/tech_st/11.1.0/dbs/osbws_wallet.
Oracle Secure Backup Web Service initialization file /u01/app/PROD/db/tech_st/11.1.0/dbs/osbwsPROD.ora created.
Downloading Oracle Secure Backup Web Service Software Library from file osbws_linux64.zip.
Download complete.
ステップ4:ファイルの確認
まず、以下のコマンドを実行して、ライブラリファイルlibosbws.soが正しく配置されていることを確認します。
[oracle@ip-10-0-1-135 osbws_wallet]$ cd $ORACLE_HOME
[oracle@ip-10-0-1-135 11.1.0]$ cd lib
[oracle@ip-10-0-1-135 lib]$ ls -ltr libosbws.so
-rw-r--r--. 1 oracle dba 93601830 Aug 5 07:00 libosbws.so
続いて、以下のコマンドでOSBパラメータファイルとウォレットファイルを確認します。
[oracle@ip-10-0-1-135 lib]$ cd $ORACLE_HOME/dbs
[oracle@ip-10-0-1-135 dbs]$ ls -ltr osbwsPROD.ora
-rw-r--r--. 1 oracle dba 145 Aug 5 07:00 osbwsPROD.ora
[oracle@ip-10-0-1-135 dbs]$ cat osbwsPROD.ora
OSB_WS_HOST=https://s3.amazonaws.com
OSB_WS_WALLET='location=file:/u01/app/PROD/db/tech_st/11.1.0/dbs/osbws_wallet CREDENTIAL_ALIAS=vickey07_aws'
[oracle@ip-10-0-1-135 dbs]$ ls -ltr osbws_wallet
total 4
-rw-------. 1 oracle dba 0 Aug 5 07:00 cwallet.sso.lck
-rw-------. 1 oracle dba 1613 Aug 5 07:00 cwallet.sso
ステップ5:USERS表領域のバックアップ
以下のRMANコマンドを実行すると、USERS表領域のバックアップをS3に送信できます。
RMAN> run {
allocate channel s3_bucket device type sbt
parms 'SBT_LIBRARY=/u01/app/PROD/db/tech_st/11.1.0/lib/libosbws.so ENV=(OSB_WS_PFILE=/u01/app/PROD/db/tech_st/11.1.0/dbs/osbwsPROD.ora)';
backup tablespace users;
}
2> 3> 4> 5>
allocated channel: s3_bucket
channel s3_bucket: SID=400 device type=SBT_TAPE
channel s3_bucket: Oracle Secure Backup Web Services Library VER=3.17.7.27
Starting backup at 05-AUG-17
channel s3_bucket: starting full datafile backup set
channel s3_bucket: specifying datafile(s) in backup set
input datafile file number=00019 name=/u01/app/PROD/db/apps_st/data/user01.dbf
channel s3_bucket: starting piece 1 at 05-AUG-17
channel s3_bucket: finished piece 1 at 05-AUG-17
piece handle=03sb4ecv_1_1 tag=TAG20170805T072414 comment=API Version 2.0,MMS Version 3.17.7.27
channel s3_bucket: backup set complete, elapsed time: 00:00:01
Finished backup at 05-AUG-17
released channel: s3_bucket
RMAN>
ステップ6:RMANバックアップの検証
以下のコマンドを実行して、USERS表領域のS3へのバックアップ結果を検証します。
RMAN> list backup of tablespace users;
List of Backup Sets
===================
BS Key Type LV Size Device Type Elapsed Time Completion Time
------- ---- -- ---------- ----------- ------------ ---------------
1 Full 1.03M DISK 00:00:00 05-AUG-17
BP Key: 1 Status: AVAILABLE Compressed: NO Tag: TAG20170805T071737
Piece Name: /u01/app/PROD/db/tech_st/11.1.0/dbs/02sb4e0i_1_1
List of Datafiles in backup set 1
File LV Type Ckp SCN Ckp Time Name
---- -- ---- ---------- --------- ----
19 Full 5965126970157 05-AUG-17 /u01/app/PROD/db/apps_st/data/user01.dbf
BS Key Type LV Size Device Type Elapsed Time Completion Time
------- ---- -- ---------- ----------- ------------ ---------------
2 Full 1.25M SBT_TAPE 00:00:00 05-AUG-17
BP Key: 2 Status: AVAILABLE Compressed: NO Tag: TAG20170805T072414
Handle: 03sb4ecv_1_1 Media: s3.amazonaws.com/oracle-data-vickey07-1
List of Datafiles in backup set 2
File LV Type Ckp SCN Ckp Time Name
---- -- ---- ---------- --------- ----
19 Full 5965126970339 05-AUG-17 /u01/app/PROD/db/apps_st/data/user01.dbf
RMAN>
出力結果を見ると、最初のバックアップは以前実行されたローカルバックアップであり、ローカルのバックアップピース(ファイル)が表示されています。一方、2番目のバックアップではメディアがs3.amazonaws.comになっていることがわかります。oracle-data-vickey07-1は、Amazon S3内に自動的に作成されたバケット(論理コンテナ)です。
また、以下の画像のように、AWSマネジメントコンソールからもバックアップの結果を確認できます。
まとめ
Oracle OSBクラウドモジュールを利用することで、Amazon S3をオフサイトのバックアップ保存先として手軽に活用できます。従来のテープベースのオフサイト保管と比較して、クラウドバックアップはアクセス性に優れ、多くの場合リストアも高速で、信頼性も高くなっています。さらに、オフサイトバックアップ運用に伴う管理負荷も軽減できます。クラウドバックアップは、コンピュートクラウド上で稼働するデータベースに最適な保護を提供する有効な選択肢といえるでしょう。
Rackspace Application Servicesの詳細については、こちらをご覧ください。
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