ISPから著作権侵害の通知が届いたら?正しい対処法と再発防止策を徹底解説
つい最近まで、インターネットで映画をダウンロードしたことを理由に著作権侵害の通知を受け取った人に、実際に出会ったことはありませんでした。ところが友人の一人が、契約しているISP(インターネットサービスプロバイダ)から直接連絡を受け、「所定の罰金を支払うことに同意しなければ裁判で争うことになる」と告げられたのです。
友人自身に落ち度があったため、法廷に立つリスクや高額な罰金を避けるべく、彼はISPおよび著作権者との和解を選びました。
著作権侵害の通知を受け取るのは、誰にとっても不安なものです。もし自分宛てに著作権侵害の通知が届いたら、どうすればよいのでしょうか?そもそもISPは、どのようにしてあなたの著作権侵害を知るのでしょうか?
著作権侵害の通知は心配すべきもの?
「[あなたのISP]は先日、著作権者より、[あなたのISPアカウント]に関係するとみられる著作権侵害の通知を受け取りました。著作権者が申し立てを行った作品は下記の通りです。」
「お知らせする理由は、著作権者から提供されたIPアドレスが、著作権者の指摘する日時にあなたの回線へ割り当てられていたためです。」
こうした文言を含む通知は、一連の面倒な事態の前兆であることが少なくありません。著作権侵害は重大な違法行為であり、ISPには調査する義務があります。侵害の中心となるのが、まさにそのネットワークだからです。
実は、ISPはあなたのオンライン上のあらゆる動きを追跡できます。訪問したサイト、その日時、滞在時間などはもちろん、ダウンロード活動も監視対象です。トレントなどのP2P通信も例外ではなく、すべてあなたのIPアドレスに紐付けられます。
「現時点で、当社があなたの個人情報を著作権者に提供したことはありません。[ISP]は、正当な召喚状その他の法的手段がない限り、あなたを特定できる情報を開示しません。ただし、正当な召喚状等を受領した場合には、[あなたのISP]は当該情報を著作権者に開示します。」
ISPが即座に個人情報を開示するとは限りません。大半のISPは、著作権者からの通報を受けると、まずこの種の警告を送るだけです。しかしながら警告文にあるとおり、正当な法的請求が届けば、ISPは従わざるを得ません。それが法律だからです。
また、ISPを乗り換えても通知から逃れることはできません。新しいプロバイダで白紙の状態から始められる可能性はありますが、住所を変え、さらには名前まで変えない限り、著作権侵害の記録はついて回ります。法律に関わる問題と同じで、簡単には逃げられないのです。
著作権侵害とは何か?
映画スタジオが作品を公開したり、ミュージシャンがアルバムをリリースしたりする際、そのコンテンツのほとんどには著作権による保護が及んでいます。対象は音楽や映画だけではありません。写真、絵画、書籍、記事、ポッドキャストなど、無数のコンテンツが著作権の保護対象となります。
著作権とは、作品を保護するための法的権利であり、オリジナルの制作者に所有権と配布に関する排他的な権利を与えます。著作権には有効期限があり、失効することもあります。ただし、大手の著作権保有者の多くは、重要な作品の保護期間を延長し、自作(あるいは他のクリエイターから買い取った権利)への支配を維持しています。
ISPから著作権侵害の通知を受け取った場合、そこには「あなたの回線で侵害されたとされる著作物」が具体的に記載されています。
たとえば米国Comcastの場合、著作権侵害の請求通知は「デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく措置通知(Notice of Action under the Digital Millennium Copyright Act)」といった件名のメールで届きます。本文には、著作権者があなたのネットワーク上で侵害を発見した旨を利用者に通知する義務がComcastにあることが説明されています。
メールには、侵害された作品(通常は正確なファイル名)、侵害に使用されたIPアドレス、侵害の種類(P2P、違法ストリーミングなど)、通報元の著作権者が明記されます。
以下のComcastのDMCA通知は、投稿者がトレントソフトを使って「World of Warcraft 1.12」のクライアントをダウンロードした後に送信されたものです。
もちろん、DMCA削除通知を送るのはComcastだけではありません。海賊版への「姿勢」いかんにかかわらず、ISPは法律により通知の送付を義務付けられています。あらかじめ言っておくと、ISPの海賊版に対する姿勢は決して好意的ではありません。
Google FiberのDMCA通知は、侵害の「規模」によって多少異なりますが、通常は「[著作権者名]が所有する著作権の無断使用に関する通知(Notice of Unauthorized Use of Copyrights Owned by ...)」という形式です。Comcastのメールと同様、侵害された作品やIPアドレスなどの情報が記載されます。
Verizon、Bell、Rogersなど、その他の米国のISPからの通知も、ほぼ同様のパターンに沿っています。
AMCが『ウォーキング・デッド』でDMCA警告を発動
著作権侵害は、必ずしも明白な形で起こるわけではありません。たとえばAMCの『ウォーキング・デッド』シーズン6は、大きなクリフハンガー(引き)で幕を閉じました。オフシーズンに入ると、当然ながらファンサイト各所で結末の予想が始まりました。
ところがAMCは、ファンサイト「The Spoiling Dead」に対して法的措置をちらつかせたのです。予想がシーズン7の実際の展開と一致した場合、「AMCは訴えると言っている……そのスタンスは、そのような予測をすること自体が著作権侵害に当たるというものだ」と、同サイトは述べています。
『ゲーム・オブ・スローンズ』とIP-Echelonによる大量通知
特定の人気タイトルほど、海賊版の標的になりやすい傾向があります。近年、『ゲーム・オブ・スローンズ』の著作権者HBOは、ファンが最新シーズンを違法に視聴するたびに、数万件規模の著作権侵害通知を送信してきました。HBOはアンチパイラシー企業のIP-Echelonと提携し、通知の送付と執行を行っています。
一方でHBOは、海賊版を減らすための別の施策も打ち出しました。番組をケーブルテレビ限定にするのではなく、まず自社のオンデマンド配信サービスで各シーズンを公開し、その後Amazon Primeチャンネル経由の加入(月額14.99ドルと決して安くはありませんが)も可能にしたのです。その結果、海賊版は減少し、視聴者のエンゲージメントは高まり、結果的に視聴者満足度も向上しました。
著作権侵害を回避するには?
