Windows 11のハードウェア要件まとめ:アップグレード前に知っておくべき全ポイント
Microsoftは、従来よりはるかに厳格なハードウェア要件を設けたうえで、Windows 11の提供を開始しました。角丸デザインや進化したダークモードを目当てにWindows 10からアップグレードしたいユーザーにとっては、Windows 10が問題なく動作しているPCであっても、新しい要件を満たしているかどうかを確認する必要があります。要件を満たしていない場合の選択肢は主に3つです。ハードウェアをアップグレードして要件に適合させるか、Windows 10にとどまるか、あるいはメディア作成ツールを使って強制的にアップグレードし、サポート対象外の状態で使い続けるか。それぞれの判断材料として、押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
Windows 11のハードウェア要件とは
まず、Windows 11にはどのようなハードウェア要件が課されているのでしょうか。Microsoftは要件の詳細を公開しており、さらに「PC正常性チェック」アプリの更新版を配布しています。このアプリをWindows 10 PCにダウンロードして実行すれば、自分のマシンが要件を満たしているかどうかを簡単に確認できます。以下に主な要件を挙げます。これらをすべて満たしていれば、Microsoftによる完全なサポート対象のWindows 11環境を手に入れられることになります。
なお2021年8月下旬、Microsoftは要件を更新し、第7世代Intel CPUのうち特定のモデル群を対象に追加しました。その中には、Surface Studio 2に搭載されていたCore i7-7820HQも含まれています。6月に当初「第8世代以降」という線引きが発表された際にはユーザーから不満が殺到し、MicrosoftはWindows Insiderプログラムのテレメトリデータをもとに再検討する方針を示していましたが、8月の公式ブログ投稿では方針は堅持されることになりました。
最近のPCの多くはこれらの要件をほぼ満たしていますが、落とし穴もあります。Windows 10(あるいはWindows 11のInsiderビルド)が快調に動作しているからといって、必ずしもWindows 11の要件を満たしているとは限らないのです。以下、各項目を順番に見ていきましょう。
非対応ハードウェアにWindows 11をインストールする場合
ここまでは、Microsoftの要件を満たす「正式対応」ハードウェアについて述べてきました。ただし技術的には、メディア作成ツールを使えばどんなPCにもWindows 11をインストールできます。しかしこの方法はMicrosoftのサポート対象外であり、レジストリの編集といった回避策が必要になります。さらに重大なリスクとして、重要なセキュリティ更新プログラムやドライバー更新が提供されなくなる可能性があります。当サイトとしては、この方法は一切おすすめしません。
TPMとセキュアブート
TPM(Trusted Platform Module)は、マザーボードに内蔵されているか、取り付け可能なチップとして実装される、ハードウェアベースのセキュリティ機能です。2013年頃以降に登場したほとんどのハードウェアにはTPMが搭載されています。ただし、搭載されていても有効化されていないケースがあり、UEFI/BIOS設定で手動でオンにする必要がある場合があります。TPMは「統合された暗号鍵によってハードウェアを保護するために設計された専用マイクロコントローラ」であり、コンピューターを攻撃から守る役割を担います。
セキュアブートも同様のセキュリティ機能の一つで、PCの起動シーケンスをロックダウンすることでシステムへの攻撃を防ぎます。こちらもデフォルトで有効になっているとは限らず、UEFI/BIOSから有効化が必要な場合があります。
TPMやセキュアブート自体はWindows 11で初登場したものではなく、ハードウェアが対応していればWindows 10でも同じように有効化できます。違いは、Windows 10では任意だったのに対し、Windows 11では両者の存在と有効化が必須となった点です。これらのセキュリティ機能は万能ではありませんが、システムの安全性向上に大きく寄与し、他のWindows 11の要件と合わせて、マルウェア感染を最大60%削減できるとされています。
グラフィックス要件
Windows 11では、DirectX 12以降への対応と、WDDM 2.0準拠のグラフィックスドライバーが求められます。Windows 10の要件がDirectX 9だったことを考えると大きな引き上げであり、システムによってはグラフィックス機能のアップグレードが必要になるかもしれません。
対応する64ビットプロセッサー
ここが最大の関門です。MicrosoftはWindows 11の要件として、第8世代以降のIntelプロセッサー(前述の一部例外を除く)、またはAMD・Qualcomm製の同等性能プロセッサーを要求しています。なぜこのラインで区切ったのかについて、Microsoftは明確な説明をしていませんが、同社のOSセキュリティ責任者によれば、これはセキュリティ上の理由というよりも「エクスペリエンス(体験品質)上の理由」だとのことです。
このCPU制限の背景には、HVCI(Hypervisor-protected Code Integrity、仮想化ベースのコード整合性保護)があるのではないかとの憶測が流れています。第8世代以前のプロセッサーではHVCIがエミュレーションで動作するためパフォーマンスが低下しますが、第8世代以降のチップではハードウェアに組み込まれているためです。また、登場予定だったAndroidサブシステム(WSA)によるAndroidアプリの実行にもHVCIが必要で、Microsoftはユーザー体験の低下を避けたいのではないかという見方もあります。「Androidアプリのため」と公言はされていませんが、一見Windows 11が問題なく動きそうなシステムを突如切り捨てたように見えるこの基準について、有力な説明の一つとなっています。
実際、Microsoft Storeの変更点を告知したブログ投稿でも、Androidアプリとの関連でシステム要件に言及しており、MicrosoftがCPU世代に関する要件を頑なに守り抜く姿勢であることがうかがえます。要件を満たしていない場合、公式には諦めるしかない状況といえるでしょう。
Microsoftアカウントとインターネット接続
Windows 11は、クリーンインストールでもWindows 10からのアップグレードでも、セットアップ時にインターネット接続を必要とします。さらにWindows 11 Homeの場合は、インストール時にMicrosoftアカウント(MSA)でのサインインが必須となります。Windows 10の頃は、インストール中にPCをネットワークから切断することでMSAチェックを回避できましたが、Windows 11ではその手が通用しなくなりました。どうしてもHome版でローカルアカウントを使いたい場合は、まずMSAを作成または使用してインストールを完了させ、その後Windows 11上でローカルアカウントを作成して切り替え、MSAを削除するという方法があります。
一方、Windows 11 ProおよびEnterpriseエディションでは、引き続きローカルアカウントだけで新OSをインストールすることが可能です。
まとめ:アップグレードすべきか?
要点を整理しましょう。現在使っているPCが、第8世代以降のCPU、TPMとセキュアブート、最新のグラフィックスカードといったMicrosoftのハードウェア要件を満たしていれば、何も心配はいりません。また、システムをアップグレードして新しい仕様に適合させるか、年末商戦に合わせて新しいデバイスを購入すれば、Windows 11への移行準備は万端です。メディア作成ツールを使って強制的にアップグレードすることもできますが、その場合はPCがサポート対象外となる点に注意してください。
逆に、マシンが要件を満たしていない場合、Microsoftが方針を転換して第6世代・第7世代プロセッサーの公式サポートに踏み切る可能性は低そうです。メディア作成ツールを使うなどの回避策も出回っていますが、それらは重要なセキュリティ更新を受けられないサポート対象外の状態を意味します。
Microsoftは新しいシステム要件を頑として曲げず、多くのPCユーザーをWindows 10にとどませる道を選んでいるようです。要件を満たしていない場合、「アップグレードする」「回避策を探す」「角丸UIやAndroidアプリを諦めてWindows 10のまま過ごす」という選択を迫られることになります。あなたはアップグレードしますか?ぜひコメント欄で教えてください。
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