Oracle EBSのAPPSスキーマとWebLogicのパスワードを変更する手順【R12.2対応】
本記事では、Oracle® E-Business Suite(EBS)のAPPSスキーマおよびWebLogic®のパスワードを変更する手順を詳しく解説します。これは、Oracle Applicationsデータベース管理者(DBA)にとって日常的な重要作業のひとつです。EBS R12.2では、AFPASSWDオプションを使用するか、FNDCPASSを使用した後に一部手動作業を行うことで、パスワードを変更できます。
スキーマパスワードの変更
EBS R12.2における主要スキーマは以下のとおりです。
| スキーマ | 説明 |
|---|---|
| APPS | データベース内のすべてのアプリケーションコードを所有し、E-Business Suiteの全データにアクセスできます。 すべてのエンドユーザー接続は、APPLSYSPUBスキーマによる認証後にAPPSとして接続されます。 APPSスキーマは、APPLSYSおよびAPPS_NEスキーマと同じパスワードである必要があります。 |
| APPLSYS | ユーザーやメニューなどを定義するための基盤オブジェクト(AD_*テーブル、FND_*テーブル)を所有します。 APPLSYSスキーマは、APPSおよびAPPS_NEスキーマと同じパスワードである必要があります。 |
| APPS_NE | E-Business Suite向けの新しい非エディション(non-editioned)ランタイム「APPS」ユーザーです。 APPS_NEスキーマは、APPLSYSおよびAPPSスキーマと同じパスワードである必要があります。 |
参考資料: Integrigy – Oracle E-Business Suite: APPLSYS, APPS and APPS_NE
注意: パスワード変更の作業はrunファイルシステム上で実行する必要があります。また、パスワードを変更する前に、必ずFND_USERテーブルとFND_ORACLE_USERIDテーブルのバックアップを取得してください。変更が正常に完了したことを確認できたら、バックアップは削除します。APPLSYSのパスワードを変更すると、APPS・APPLSYS・APPS_NEの3つのスキーマのパスワードが同時に変更されます。
それでは、スキーマパスワードを変更する具体的な手順を見ていきましょう。
ステップ1:アプリケーション層サービスの停止
プライマリアプリケーションノードから次のコマンドを実行し、複数ノードのアプリケーション層サービスを停止します。
adstpall.sh apps/apps_password -mode=allnodesこのコマンドを実行すると、WebLogicパスワードの入力を求められます。内部では、R12.2.xの前提条件セットアップ時に有効化されたSecure Shell(SSH)経由ですべてのノードに接続します。
ステップ2:パスワードの変更
APPS、APPLSYS、APPS_NEスキーマのパスワードを変更するには、次のコマンドラインユーティリティのいずれかを使用します。
FNDCPASSを使用する場合
プライマリアプリケーションサーバーのrunファイルシステムに環境ファイルをエクスポートした後、次のコマンドでパスワードを変更します。
FNDCPASS apps/apps_password 0 Y <SYSTEMユーザー名>/<SYSTEMパスワード> SYSTEM APPLSYS <新しいパスワード>注意: パッチ19127427の適用が必要な場合があります。未適用の場合、FNDCPASSが「ERROR IN PASSWORD VERIFICATION FOR APPS」というエラーで失敗することがあります。
AFPASSWDを使用する場合
AFPASSWDはFNDCPASSの強化版であり、次のような特徴があります。
- 現在の操作に必要なパスワードのみの入力を求めるため、アプリケーション管理者とデータベース管理者の職務分離が実現できます。また、Oracle Database Vaultとの相互運用性も向上します。一方、従来の
FNDCPASSではAPPSおよびSYSTEMのユーザー名とパスワードの両方が必要なため、職務分離が困難でした。 AFPASSWDでパスワードを変更する際は、確認のため新しいパスワードを2回入力します。- EBS Release 12.2.3以降では、
AFPASSWDを使用してEBSユーザーパスワードをパスワードハッシュ方式へ移行することも可能です。
AFPASSWDコマンドの構文は次のとおりです。
AFPASSWD [-c <APPSUSER>[@<TWO_TASK>]] -s <APPLSYS>以下は、データベースユーザーERPUATとして、プライマリアプリケーションサーバーのrunファイルシステムの環境ファイルをエクスポートしながらパスワードを変更する例です。
- コマンドを実行:
AFPASSWD -c apps@ERPUAT -s APPLSYS - Application Object LibraryのOracleパスワード(APPSUSER)を入力し、APPSへの接続を確立します。
- SYSTEM Oracleスキーマのパスワードを入力し、SYSTEMへの接続を確立します(ログファイル:AFPWD_ERPUAT_11.log)。
- ユーザーの新しいパスワードを入力し、確認のため再入力します。
- 操作が正常に完了します。
ステップ3:AutoConfigの実行
新しく変更したパスワードを使用して、すべてのノードでAutoConfigを実行します。
ステップ4:AdminServerの起動
$INST_TOP/admin/scripts/adadminsrvctl.shスクリプトを使用してAdminServerを起動します。この時点では、他のアプリケーション層サービスは起動しないでください。
adadminsrvctl.sh startステップ5:WebLogicでのAPPSパスワードの変更
次のいずれかの方法で、WebLogic Suite(WLS)データソースのAPPSパスワードを変更します。
管理コンソールから変更する場合
- WLS管理コンソールにログインします。

