意外と知らない!Audacityの隠れた便利機能6選
オーディオエディタを使ったことがあるなら、「Audacity(オーダシティ)」という名前を一度は耳にしたことがあるはずです。20年以上の歴史を持つAudacityは、手軽な波形編集ツールとして確固たる定番の地位を築いてきました。多くのユーザーがその馴染み深いインターフェースに慣れきっていますが、実はその表面の下には、ベテランユーザーでも知らない機能が数多く潜んでいます。今回は、あなたがまだ知らないかもしれないAudacityの優れた機能を6つ紹介します。
1. トラックの色分け
マルチトラック編集が本格的になると、トラック間を行き来するだけでも混乱のもとになります。そんなとき役立つのが、演奏される楽器ごとに波形へ異なる色を割り当てる方法です。ひと目で区別できるようになり、編集作業のストレスが大幅に軽減されます。
設定方法は簡単です。トラックメニュー(左側のコントロール部分にあるドロップダウンメニュー)を開き、「Wave Color(波形の色)」サブメニューを探しましょう。ここから「Instrument 1〜4」を選択でき、それぞれ青、赤、緑、黒の4色が用意されています。
もちろん、この機能は楽器の違いだけでなく、テイク違い、録音日の違い、担当者の違いなどの区別にも活用できます。こうしたシンプルな整理術ひとつで、取り返しのつかないミスや、何時間・何日にも及ぶやり直しの手間を防げるかもしれません。
2. MIDI再生
Audacityはバージョン2.2.0以降、MIDIファイルの再生に対応しています。ただし、その機能はまだかなり基本的なレベルにとどまっており、公式ドキュメントにも多くの注意点が記載されています。
まず、正しく動作させるには外部デバイスまたは別のプログラムが必要です。多くのチュートリアルでは、ループバック方式を使ってMIDIトラックをオーディオに変換する手法が紹介されています。
また、新しい音符を描いたり本格的な編集を行ったりする手段もほとんどありません。ただし、MIDIデータの一部をオーディオ波形と同じようにカット・コピー・ペーストすることは可能です。Audacityは本来MIDI制作向けのソフトではないため、本格的なMIDI編集には専用エディタを使うべきですが、「手早く切り貼りしたい」という場面では覚えておいて損はないでしょう。
3. 動画ファイルからの音声読み込み
これは筆者自身、以前の記事へのコメントでユーザーのMrBillC氏に指摘されるまで知りませんでした。動画ファイルに含まれる音声ストリームを編集したい場合、別のソフトで抽出する必要はありません。動画ファイルをそのままAudacityにドラッグ&ドロップすれば、自動的に音声だけを取り出してくれるのです。
ただし、この機能がすべての環境で自動的に使えるわけではない点に注意してください。事前にFFmpegがインストールされている必要があります。Linuxユーザーの多くはすでにインストール済みですが、MacやWindowsユーザーは追加の手順が必要になる場合があります。詳細はWindows、Linux、macOSそれぞれのインストール手順を参照してください。
4. クイックプレイ(Quick-Play)
かつてのAudacityでは、再生位置を変更するたびに、トラック上で新しい位置を選択し直してから再生ボタンを押し直す必要がありました。「Quick-Play」機能を使えば、再生ヘッド上の任意の場所をクリックするだけで自動的に再生が始まり、停止して開始位置を調整し直すことなく、トラック内の好きな場所へ瞬時にジャンプできます。
Quick-Playはデフォルトで有効になっていますが、もし気に入らない場合は、再生ヘッド上で右クリックし「Disable Quick-Play」を選択すれば無効化できます。
5. スクラブ(Scrubbing)
スクラブ機能は文章で説明するのが難しいのですが、映画などで誰かが音声を解析するシーンを見たことがあるなら、イメージできるかもしれません。いわば「強化版Quick-Play」のようなもので、トラックの再生中に、再生ニードル(針)の周囲でマウスポインタを動かすだけで、前後に自由に移動できます。早送りやスロー巻き戻し特有のあの音も再現され、音声の細部を丹念に探す作業に最適です。
操作方法はバージョンやOSによって異なるため、ショートカットキーの詳細は省きますが、筆者の環境ではデフォルトで無効になっていました。有効にするには、メインメニューから「表示 → ツールバー → スクラブツールバー」を選択します。ツールバーが編集ウィンドウの中央に浮いて表示されることがありますが、メインツールバー付近へドラッグして移動しておくと使いやすいでしょう。
通常この機能は無効化されていますが、スクラブボタン(左右に開いた三角形が描かれた一番左のボタン)をクリックすると、マウスがトラック上に乗った時点で自動的にスクラブが始まります。機能を解除するには、アイコンをもう一度クリックするか、停止ボタンを押します。
6. 音声起動録音(Sound Activated Recording)
ポッドキャスト制作者にとって嬉しい機能がこれです。音声起動録音を有効にすると、ノイズレベルが一定のしきい値を超えた時点で録音が自動的に開始され、レベルが下がると一時停止します。ナレーターの方なら、話し始めると録音が始まり、話し終えると止まるという挙動になります。なお、筆者の環境ではこの機能をうまく動作させられませんでした。録音はもともと繊細なプロセスなので、環境によって挙動が変わるのかもしれません。
試してみたい方は、メインメニューから「編集 → 環境設定」を開き、左側の「録音」セクションを選択してください。「Sound Activated Recording」の項目に「有効化」チェックボックスがあるので、そこにチェックを入れます。録音のトリガーが敏感すぎる、あるいは鈍感すぎると感じたら、「レベル(dB)」スライダーを動かしてノイズしきい値を調整できます。
これらのAudacity機能、すべてをご存じでしたか?お気に入りの機能で紹介漏れのものがあれば、ぜひコメント欄でお知らせください。Audacityを使うのが初めてという方は、初心者向けの「Audacityでの音声録音ガイド」も合わせてチェックしてみてください。
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