2021年版:目的別おすすめLinuxディストリビューション9選
Linuxは、かつての難解なコードの塊という姿から大きく進化を遂げました。WindowsやmacOS、Ubuntuの代替となり得る洗練されたディストリビューションが数多く登場していることこそ、その何よりの証拠です。
Linuxを始めたばかりの方も、乗り換えを検討している方も、以下に紹介するディストリビューションは2021年における最良の選択肢と言えるでしょう。このリストは、さまざまな経験レベルや用途に対応できるよう構成しています。システム管理者、開発者、一般のデスクトップユーザーのどれに該当しても、きっと興味を引く一つが見つかるはずです。
カスタマイズ性重視なら:Arch Linux
Arch Linuxは2002年の登場以来、主要なLinuxディストリビューションの一つへと成長しました。デフォルト状態は非常にミニマルですが、経験豊富なユーザーには無制限とも言える自由度の高いカスタマイズが可能です。
デフォルトのデスクトップ環境が用意されていないため、自分の好みやPCのスペックに合わせて環境を選択・構築できます。必要最低限のスペックはRAM 512MBとx64 CPUと、かなり控えめです。
多くの設定をユーザー自身に委ねる仕様のため、習得のハードルは決して低くありません。しかし公式ドキュメントが非常に充実しており、新バージョンのリリース頻度も低いため、せっかくカスタマイズしたデスクトップ環境がすぐに陳腐化することもありません。
この優秀なディストリビューションの詳細については、Arch Linuxのレビュー記事をご覧ください。
シンプルさ重視なら:MX Linux
自らを「ミドルウェイト(中間級)」と称するMX Linuxは、ロースペックPCでも驚くほど快適に動作し、最小限の初期セットアップが開発者たちの心をつかんでいます。デフォルトのXFCEデスクトップ環境は、Ubuntuなどの有名ディストリビューションと比べるとやや古風に見えるかもしれませんが、シンプルさを保つことにはそれなりの価値があるのです。
重要な機能はほんの数クリックでアクセスできます。タスクバーからMX Toolsメニューを開けば、PCメンテナンスやシステムサウンド、キーボードの設定といった必須項目にすぐにたどり着けます。
基本インストールにはFirefox、VLC、LibreOffice、GIMPなど実用的なパッケージがしっかり同梱されており、Synapticパッケージマネージャー経由でMX Linuxのリポジトリからさらに追加することも可能です。
このディストリビューションについて詳しく知りたい方は、MX Linuxのレビュー記事をチェックしてみてください。
使いやすさ重視なら:Linux Mint
Linuxが初めてで、WindowsやMac OSからの移行を考えているなら、最初は多少戸惑うのも自然なことです。そんな方には、シンプルに始められるLinux Mintがぴったりです。
MintにはLibreOfficeや質の高いメディアソフトなど、すぐに普段のワークフローへ復帰できるソフトウェアが多数同梱されています。4つの主要デスクトップ環境から選択でき、中でもCinnamonは疑似スタートメニューを備えたWindowsに近い操作性が魅力です(MATEも根強い人気があります)。リソース消費も軽量で、人気のUbuntuよりも起動が速く、メモリ使用量も少ないのが嬉しいところです。
さらにMintは常に最新のUbuntu LTSリリースと同期しているため、ゼロデイ脆弱性やマルウェアの流行時にも、Ubuntuユーザーと同等の安心感を得られます。
こうした点を踏まえると、UbuntuやElementary OSを勧める声もあるかもしれませんが、ここではあえてLinux Mintをおすすめします。
プライバシー重視なら:Tails
プライバシーとは不思議な概念ですが、テクノロジーが日常生活に深く組み込まれるほど、その重要性は増していきます。結局のところ、自分にとって何が脅威なのかという「脅威モデル」の認識次第です。
例えば、インターネット上で100%の匿名性を実現しようとすれば、相当な努力が必要になります。しかし、企業が自分のデータプロファイルを作るのを防ぐだけであれば、話はぐっと簡単です。
オンラインでの匿名性を高める有効な手段の一つが、Tailsの活用です。
TailsはDebianベースのディストリビューションで、Torネットワークを利用するよう事前設定されています。Torは公開の分散型ネットワークであり、ユーザーは複数のリレーを経由して通信の送受信を行います。仕組みはシンプルで、各リレーが独自のIPアドレスを持ち、複数の「レイヤー」を作ることでユーザーの本来の所在地を隠蔽します。プライバシーを重視する個人や、抑圧的な政府の下にいる国のユーザーにとって特に有用な仕組みです。
Tailsはポータブルストレージから起動するよう設計されており、RAMのみを使用するため、使用した痕跡をPCに残しません(ポータブルメディアへのデータ保存は可能です)。
暗号化対応のインスタントメッセンジャー、KeePassXパスワードマネージャー、メール暗号化ツールなど、プライバシー保護向けツールも豊富に揃っています。しかも生産性用途に欠かせないLibreOfficeまで含まれているのです。
フォレンジック用途なら:Kali Linux
フォレンジック(デジタル鑑識)の分野において、Linuxは強力な存在感を発揮しています。このカテゴリーには多くの候補がありますが、ここではKali Linuxを選びました。
Kali Linuxは、デジタルフォレンジックとペネトレーションテスト向けに設計されたDebian派生のディストリビューションで、Offensive Security Ltd.によって開発・資金提供されています。