- 変更センターで[Lock & Edit]をクリックします。

- ドメイン構造ツリーで[サービス]を展開し、[データ・ソース]を選択します。

- [JDBCデータ・ソースのサマリー]ページで[EBSDataSource]を選択します。

- [EBSDataSourceの設定]ページで[接続プール]タブを選択します。
- [パスワード]欄に新しいパスワードを入力します。

- [パスワードの確認]欄にも同じ新しいパスワードを入力します。
- [保存]をクリックします。
- 変更センターで[変更のアクティブ化]をクリックします。
コマンドラインから変更する場合
UNIXのプロンプトからWLSのadadminコンソール経由でAPPSパスワードを変更するには、次の手順を実行します。
- 次の情報を事前に確認しておきます(次のステップで使用します)。
- weblogic_password:WebLogicのパスワード
- server_name:WebLogic管理サーバーが稼働しているサーバー名
- port:runファイルシステムのWebLogic管理ポート
- apps_password:先ほど変更した新しいappsパスワード
- データソースの実際のパス:$FMW_HOME/user_projects/domains/EBS_domain_${ORACLE_SID}
- updateDSpwd.pyを編集し、パラメータを自身の環境に合わせて更新します。
username = 'weblogic'
password = 'weblogic_password'
URL= 't3://server_name:port'
connect(username,password,URL)
edit()
startEdit()
en = encrypt('apps_password','actual path of data source')
dsName = 'EBSDataSource'
cd('/JDBCSystemResources/'+dsName+'/JDBCResource/'+dsName+'/JDBCDriverParams/'+dsName)
set('PasswordEncrypted',en)
print ('')
print ('')
save()
activate()- updateDSpwd.pyを実行します。
ステップ6:すべてのサービスの起動
プライマリアプリケーションノードから次のコマンドを実行し、すべてのサービスを起動します。
adstrtal.sh apps/apps_password -mode=allnodesステップ7:WebLogicデータソースの検証
WLSデータソースが正しく動作しているか、次の手順で確認します。
- WLS管理コンソールにログインします。
- ドメイン構造ツリーで[サービス]を展開し、[データ・ソース]を選択します。
- [JDBCデータ・ソースのサマリー]ページで[EBSDataSource]を選択します。
- [EBSDataSourceの設定]ページで[モニタリング] > [テスト]を選択します。
- [oacore_server1]を選択します。
- [データ・ソースのテスト]をクリックします。
- 「Test of EBSDataSource on server oacore_server1 was successful」というメッセージが表示されることを確認します。
WebLogicパスワードの変更
ここからは、WebLogic自体のパスワードを更新する手順を、Txk Delta 7以降のバージョンと、Txk Delta 7より前のバージョンに分けて紹介します。
Txk Delta 7以降の場合
次のコマンドを実行してrunファイルシステムをsourceし、AdminServer以外のすべてのアプリケーション層サービスを停止します。プライマリアプリケーションサーバー上で、AdminServerとNode Manager以外のアプリケーションサービスが稼働していないことを確認してください。
adstpall.sh apps/apps_password -mode=allnodes -skipNM -skipAdmin次のコマンドを実行して、WebLogic管理パスワードを変更し、サービスを起動します。
perl $FND_TOP/patch/115/bin/txkUpdateEBSDomain.pl -action=updateAdminPasswordAppsパスワード、現在のWebLogicパスワード、新しいWebLogicパスワードの入力を求められます。
以下は、この処理の実行ログのサンプルです。
