Windows 10でWake-on-LAN(WoL)を設定してPCを遠隔起動する方法
Wake-on-LAN(WoL)は、Windows 10に標準搭載されながら、その存在を知らない、あるいは活用していないユーザーが多い「隠れた便利機能」です。
「LAN接続なんてゲーマーやIT担当者だけが気にすればいい」と思っていませんか?以前はそれも正解でしたが、今では話が違います。WoLを設定すれば、一般ユーザーでもPCライフを大きく快適にできるのです。この記事では、Wake-on-LANとは何か、どんなメリットがあるのか、そして具体的な設定方法まで詳しく解説します。
Wake-on-LANとは?
Wake-on-LANは、コンピューターをネットワーク経由で遠隔から電源オンできるようにする業界標準の規格です。無線LAN版として「Wake-on-Wireless-LAN(WoWLAN)」という補助規格も存在します。
WoLを利用するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- PCが電源に接続されていること
- マザーボードがATX互換であること(近年のほとんどのマザーボードは対応済み)
- ネットワークカード(有線または無線)がWoL対応であること(これも現在ではほぼ標準装備)
WoLはハードウェアレベルでの対応が必要な規格ですが、その普及率は非常に高く、Windows、Mac、Linuxを問わず問題なく動作します。
Windows環境では、スリープや休止状態といった通常の電源状態はもちろん、完全に電源が切れた状態からでも起動できます。
Wake-on-LANの仕組み
WoLの中核となるのは「マジックパケット(magic packet)」と呼ばれる特殊なデータです。ネットワークカードがこのパケットを検知すると、コンピューターに対して電源投入の指示を出します。
これこそが、PCの電源が切れていても電源ケーブルをつないでおく必要がある理由です。WoL対応のネットワークカードは、マジックパケットを常時監視するために、ごくわずかな電力を24時間休みなく消費し続けています。
では、実際には何が行われているのでしょうか?流れを簡単にまとめると以下の通りです。
まず、サーバー側からマジックパケットが送信されます。ここでいう「サーバー」は、専用ソフトやルーター、Webサイト、別のパソコン、スマートフォンなどのモバイルデバイス、スマートTV、その他IoT機器など、さまざまなものが該当します。
サーバーはネットワーク全体に向けてパケットを送信します。パケットにはサブネット情報やネットワークアドレス、そして最も重要な「起動したいPCのMACアドレス」が含まれています。
これらの情報をひとつにまとめたものを「ウェイクアップフレーム」と呼びます。ネットワークカードは常にこのフレームを監視しており、パケット内でMACアドレスが16回繰り返されていれば、それがウェイクアップフレームだと判断する仕組みです。
Wake-on-LANはどんな場面で役立つ?
仕組みが分かったところで、次は「一般ユーザーにとってどんなメリットがあるのか」を見ていきましょう。
どこからでもPCの電源を入れられる
外出先や別の部屋から自宅のPCを起動できれば、必要なファイルや資料を取り出せずに困ることはもうありません。「あのファイルが入ったPCの電源を入れ忘れた…」というストレスから解放される安心感は、想像以上に大きいものです。
リモートでデスクトップを操作したい場合は、WoLに対応したリモートデスクトップアプリが必要です。Googleの定番アプリ「Chromeリモートデスクトップ」は残念ながら非対応ですが、「TeamViewer」ならWoL機能を利用できます。
注意: 完全に電源が切れた状態からWoLで起動するには、BIOSが「Wakeup-on-PME(Power Management Event)」に対応している必要があります。
スマート家電時代の切り離し生活(Cord Cutting)にも最適
動画配信サービス中心の生活(コードカッティング)を実践している方なら、すでにさまざまなアプリや機器を使っているはずです。
実は、スマートTV、NVIDIA Shield TV、メディアセンター向けソフト「Kodi」など、多くのデバイスやアプリがWake-on-LANによる起動要求に対応しています。
たとえば、古いノートPCをPlexサーバーやローカル保存の映画・テレビ番組用に使っているなら、視聴したいときだけWoLでオンデマンド起動すればよく、24時間365日つけっぱなしにする必要がなくなります。電気代の節約にもつながるでしょう。
Wake-on-LANを有効化する方法
WoLを有効にするには、Windows側の設定とBIOS側の設定という2段階の作業が必要です。
Windows側でWoLを有効にする手順
まず「デバイスマネージャー」を開きます。スタートボタンを右クリックしてデバイスマネージャーを選ぶか、Windowsキーを押してアプリ名で検索しましょう。
デバイス一覧を下にスクロールして「ネットワークアダプター」を見つけたら、左側の>をクリックして展開します。
続いて自分のネットワークカードを探します。どれが該当するかわからない場合は、Windowsキーを押して「システム情報」を検索し、アプリを起動したらシステムの概要 > コンポーネント > ネットワーク > アダプターの順に進めば確認できます。
デバイスマネージャーに戻り、ネットワークカードを右クリックしてプロパティを選択します。プロパティウィンドウが開いたら、詳細設定タブをクリックしてください。
一覧をスクロールしてWake-on-LANの項目を探します。デバイスによって名称が異なる場合があり、「Wake on magic packet」「リモートウェイクアップ」「LANによる電源オン」「Resume by LAN」などと表示されることもあります。見つかったら設定を有効(Enabled)に変更しましょう。
次に電源管理タブを開き、「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」と「Magic Packetのみで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」の2つのチェックボックスにチェックを入れます。
すべて完了したらOKをクリックして設定を保存します。
BIOS側でWoLを有効にする手順
残念ながら、BIOSの画面構成はメーカーや機種ごとに異なるため、正確な手順を一律には案内できません。
一般的には、PCの起動時に特定のキーを押してBIOS画面に入ります。多くの場合、Escキー、Deleteキー、またはF1キーです。
BIOSメニュー内のPower(電源)タブを開き、Wake-on-LANの項目を探して「有効」に変更し、設定を保存してください。
ヒント: タブ名が「Power Management」となっていたり、電源関連の設定が「Advanced Settings(詳細設定)」のようなタブ内にある場合もあります。
Wake-on-LANのセキュリティ面での注意点
マジックパケットはOSI参照モデルのレイヤー2で送信されます。これはつまり、同じネットワークにいる人なら誰でも、あなたのPCをWoLで起動できてしまうということです。
家庭内のネットワークであれば実害はほぼありませんが、公共のWi-Fiなどでは少し話が変わってきます。
理論上、WoLでできるのは「PCの電源を入れること」だけです。セキュリティチェックやログイン画面を突破したり、逆にPCをシャットダウンさせたりすることはできません。
ただし、攻撃者がDHCPサーバーとPXEサーバーを組み合わせて、独自の起動イメージでマシンを起動した事例もあります。この手法を使われると、ローカルネットワーク上の保護されていないディスクへアクセスされる恐れがあるため注意が必要です。
さあ、あなたもWake-on-LANを使ってみよう
登場から長い年月が経った技術ながら、Wake-on-LANには驚くほど多くの活用シーンが残っています。むしろスマートホーム技術の普及に伴い、今後ますます家庭向けの便利ツールになっていくでしょう。しかも設定は思いのほか簡単です。
あなたはWoLを使っていますか?この記事を読んで試してみたくなりましたか?ぜひコメント欄で感想を聞かせてください。
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