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冗長性とバックアップの違いとは?データとサービスを守るための基礎知識

もし、ソフトウェアのエラーによってパソコン内の重要なファイルが破損したら?オフィスが火事になり、サーバーがすべて焼失してしまったら?

致命的なハードウェア障害ですべてのデータを失ってしまったら?ISP(インターネット接続業者)に技術的な問題が発生し、数日間インターネットに接続できなくなったら?

いずれも発生頻度は低く、誰も望まない事態ですが、どんなに起こりそうにない出来事であっても備えておくことが大切です。そうすることで、万が一の際にもサービスが中断されずに済みます。

そのために活用されるのが、「冗長性(リダンダンシー)」という考え方です。

バックアップと冗長性の違いとは?

冗長性はバックアップと混同されがちですが、両者は似ているようで、いくつか重要な違いがあります。

「バックアップ」は、壊滅的なデータ損失に備えてデータのコピーを作成しておくことを指します。一方、冗長性はデータ保存にとどまらず、何が起きてもサービスを継続できる体制そのものを重視する概念です。データ面では、複数の離れた場所にデータを保存することで実現されます。

冗長性とバックアップの違いとは?データとサービスを守るための基礎知識

また、ネットワーク冗長性というものもあります。これは、ネットワークに複数の代替システムを構成しておき、どんな状況でも「サービスの継続性」を確保する仕組みです。

では、実際の世界ではどのように機能しているのでしょうか。まずはデータ冗長性から見ていきましょう。

データ冗長性

企業も個人ユーザーも、ここ数年で急速にデータ駆動型・コンピュータ化が進みました。企業にとっては、顧客に関するあらゆる情報がコンピュータ上で記録・保存・呼び出されており、データの損失や障害が起これば壊滅的な打撃になりかねません。

実際、米国国立公文書館(NARA)によると、データセンターへのアクセスを10日以上失った企業の93%が、1年以内に倒産するという統計があります。企業にとってデータ冗長性は任意のものではなく、必須の経費なのです。

冗長性とバックアップの違いとは?データとサービスを守るための基礎知識

データが失われたり破損したりしても、できるだけ早く復元・復旧し、通常のサービスを再開できることが極めて重要です。

企業がデータ冗長性を確保する方法はいくつかあり、それぞれ速度、コスト効率、管理のしやすさといった点で特徴があります。

最も基本的な形が「オフサイトのテープバックアップ」です。ストレージボリュームの完全なビット単位のコピーを磁気テープに保存し、それを回収して社外の保管施設へ移します。壊滅的な障害が発生した場合には、そこから容易に取り出せるようにしておきます。

磁気テープは今も現役

磁気テープは非常に古いデータ保存技術ですが、今日でも依然として重要な役割を担っています。コストパフォーマンスが高いだけでなく、驚異的な容量を記録できます。たとえばソニーは、理論上最大185TBのデータを保存できる磁気テープ技術を開発しています。さらに、磁気テープはネットワークの速度に左右されずに動作する点も大きな強みです。

冗長性とバックアップの違いとは?データとサービスを守るための基礎知識

クラウドバックアップ

データ冗長性を確保するもうひとつの一般的な手法が、バージョン管理付きのオンライン(クラウド)バックアップです。オンラインストレージ市場にはGoogle、Microsoft、Rackspaceなど多くの企業が参入し、競争が激化しています。そんな中で特筆すべき存在なのが、Amazon Web ServicesのSimple Storage Service(S3)です。

Amazon S3を使えば、安価かつ手軽に、素早くデータをクラウドへ保存できます。さまざまな用途に使えるサービスで、コストを抑えながらオフサイトバックアップを実現したい企業から利用が拡大しています。

幸い、S3はこの用途において高い評価を得ています。その大きな理由のひとつが、魅力的な料金体系です。他のクラウドストレージ事業者のような定額制ではなく、ギガバイト単位の従量課金を採用しています。さらに、ほぼ完全な可用性と信頼性を保証する充実したサービスレベル契約(SLA)を提供している点も見逃せません。

Amazon Web Servicesが低レベルでどう動作しているのかは、一部謎に包まれています。しかし、ほぼすべての大陸にデータセンターを持ち、すべてのサーバーが高度な冗長構成になっており、データが複数のシステムに分散保存されていることは分かっています。このため、Amazonのデータセンター内でマシンが1台故障しても、あなたのデータは安全に守られます。

