Excelで分散を計算する方法|VAR.SやVAR.Pなど関数の使い分けを初心者向けに解説
Excelを使って分散を計算するよう頼まれたけれど、そもそも分散とは何か、どうやって計算すればいいのか分からない——そんな経験はありませんか?ご安心ください。分散はシンプルな概念であり、Excelでの計算も非常に簡単です。この記事を読めば、すぐに分散計算をマスターできるでしょう。
分散とは何か?
「分散」とは、平均値からの距離の平均的な広がりを測る指標です。ここでいう「平均」とは、データセット内のすべての値を合計し、その個数で割ったものです。分散を見ることで、データセット内の値が平均に一様に近い状態なのか、それとも大きく散らばっているのかを把握できます。
数学的には、分散はそれほど複雑ではありません。計算の手順は以下のとおりです。
- 値のセットの平均を計算します。すべての値の合計を値の個数で割ります。
- セット内の各値から平均を引きます。
- 結果の値を2乗します(負の数を打ち消すためです)。
- すべての2乗した値を合計します。
- 2乗した値の平均を計算すると、それが分散となります。
ご覧のとおり、手作業でも計算は可能ですが、数百、数千という規模のデータになると手計算では途方もない時間がかかります。そこで役立つのが、Excelによる自動化です。
分散はどんな場面で使われる?
分散には単体でもさまざまな用途があります。統計学的な観点からは、データの散らばり具合を簡潔に表現するのに適した指標です。また、投資の世界では、投資家がリスクを見積もるために分散を活用します。
例えば、ある銘柄の株価を一定期間追跡して分散を計算すれば、過去のボラティリティ(価格変動の激しさ)を把握できます。「過去の傾向は未来も予測する」という前提に立てば、分散が小さい資産ほど安全で予測しやすいといえるでしょう。
さらに、異なる期間同士で分散を比較することも有効です。これにより、目に見えない隠れた要因が何かに影響を与え、分散を変化させているタイミングを検出できることがあります。
また、分散は「標準偏差」と呼ばれる統計量とも密接に関連しています。分散の計算では値を2乗するため、元の値と同じ単位では表されません。標準偏差は分散の平方根を取ることで、値を元の単位へ戻したものです。つまり、データがキログラム単位なら、標準偏差も同じくキログラム単位で表されます。
母分散と標本分散、どちらを選ぶ?
Excelには、わずかに異なる数式を持つ2種類の分散が用意されています。どちらを選ぶべきかは、手元のデータによって異なります。データが対象となる「母集団」全体を含んでいる場合は、母分散を使用します。ここでいう「母集団」とは、対象グループの全メンバーについて、すべての値を把握している状態を指します。
例えば、左利きの人の体重を調べたい場合、母集団は地球上のすべての左利きの人です。もし全員の体重を測定できているなら、母分散を使うことになります。
もちろん現実には、大きな母集団から抽出したより小さなサンプルで分析を済ませることがほとんどです。その場合は標本分散を使用します。一方、母集団が小さいケースでは母分散も十分実用的です。例えば、従業員が数百人〜数千人規模の会社で全従業員のデータを保有しているなら、彼らは統計的な意味での「母集団」を構成しているといえます。
目的に合った分散関数の選び方
Excelには、標本分散用の関数3つと、母分散用の関数3つが存在します。
- VAR、VAR.S、VARA:標本分散を計算
- VARP、VAR.P、VARPA:母分散を計算
このうちVARとVARPは無視して問題ありません。これらは旧世代の関数で、以前のスプレッドシートとの互換性維持のためだけに残されています。
実質的に使うのは、数値のみを対象とするVAR.SとVAR.P、そして文字列も処理対象に含めるVARAとVARPAの4つです。
VARAとVARPAは、「TRUE」と「FALSE」を除く任意の文字列を数値0として扱います。「TRUE」は1、「FALSE」は0に変換されます。
一方、最大の特徴はVAR.SとVAR.Pが数値以外の値を自動的にスキップする点です。これらのセルは値の総数から除外されるため、平均値の計算結果が変わってきます。平均を求める際の除数が小さくなるためです。データに余計な文字列が混在している場合は、この挙動の違いを意識して関数を選びましょう。
Excelで分散を計算する手順
Excelで分散を計算するために必要なのは、値のセットだけです。以下の例ではVAR.Sを使用しますが、どの分散関数を選んでも数式の書き方と操作手順はまったく同じです。
- 計算したい範囲または個別の値が準備できたら、結果を表示したい空きセルを選択します。
- 数式バーに=VAR.S(XX:YY)と入力します。XXとYYは、データ範囲の最初と最後のセル番号に置き換えてください。
- Enterキーを押すと計算が完了し、分散の結果が表示されます。
あるいは、具体的な数値を直接指定する方法もあります。その場合、数式は=VAR.S(1,2,3,4)のような形になり、括弧内の数字を実際に計算したい値に置き換えます。この方法では最大254個までの値を手入力できますが、値が少数しかないケースを除き、通常はデータをセル範囲に入力してから、上記のセル範囲版の数式を使う方が効率的でミスも少なくなります。
まとめ:Excelでの統計作業をもっと快適に
分散の計算は、Excelで統計業務を行うすべての人にとって覚えておきたい便利なテクニックです。この記事で登場したExcel用語に不安がある方は、まずMicrosoft公式のExcel基礎チュートリアルで基本を復習しておくと安心です。
さらにステップアップしたい方には、「Excelの散布図に線形回帰トレンドラインを追加する方法」がおすすめです。分散やその他のデータ特性を、算術平均との関係で視覚的に把握できるようになります。
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