Windows 11のTeams「チャット」アプリ――Skypeの完全な代替となるにはまだ課題あり
MicrosoftにとってMicrosoft Teamsが最重要プロダクトであることは間違いない。月間アクティブユーザー数は約2億5,000万人に達し、現在ではあらゆる場面でTeamsが活用されている。だからこそ、Microsoftは大きな変革に乗り出しているのだ。
2021年6月、MicrosoftはTeamsを従来のElectronベースのデスクトップアプリから、新しいWebView2ベースのアプリへと移行することを発表した。エンジンの刷新により、大幅なパフォーマンス向上や、長年ユーザーから要望されていた機能の実現が期待されていた。
それ以来、Microsoftはタスクバーに搭載された新しい「チャット」アプリを通じて、これらの改善を次世代OS「Windows 11」へと反映させてきた。筆者はここ数週間、この初期バージョンを実際に試用してみた。Teamsの将来を感じさせるワクワクする第一歩ではあるものの、Skypeの完全な代替となるまでには、まだ解決すべき課題が数多く残されているのが実情だ。
まだ機能は十分ではない

まずはネガティブな部分から見ていこう。Windows 11のチャットアプリの初期バージョンはまだ完成度が低く、できることが大きく制限されている。不足している機能は多いが、Microsoftは追加機能がまもなくWindows Insider向けに配信されると約束している。つまり、現時点で約束されているのは、まさに今欠けている機能たちなのである。
具体的には、グループでの音声通話やビデオ通話、Teamsミーティングへの参加、プレゼンスやステータスの設定、さらには画面共有といった基本機能すら利用できない。このため、チャットアプリだけでの作業は難しく、結局は従来のElectron版Teamsに戻ることになった。要するに、現状の「チャット」アプリは、個人用Microsoftアカウントによる基本的なテキストチャットやSMSチャット専用と言える。職場や学校のアカウントを追加することも、まだできない。
繰り返しになるが、Microsoftは追加機能の早期提供を約束している。それでも懸念材料はある。MicrosoftはTeamsの機能開発が遅いことで知られており、パンデミック以前は新機能の追加が非常にゆっくりとしたペースで進んでいた。このことから、Teamsチャットアプリがいつ十分な機能を備えるようになるのか、筆者は少々不安を感じている。
とはいえ、希望はある。実際、Microsoftは従来のElectronアプリに対しても、「Togetherモード」、OSネイティブの通知、会議のロック・ロック解除など、数多くの機能を追加してきた。最高の体験はまだこれからだと信じたいが、今のところ筆者は待つしかない状況だ。
デザインとパフォーマンスは秀逸

機能面での不足はあるものの、デザインについては心から気に入っている。macOSではAppleのiMessageとFaceTimeがそれぞれ独立したアプリとして起動するのに対し、Microsoftはチャットアプリの統合を非常にさりげない形で実現した。特にお気に入りなのはタスクバーのフライアウトメニューで、すっきりと簡潔な外観に仕上がっている。新しいチャットを開始するボタン、既存のチャット一覧、連絡先の同期機能がひと目で分かり、ワンクリックでメインアプリへ移動することも可能だ。日常のコミュニケーションを途切れなく続けられる、快適な設計だと言える。
全体として、この新しいTeamsチャットアプリのパフォーマンスもかなり印象的だ。旧Electronアプリは動作がやや重く、システム再起動後の起動にも時間がかかっていた。さらに、チャットが正しく読み込まれないといった不具合も散見された。一方、新しいアプリはレイアウトが刷新され、ウィンドウを好みのサイズに自由に変更できる。Windows 11の通知システムとの統合により、通知から直接テキストチャットにインライン返信できる点も便利だ。全体的な印象は、このアプリの初期バージョンを詳細に検証した同僚のローラン・ジレ(Laurent Giret)の評価とほぼ一致する。
Skypeから学ぶべき教訓
Teamsをめぐる動きは良好だが、Microsoftは今回こそWindows 11の新しいチャットアプリを成功させなければならない。過去、MicrosoftはSkypeで多くの失敗を重ねてきた。従来のSkypeデスクトップアプリ、Skype Webアプリ、Skype UWPアプリが並立し、さらにはWindows 10タスクバーへの「Meet Now」統合まで存在した。1つのサービスにアクセスする手段が多すぎたのである。Microsoftは長年にわたり、WindowsユーザーへSkypeを無理やり浸透させようとしてきた。Teamsを成功させたいのであれば、あらゆる用途を1つのTeamsチャットアプリでまかなうという今回のシンプルなアプローチこそが、大きな前進となるはずだ。
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