Verizon、Comcast、Telus、Spectrumなど、どのISPから著作権侵害の通知を受け取ったとしても、あなたはすでに「リスト」に入っています(私たち全員、どこかのリストには載っているのかもしれませんが)。名前をリストから消すことは難しくても、自分の名前とIPアドレスの横に新たな侵害記録が並ばないようすることは、確実に可能です。
では、家庭内のネットワークで著作権侵害を起こさないために、具体的にどんな対策が取れるのでしょうか?
1. 違法コンテンツのダウンロードをやめる
言うまでもないことですが、違法なソースからのダウンロードは中止しましょう。ファイルの著作権状況が不明な場合は、ダウンロードしないのが最善策です。代わりに、米国著作権局(U.S. Copyright Office)の公式サイトで、該当するファイルや作品を検索してみてください。
コツとしては、正確なファイル名よりもキーワードで検索する方がヒントをつかみやすいでしょう。
また、AndroidベースのKodiボックスや各種ストリーミング端末の普及が、事態をさらに複雑にしています。Kodiボックス自体は店頭やオンラインで公然と販売されていますが、搭載されているアプリが著作権で保護されたコンテンツを扱っているケースも少なくありません。
2. 家族や同居人と話し合う
最新の『イカゲーム』をダウンロードしたのが自分でないと確信できるなら、家族、同居人、そしてインターネット回線を共用しているすべての人と話してみましょう。違法ダウンロードの問題と、それに伴うリスクについて率直に話し合えれば理想的です。
(ついでに、合法的な視聴・ダウンロードの代替サービスをいくつか紹介してあげるのも良いでしょう。)
3. 通知の内容を確認し、詐欺に注意する
身内から自白が出なかったら、改めて通知メールや書面の詳細を確認してください。著作権侵害の執行通知には、ファイル名やダウンロード手法など、侵害コンテンツの具体的な情報が記載されています。たとえばファイルがKendrick Lamarの最新アルバムなら、大叔母のエセルさんの仕業である可能性は低いはずです(仮にそうだったら、むしろ感心してしまいますが)。
いずれにせよ、通知に含まれる情報は、「回線上で誰が何をダウンロードしているのか」を絞り込む有力な手がかりになります。対象となりそうな人と、安全なダウンロード方法や代替ソースについて話し合いましょう。
同時に見極めたいのが、その通知が本物かどうかという点です。一部の偽通知には「支払い案内」が添えられており、受け取った人は真偽を確認する前に慌てて支払ってしまうことがあります。
実際、HBOの『ゲーム・オブ・スローンズ』関連のIP-Echelon通知に便乗した詐欺師たちが、「150ドルの和解金を直接支払え」とする偽メールを数千件送りつけた事例もあります。
IP-Echelon、Lionsgate、Rightscorp、CEG TEKなど、著作権執行企業を名乗るメールが届いても、すぐに支払ってはいけません。必ず事前に調査を行いましょう。
4. 自宅ネットワークに不正利用者がいないか確認する
家族全員に事情聴取しても心当たりがない場合は、自宅のネットワーク環境を疑ってみましょう。まず確認すべきはルーターです。子どもたちは海賊版をダウンロードしていなくても、友人にWi-Fiのパスワードを教えていたらどうでしょう?
あるいは、近隣住民があなたの回線に勝手に接続し、帯域を盗みながら著作権者の怒りを買っている可能性もあるのです。
ルーターには現在の接続デバイス一覧が表示され、機種によっては過去の接続ログも残っています。認識しているよりも多くのデバイスが接続されていたら、対策を講じるタイミングです。
Webブラウザからルーターの管理画面にアクセスしましょう。アドレスは機種によって異なりますが、近年は本体にデフォルトの管理用アドレスが印字されていることも多いです。
すべての接続デバイスを把握できれば問題ありません。もし見覚えのないデバイスがあれば、それが著作権侵害の犯人かもしれません。残念ながら、どの近隣住民が不正接続しているのかを特定するのは容易ではなく(トラブルを避けたいなら尚更です)、その場合はルーターのIPアドレスフィルタリングやMACアドレスフィルタリング機能でブロックするのが現実的です。
5. ウイルススキャンを実行する
最後の対策は、定番のウイルス・マルウェアスキャンです。可能性は低いものの、トロイの木馬に感染してハードディスクが外部に露出し、意図しないファイル共有が行われているケースも理論上はあり得ます。他人のPCを遠隔操作できるなら、『ジュマンジ』のリメイク版をダウンロードするくらいのことに使う人はいないでしょうが、備えは大切です。
合法的なコンテンツサービスを活用しよう
人生で一度も著作権で保護されたファイルをダウンロードしたことのない人も、中にはいるでしょう。正直に告白すると、筆者はその一人ではありません。しかし、インターネットサービスが進化し、あらゆるニーズに応えられるようになった今、マイナーな楽曲を求めて危険なダウンロードサイトを徘徊する必要は、かつてより格段に減っています。
さらに、自己防衛の手段も充実してきました。当然ながら、当記事は著作権物の違法ダウンロードを推奨するものではありません。とはいえ、VPNはコンテンツのダウンロードの有無にかかわらず、個人のオンラインプライバシーを守るために非常に有効なツールです。
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