ツールセットは非常に網羅的で、ある程度の予備知識があると活用しやすくなります。初心者の方は、Offensive Securityが提供する研修コースを受講して「Kali Ninja」を目指すのがおすすめです。
RAM上で動作させたいなら:Puppy Linux
この用途であれば、迷わずPuppy Linux一択です。
Puppyは超軽量ディストリビューションで、マシンのRAM内で完全に動作します。素早くタスクを処理したい場面で絶大な威力を発揮します。最新版は全体で約210MB程度に収まり、OSの起動完了後はブートメディアを取り外すことさえ可能です。
SlackwareベースとUbuntuベースのバリエーションが存在しますが、搭載ツールはほぼ共通しています。
ddコマンドやhdparmを使ってハードドライブのワイプや再利用を行う際によく使っていますが、実際にはさまざまなタスクに対応できる充実したディストリビューションです。
古いPCやネットブックなら:Bodhi Linux
タブレットの普及が進んだ今でも、軽量なポータブルネットブックでLinuxを活用するユーザーは少なくありません。動きの鈍くなった古いマシンに新しい命を吹き込むケースも同じです。
そうした用途に最適なのがBodhi Linuxです。
Ubuntuの派生ディストリビューションでありながら、Enlightenment 17ベースのMokshaデスクトップ環境を採用したエレガントかつ軽量な仕上がりが特徴です。洗練されたデスクトップに加えて、最小構成のインストールが用意されているため、ユーザーは自由にカスタマイズできます。複数種類のISOイメージが提供されており、特にChromebookやレガシーデバイスへのインストールにも対応している点が見逃せません。
ローリングリリースなら:Manjaro
バージョンごとのアップグレード作業に疲れ果てたなら、Manjaroこそが答えです。ManjaroはArch Linuxベースで、純正のArchインストールが持つメリットをすべて享受しながら、その複雑さを排除しています。いわば「組み立て不要のArch」です。
Arch Linux Wikiはディストリビューションのドキュメントとして比類のない完成度を誇り、その内容はすべてManjaroにも適用されます。さらに、常に最新に保たれるArchの巨大なリポジトリと、AUR(Arch User Repository)の恩恵も受けられます。
Linuxに十分慣れていて、パワーと選択肢に満ちた新しいディストリビューションを探しているなら、Manjaroは間違いなく検討する価値があります。
上級者向けなら:Gentoo
Gentooについては、ネット上のネタや騒ぎを見聞きしていると、奇妙な選択に思えるかもしれません。しかしGentooは決して冗談ではなく、間違いなく最も柔軟なディストリビューションです。安定志向から最先端まで、必要に応じて自由に設定できます。要するに、Gentooとはあなた自身が作り上げるものなのです。
Gentooはソースベースのディストリビューションで、インストール時にすべてのパッケージをソースコードからコンパイルします。時間は余計にかかりますが、そのぶん全パッケージを自分のニーズに合わせて細部までカスタマイズできるという大きな利点があります。
デスクトップでもサーバーでも、精密なチューニングが可能です。デスクトップでは不要な肥大化なしに好みのデスクトップ環境やウィンドウマネージャーを選択でき、サーバーでは軽量で目的特化型のインストールが実現します。おまけにGentooはSystemdのような基盤部分の選択さえユーザーに委ねます。不要なら、入れないという選択もできるのです。
セキュリティ面では、Gentoo HardenedプロジェクトがLinuxディストリビューション界随一のセキュリティ強化プロジェクトとして知られています。かつてプロジェクトの中心だったGRSecurityパッチがなくなった現在でも、Gentoo Hardenedはサーバー・デスクトップ双方のセキュリティ対策として優れた選択肢です。
これらの選択について、あなたはどう思いますか?それぞれの基準により良い代替案があれば、ぜひその理由も添えて、下のコメント欄でお知らせください。
-
Raspberry Piに最適なLinuxディストリビューション5選【用途別に徹底解説】
Raspberry Piは2012年に登場して以来、この小さなコンピュータとその後継機が数え切れないほどのプロジェクトを支えてきました。通常版のUbuntuをRaspberry Piにインストールすることもできますが、特定の用途に特化したLinuxディストリビューションも数多く存在します。この記事では、日常的なコンピューティングから携帯型ミニアーケードの制作まで、あらゆるニーズに応えられる5つのディストリビューションをご紹介します。 1. Raspberry Pi OS(旧Raspbian) これからRaspberry Piを始めるなら、まずはRaspbian(現在の正式名称は「Raspbe
-
2021年版:おすすめLinuxノートPC ベスト5
ノートパソコンの購入を検討していて、Linuxを使う予定があるなら、選択肢は大きく分けて2つあります。ひとつは任意の機種を購入してストレージを初期化し、お気に入りのLinuxディストリビューションを自分でインストールする方法。もうひとつは、最初からLinuxが動作する状態で販売されているノートパソコンを購入する方法です。本記事では、2021年に入手できる優れたLinuxノートパソコンを5機種厳選して紹介します。 1. Lenovo ThinkPad T490 / T490s / T495 Lenovo ThinkPad T490、T490s、T495は、細部の違いを除けば本質的に同じシリーズ