Magentoのハッキングリダイレクト(スパム転送)を検出・駆除する完全ガイド
Magentoハッキングリダイレクトとは?
Magentoハッキングリダイレクトとは、Magentoサイトに不正に仕込まれた小さなコード断片のことで、訪問者を一つまたは複数のターゲットサイトへ強制的に転送させるものです。多くの場合、広告表示回数(インプレッション)を不正に稼ぐ目的で行われますが、クレジットカード情報や個人情報の流出といった深刻な被害につながることもあります。
自社サイトがハッキングされているかどうかは、以下のような兆候から判断できます。
- サイトのヘッダーやフッターに見覚えのない悪意のあるコードが存在する
- Googleが訪問者に警告メッセージを表示し始め、トラフィックが急減する
- Google Search Consoleに警告メッセージが届く
ハッキングされたMagentoサイトが、ユーザーをスパムサイトやアダルトサイトへリダイレクトするケースは決して珍しくありません。こうした攻撃は顧客離れを招き、ブランドイメージに深刻なダメージを与え、SEOランキングにも悪影響を及ぼします。
Magentoマルウェアリダイレクトの実例
どれほど多くの人がこの問題に悩まされているのかを把握するため、人気の開発者フォーラムを調査しました。以下は、Magento公式フォーラムやStackExchangeで実際に報告されていた事例です。


Magentoリダイレクトスパムの影響
- ポルノサイト、広告サイト、偽カスタマーサポートへの強制リダイレクト
- Google検索結果からの不正リダイレクト。検索ボットにスパムサイトを見せることで、ストアのSEOに悪影響を与え、ブラックリスト登録される恐れもある
- ハッカーは攻撃に気づかれないよう、リダイレクトをモバイルやPCなど特定のデバイス、あるいは特定の地域に限定することがある
- サーバー内の感染ファイルが増加し、ユーザーデータの追加・削除や金融情報の窃取などを許してしまう
- Search Console(ウェブマスターツール)でのエラー表示。404エラー、クロールエラー、ログファイルのクラッシュ、サーバーエラー、マルウェア感染エラーなどが報告される
- SEOへの悪影響。スパムサイトへのリダイレクトによる直帰率の上昇と、平均滞在時間の低下が主な原因
- 顧客と売上の損失。スパムサイトへの転送は最終的に顧客離れを招き、売上に直撃する
- Google広告(AdWords)アカウントの停止
Magentoストアのリダイレクトを修正する方法
1. コアファイルの整合性チェック
最近変更されたファイルにはハッキングの痕跡が潜んでいる可能性があります。そのため、Magentoのファイルシステム全体をマルウェアの有無について精査する必要があります。
すべてのMagento 1.xおよび2.xのバージョンはGitHubで公開されており、SSHターミナルを使ってローカルにダウンロードできます。以下の例では、クリーンな参照ファイルとしてMagento 2.1.3を使用し、サーバー上のMagentoインストール先としてpublic_htmlを指定しています。
以下のSSHコマンドでコアファイルの整合性を確認します。
$ mkdir magento-2.1.3
$ cd magento-2.1.3
$ wget https://github.com/magento/magento2/archive/2.1.3.tar.gz
$ tar -zxvf 2.1.3.tar.gz
$ diff -r 2.1.3 ./public_html
最後のdiffコマンドにより、クリーンなMagentoファイルと本番環境との差分比較が行われます。後から追加されたモジュールも出力に含まれるため、既知のクリーンファイルとの照合も同じ方法で実施可能です。
コアファイルの整合性確認は必須ですが、誤検知(false positive)と判定されたモジュールやパッチを削除しないよう注意してください。また、無料のオンラインチェッカーの多くは主要フォルダしかスキャンしない点にも留意しましょう。徹底的に調査したい場合は、以下の手順に進んでください。
最近変更されたファイルを手動で確認する
- まず、MagentoのWebサーバーにログインします。
- SSHを使用している場合は、次のコマンドで過去15日間に変更されたすべてのファイルの一覧を取得できます。
$ find ./ -type f -mtime -15
- SFTPを使用している場合は、サーバー上のファイルの最終更新日時の列を確認します。
- 最近変更されたすべてのファイルを記録しておきます。
過去7〜30日以内に変更されたファイルの中に、不審なものがないかを確認しましょう。
注意: サーバーへアクセスする際は、暗号化されていないFTPではなく、SFTP/SSH/FTPSの使用を強くおすすめします。通信が暗号化され、セキュリティが大幅に向上します。
さらに、マルウェアはファイルの更新日時を改ざんして身を隠すことがあります。そのため、オンラインスキャナーやMagento向けセキュリティ拡張機能を併用し、不審なアクティビティや悪意あるペイロードを検出するとよいでしょう。
2. ユーザーログの監査
多くのハッカーは、乗っ取ったMagentoサイトに不正なユーザーアカウントを作成しようとします。そのため、すべてのMagentoユーザーアカウントを確認し、特に管理者アカウントを重点的にチェックしましょう。
Magentoで不正ユーザーを確認する手順:
- Magento管理パネルにログインします。
- メニューの「System(システム)」をクリックし、「Permissions(権限)」配下の「Users(ユーザー)」または「All Users(全ユーザー)」を選択します。
- リスト全体を目視で確認し、不自然なID番号や最近作成されたIDがないか二重にチェックします。
- ハッカーによって作成されたと思われる不審なアカウントは削除します。
サーバーログの解析に自信があるなら、管理画面へのアクセス要求を検索してみてください。異なるタイムゾーンや地域からログインしているアカウントが見つかれば、それは不正アクセスを受けたアカウントである可能性が高いといえます。Astraでは管理者ログイン通知機能も提供しています。
3. セキュリティレポートの確認
Googleなどのセキュリティ機関にサイトがブラックリスト登録されていないか、各種診断ツールで確認できます。
Google透明性レポートで自サイトを確認する手順:
- Safe Browsing Site Status(セーフブラウジングのサイトステータス)ページにアクセスします。
- サイトのURLを入力し、検索ボタンをクリックします。
- 以下の情報を確認できます。
- サイトの安全性に関する詳細 – スパム、悪意のあるリダイレクト、危険なダウンロードに関する情報
- テスト詳細 – 最近のGoogleスキャン日時と検出されたマルウェアの内容
また、購入後に顧客から不正利用の報告を受けていないかを確認することも重要です。クレジットカード情報を盗み出すマルウェア(スキミング)がサイトに潜伏しているかどうかを判断する有力な手がかりになります。
今後のハッキングからMagentoストアを守るには?
