ポイントカードアプリはあなたのプライバシーをどう侵害しているのか
スーパーマーケットや各種店舗では、ポイントカードやその専用アプリが積極的に勧められています。もちろん、カフェ、花屋、書店、ゲームショップ、音楽店、ガソリンスタンド、レストランなども例外ではありません。
その仕組みはシンプルです。あなたが企業に個人情報を提供すれば、企業は割引、ボーナスポイント、ときには無料特典をくれるというもの。
しかし、本当に問うべきはこうです。あの「無料のコーヒー」と引き換えに、あなたは何を差し出しているのでしょうか?
プライバシーをめぐる長い攻防
ポイントカードに対する懸念は、決して新しい話ではありません。スマートフォンの普及やインターネットの発展以前から、ポイントカードのプライバシー問題をめぐる議論はすでに存在していました。2004年、当時のイギリス内務大臣デビッド・ブランケットは、政府が提案していた生体認証IDカードをスーパーのポイントカードになぞらえました。これは「IDカードは安全で、それほど多くの個人情報を含まない」と強調する意図でした。ところが多くの人には逆の印象を与える結果となり、不評だった生体認証IDカードとの比較を通じて、かえってポイントカードへの不信感を煽ることになったのです。
IDカードの計画は最終的に白紙となりましたが、ポイントカードは拡大を続けています。企業にとって顧客データの収集・保存が安価かつ容易になるにつれ、それは利益を生むビジネスへと変わっていきました。企業はスマートフォン時代に適応し、現在ではアプリを通じてお得情報やプロモーションを届けるようになっています。
プライバシー侵害の実態
ポイントカードの本来の目的は、特定の小売店でお金を使ってもらうよう促すことです。「ロイヤルティ(忠誠心)」の名の通り、顧客の愛着を育むためのものでしたが、今では多くの場合、あなたのデータを活用するために使われています。他の多くのデータ収集と同様、企業は自らの手法について完全に正直であることは少なく、「パーソナライズされたお得情報のご提供」や「ポイントカード会員様への特典」といった言葉の裏に、その実態を隠しがちです。
私たちのスマートフォンが極めて効果的なデータ収集ツールでありながら、私たち自身が喜んでポケットに入れて持ち歩いていることは、もはや周知の事実です。生成される膨大なデータは利用者のためにもなり得ますが、アプリはインストール時に幅広い権限を要求することがよくあります。スターバックスのAndroidアプリはその好例です。同チェーンのアプリをインストールする際、以下の権限が求められます。
- 端末およびアプリの履歴
- ユーザー識別情報
- 連絡先
- 位置情報(おおよそ&正確な位置)
- 写真/メディア/ファイル(読み取り&変更)
- ストレージ(読み取り&変更)
- Wi-Fi接続の表示
- インターネットからのデータ受信
- ネットワーク接続の表示&フルネットワークアクセス
- バイブレーションの制御
- 端末のスリープ防止
収集したデータはどう使われるのか
確かに、小売店のスマートフォンアプリが最寄りの店舗を見つけやすくするために位置情報へのアクセスを必要とするのは理にかなっています。しかし、その後その情報を小売店がどう扱っているか、ご存じでしょうか?最も可能性が高いのは、その情報を保存し、より的確に商品やサービスをターゲティングするために使うことです。また、エリアごとの顧客層を分析して新規出店の判断材料にすることもあります。実際、一部の大手イギリス小売業者はクレジットカードデータをこの目的で使用していました。
こうしたケースでは、収集されたデータは確実に企業の利益になりますが、あなた自身のためにはほとんどなりません。最も悪名高い例は、アメリカの小売業大手ターゲット(Target)が、購買データから女性の妊娠を特定できたことが明らかになった事件です。妊娠を知らされていなかった父親が、娘宛てに届いたベビー用品のクーポンを目にし、ターゲットの手法に憤慨するという騒ぎになりました。妊婦向けに育児用品の割引を提供すること自体には明らかなメリットがありますが、機微な個人データを勝手に推測・活用されるのは問題外です。
データはどこへ行くのか