$ perl $FND_TOP/patch/115/bin/txkUpdateEBSDomain.pl -action=updateAdminPassword Program: txkUpdateEBSDomain.pl started at Tue Aug 21 04:30:52 2018 AdminServer is restarted after changing WebLogic Admin Password All MidTier services should be SHUTDOWN before changing WebLogic Admin Password Confirm if all Mid-Tier services are in SHUTDOWN state. Enter "Yes" to proceed or anything else to exit: Enter the full path of Applications Context File [DEFAULT - /apps1/OSID/fs1/inst/apps/OSID_pserver/appl/admin/OSID_pserver.xml]: Enter the WLS Admin Password: Enter the new WLS Admin Password: Enter the APPS user password: Online mode: Backup Location: /apps1/OSID/fs1/inst/apps/OSID_pserver/logs/appl/rgf/TXK/txkUpdateEBSDomain_Tue_Aug_21_04_30_52_2018 Logfile Location: /apps1/OSID/fs1/inst/apps/OSID_pserver/logs/appl/rgf/TXK/txkUpdateEBSDomain_Tue_Aug_21_04_30_52_2018/updateAdminPassword.log Domain updated successfully Restarting AdminServer with new Admin Password. You are running adadminsrvctl.sh version 120.10.12020000.10 Stopping WLS Admin Server... adadminsrvctl.sh: exiting with status 0 You are running adnodemgrctl.sh version 120.11.12020000.12 adnodemgrctl.sh: exiting with status 0 You are running adadminsrvctl.sh version 120.10.12020000.10 Starting WLS Admin Server... adadminsrvctl.sh: exiting with status 0 *************** IMPORTANT **************** WebLogic Admin Password is changed. Restart all application tier services using control scripts. Program: txkUpdateEBSDomain.pl completed at Tue Aug 21 04:34:33 2018- 次のコマンドで、すべてのノードのすべてのサービスを起動します。
adstrtal.sh apps/apps_password -mode=allnodes - 管理コンソールにログインし、新しいWebLogicユーザーパスワードでアクセスできることを確認します。
Txk Delta 7より前のバージョンの場合
- WebLogic管理コンソールにログインします。
- 既存のWebLogic管理ユーザー名とパスワードを使用します。
- [Lock & Edit]をクリックし、[ドメイン]をクリックします。
- [セキュリティ]タブをクリックし、さらに[詳細設定]タブをクリックします。
- [Node Managerパスワード]欄に、WebLogic管理ユーザーに設定したい新しいパスワードを入力します。
- [保存]をクリックして設定が正常に更新されたことを確認し、その後[変更のアクティブ化]をクリックします。
- [セキュリティ・レルム]をクリックし、[myrealm]をクリックします。
- [ユーザーとグループ]を選択し、[weblogicユーザー]を選択して、WebLogicユーザーの新しいパスワードを入力します。
- 設定が正常に更新されていることを確認します。
注意: パスワード変更後の次のprepareフェーズでは、Oracle Ad Online Patching(adop)がEBS Domain Configurationを呼び出し、パッチファイルシステム上のWLSデータソースが新しいAppsパスワードと同期されるようになっています。
まとめ
本記事で紹介した手順により、APPS・APPLSYS・APPS_NEおよびWebLogicのパスワードを安全に変更できます。なお、特殊文字やマルチバイト文字を含むパスワードは、現時点のEBSではサポートされていない点に注意してください。
FNDCPASSはレガシーツールですが、後方互換性のために引き続きサポートされています。ただし、コマンドライン上でパスワードを直接入力することはセキュリティ上のリスクとなり得ます。Oracleは、コマンドラインでのパスワード入力が不要な後継ツールであるAFPASSWDへの早期移行を、すべてのお客様に推奨しています。
ご質問やコメントがある場合は、フィードバックフォームからお気軽にお寄せください。
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