冗長データの保存方法がテープであれ、クラウドであれ、(推奨はしませんが)庭に埋めたフラッシュドライブであれ、要点は同じです。重要なデータは必ず複製し、別の保存媒体に保管して、緊急時にすぐアクセスできる状態にしておかなければなりません。

後ほど、RAIDを中心に家庭でできるデータ冗長化についても触れます。その前に、ネットワーク冗長性について見ていきましょう。

ネットワーク冗長性

私たちが日常的に使っているネットワークインフラは、想像以上に脆弱です。車がFTTCキャビネット(光収容設備)に衝突するような事故や、ルーターの焼き付きなど、ちょっとした不測の事態でも、長時間のネットワーク停止につながりかねません。

冗長性とバックアップの違いとは?データとサービスを守るための基礎知識

企業は、緊急時にも対応できるよう、ネットワークに十分な冗長性を持たせることでこのリスクに備えています。

最も基本的な考え方は、「1つの障害でネットワーク全体が落ちないこと」です。これは、複数のネットワーク機器(ルーター、スイッチ、ハブなど)を用意し、1台が故障したときに他が引き継げるよう設定することで実現します。

また、ISP冗長性という手法もあります。ネットワークゲートウェイを2つの別々のISPに接続し、片方がダウンしたらもう一方が引き継ぐ仕組みです。両方のISPが正常に稼働している間は、トラフィックを2つに分散させ、ネットワークの混雑を緩和できます。これは一般に「ロードシェアリング」と呼ばれます。

家庭でネットワーク冗長性を追加する実践的な方法については、後ほど紹介します。

家庭でできる冗長化

ここまで、企業運営の文脈で冗長性について詳しく見てきました。では、普通の家庭ユーザーの場合はどうでしょうか。

まずデータ冗長性から。企業向けの選択肢の多くは、一般消費者にも利用できます。たとえばAmazon S3では、標準料金プランで1TB未満のデータに対して1GBあたり0.03ドルの料金がかかります。100GBの保存でおよそ月3ドル程度です。

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Amazon S3は、OS X、Windows、Linux向けの専用アプリケーションからも簡単にアクセス・操作できます。

ファイルを外部に置きたくない場合は、RAIDアレイやNAS(Network Attached Storage)を構築するのも有効です。

RAIDとは?

RAIDは「Redundant Array of Inexpensive Disks(安価なディスクの冗長配列)」の略で、複数のハードディスクを1つの論理ユニットとして扱う技術です。データの冗長性確保とアクセス速度の向上というメリットがあります。RAIDには多くの種類があり、それぞれ長所と短所があります。

冗長性とバックアップの違いとは?データとサービスを守るための基礎知識

RAID最大の利点は、1台のドライブが故障しても冗長性のおかげでデータが失われないことです。RAID構成には2台以上のドライブが必要なので、1台が壊れても残りのドライブが処理を担います。ただし、RAIDアレイを維持するには、故障したドライブは速やかに交換しましょう。

では、ネットワーク冗長性についてはどうでしょう。正直なところ、これは企業が数千ドル規模の費用をかけて構築する分野です。

大企業のネットワークは規模が大きいため冗長化と相性が良いのですが、家庭内ネットワークははるかに小さく、冗長性を確立する機会も限られます。

そのことを踏まえると、冗長ルーターを手作業で設定する手間をかけるよりも、部品が故障したときに交換するほうが現実的でしょう。

とはいえ、モバイルWi-Fiルーターを購入しておく、スマートフォンのテザリングをノートPCで使えるようにしておく、といった対策で、インターネット接続が完全に途絶える事態は避けられます。

SPOF(単一障害点)を避ける

SPOFは「Single Point Of Failure(単一障害点)」の略です。システムの一部が故障すると、システム全体が使用不能になる状態を指します。もちろん、これは避けるべき事態です。SPOFを作らないための手段こそが冗長性です。「たった1つの要素」でシステムが正常に動作しなくなることがないよう、常に備えておきましょう。

冗長システムを構築した経験はありますか? サービス継続性を確保するために工夫したエピソードがあれば、ぜひコメント欄で教えてください。

写真クレジット:Preparing hard drives for the home network、Magnetic Storage Disk、Not on Broadband、Five Day's Backup、IMG_1265

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