感染したサイトを修復しても、それだけで将来の攻撃から安全になったわけではありません。ハッカーがマルウェアを注入するために利用した脆弱性を突き止め、確実に修正する必要があります。ここでは、今後のハッキングからサイトを守るために実践すべき対策を紹介します。
- Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の導入: WAFはハッカー、マルウェア、ボットを自動的にフィルタリングします。門番のように機能し、サイトへのすべての通信を検査し、必要に応じて適切な対応を行います。主なメリットは以下の通りです。
リクエストフィルタリング – すべての送受信HTTPリクエストを監視し、「正常なトラフィック」だけがサーバーに到達するようにします。
アップロードファイルのマルウェアスキャン – 多くのECサイトでは、領収書や画像などのアップロードを顧客に許可しています。ハッカーはこれを悪用して悪意あるスクリプトやファイルを送り込もうとします。WAFはこうした攻撃からサイトを守ります。
有害ボットのブロック – 悪質なボットはサイトに侵入し、コンテンツのスクレイピングやフォーラムへの広告スパムなどで甚大な被害をもたらします。強力なWAFでこれを未然に防げます。
- Magentoセキュリティ監査の定期実施: セキュリティ監査は、自分では気づいていなかった潜在的な脅威を明らかにできる点で非常に重要です。定期的に、または不審なアクティビティを検知した際に実施し、サイトの安全性を常に確保しましょう。被害が出てから対処するよりも、適切なツールで常時保護しておく方が賢明です。
こうした課題に応えるべく、Astraはあらゆるセキュリティリスクからサイトを守る高度なセキュリティ監査システムを開発しています。
その他の基本的な対策
- 使用していない管理者アカウントをすべて削除する
- すべての管理者アカウントのパスワードを変更し、必ず強固なパスワードを設定する
- Google Authenticatorによる二要素認証(2FA)を有効化し、セキュリティレイヤーを追加する
- 必要なセキュリティパッチをすべて適用し、Magentoを最新バージョンにアップデートする
- Magento専用のサイバーセキュリティツールを活用してオンラインストアを保護する
- 最後に、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)対策を設定する
Astra Security SuiteはMagentoストア向けに特化して設計されており、SQLインジェクション、クレジットカードハッキング、マルウェア注入、XSS、CSRF、LFI、RFI、悪質ボットなど100種類以上の攻撃から360度の保護を提供します。
まずはAstraのデモを体験してみてはいかがでしょうか。
-
WordPressリダイレクトハックとは?スパムリダイレクトの原因と完全な駆除・対策ガイド
WordPressサイトの訪問者が、見覚えのない危険なサイトへ勝手にリダイレクトされていませんか?もしそうであれば、あなたのサイトはハッキングされている可能性があります。いわゆるWordPressリダイレクトハックは非常によく見られる攻撃手法の一つで、マルウェアによって訪問者をスパムサイト、フィッシングページ、あるいは攻撃者が管理するドメインへ強制的に誘導してしまうものです。 最近では、多くのWordPressサイトが[.com]スペース許可ドメイン→Adaranth[.com]のafu.php→一部の正規サイトという流れで悪質なドメインへリダイレクトされる事例が確認されています。攻撃者はさま
-
スパム・フィッシングメールの見分け方|被害を防ぐ5つのチェックポイント
メールは、ビジネスや公式なやり取りにおいて欠かせない通信手段です。自分のメールアドレス宛に届くメールは、正規の情報や安全な添付ファイルを含むものとして扱われがちですが、知らない相手から頻繁にメールが届くようであれば、それはスパムやフィッシングの可能性があります。 アメリカでは毎年数百万件ものスパム・フィッシング被害が報告されており、その数は年々増加し続けています。インターネット上でメールアドレスを使用しているのであれば、スパムやフィッシングメールを見分ける方法を知っておくことが重要です。これらの迷惑メールは、サイバーセキュリティ上の脅威となるだけでなく、金銭的な被害をもたらすこともあります。