ポイントカードアプリは特定の店舗と紐づいていますが、小売業者自身がデータを分析することはあまりありません。代わりに、第三者の専門会社にデータの管理・分析を委託するのが一般的です。このようなデータ移転は、業務運営上必要なものであるとして、通常は小売業者のプライバシーポリシーによって保護されています。しかし、企業がデータを「販売」しようとするとき、話は一気に曖昧になります。
ポイントカードアプリによるデータ収集に同意する前に、まず確認すべきはプライバシーポリシーです。そこには、企業がどのようにデータを収集し、どのように保存し、何に利用し、あなたがデータに関してどんな権利を持つのかが記載されています。ただし、プライバシー擁護派はこれらのポリシーが冗長で専門用語だらけだと批判しており、アーティストのロバート・シコリアックがiTunesの利用規約を94ページのグラフィックノベルに仕立てたことでも、その難解さは象徴的に示されました。企業がどれほど読みにくくしようとも、自分のデータがどれだけ安全に、私的に扱われるのかを読み解く努力は、結局は自分自身のためになるのです。
情報化時代において、データセットは非常に価値が高く、住宅ローン、保険の審査、さらにはカスタマーサポートの待ち時間の長短に至るまで、私たちの「人物像(プロファイリング)」に使われています。例えば、あなたがポイントカードアプリのあるバーに頻繁に通っているとしましょう。アプリは来店日時や滞在時間を記録し、支出額までアプリと直接紐づけるかもしれません。保険会社はこうしたデータの購入に強い関心を持ち、保険料更新時のあなたの評価に利用する可能性があります。
自分のデータを守るには
どこまでなら許容できるかというプライバシーの基準は人それぞれです。小売業者がスマートフォンアプリを通じてデータを収集することに抵抗がないとしても、そのデータをどう保護しているかまでは把握していますか?テクノロジーが生活に浸透するにつれ、小売業者はある意味でテクノロジー企業になりつつあります。クレジットカードを受け付けず、デジタル経理ソフトすら使わない店舗を見つけるのは困難でしょう。
ほぼ毎日のように、どこかで新たなデータ漏洩のニュースが流れています。しかも、その発信元はテクノロジー企業だけではありません。問題があまりに蔓延しているため、Wikipediaには「著名なデータ漏洩事件の一覧」ページまで存在します。そのリストには、ブリティッシュ・エアウェイズ、ギャップ(Gap)、スターバックス、ターゲットなど、ポイントカードアプリを提供している企業の名前が並んでいます。
金融データは厳格な法律で保護されていることが多い一方、スマートフォンから収集される種類のデータには同じレベルの保護が及んでいないのが現状です。残念ながら、これらのリスクは仮定の話ではありません。大手小売業者はデータ窃盗や大規模ハッキングの標的になってきました。そして彼らの多くはテクノロジー企業ではないため、自社と顧客のデータを守る準備が十分に整っていません。セキュリティ研究者トロイ・ハント(Troy Hunt)によるパスワードセキュリティに関するブログ記事は、この問題を浮き彫りにしました。
その引き換え、本当に見合っていますか?
ポイントカードは、かつてのような形で顧客の忠誠心を生み出せなくなっているかもしれません。企業は今や新しい方法で利益を得ています。それは、あなたのデータです。どの程度のデータ収集を受け入れられるかは、そのアプリがもたらすメリットをどう評価するかにかかっています。頻繁に利用する店舗で、少しでも節約したいのであれば、そうしたアプリはあなたに合っているかもしれません。
イギリスで最近展開されたファストフードチェーンKFCの広告キャンペーンは、ポイントカードアプリのダウンロードを促すものでした。見返りにもらえるのは、わずか0.99ポンド(約1.28ドル)相当のチキンウィング2本。ここまで必死にアプリをダウンロードさせようとする企業の姿を目にすると、誰が得をするのか疑いたくなります。おそらく、それはあなたではないでしょう。
あなたは店舗のポイントカードを使っていますか?役立っていますか?こうしたアプリのプライバシーが気になりますか?考えが変わりましたか?ぜひコメント欄でお聞かせください!
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