テックサポート「返金詐欺」の手口を徹底解説――見分け方と被害防止のポイント
使ったことのないサービスの請求が書かれたメールや、「会社が事業を終了するため返金します」といった内容のメールが届いたら、要注意です。こうしたメールに安易に反応すると、ほぼ確実に詐欺に巻き込まれる危険性があります。
この「テックサポート返金詐欺」は、従来のテクニカルサポート詐欺とよく似ていますが、いくつか異なる点があります。ここでは、詐欺師がどのように返金詐欺を仕組むのかを解説し、その兆候を見抜いて身を守る方法をご紹介します。
返金詐欺とは?
eBayやメルカリなどのフリマサイト・オークションサイトで物を売ったことがある人なら、返金詐欺の基本的手口に心当たりがあるかもしれません。この手の詐欺では、相手が購入者を装い、商品代金をわざと多く振り込んできて、「誤って送金しすぎた」と差額の返送を求めてきます。しかし実際には、最初の入金はキャンセルされており、差額として送ったお金だけを騙し取られる仕組みです。
テックサポート返金詐欺もこれとよく似ていますが、古典的なテクニカルサポート詐欺の要素が組み合わさっています。まず「返金予定あり」という偽のメールが届き、電話で連絡すると、詐欺師はあたかも返金手続きを行うふりをします。
しかし、その際に「間違えて」必要額より多く送金したことにし、余分な分をギフトカードで送り返すよう求めてきます。この方法で送ったお金は二度と戻ってきません。
以下では、典型的なテックサポート返金詐欺の流れを追いながら、詐欺師のトリックと共通の手口を暴き、何に注意すべきかを順番に解説します。
返金詐欺はどのように始まるのか
この詐欺は通常、偽のメールを受信することから始まります。ただし、ポップアップ警告が表示されるケースもあります。特に、ウェブサイトのURLを打ち間違えた場合などに発生しやすいので注意が必要です。
メールの内容は、たとえば次のようなものです。
- しばらくサービスを利用していないため、会社から返金するという通知
- 銀行から「支払いに問題があったため取引を返金する」という連絡
- 小売店から「二重請求が発生したため、修正のため連絡してほしい」という案内
フィッシングメールの見分け方を知っておけば、この段階で詐欺を防げる可能性が高まります。一見公式に見えるメールでも、送信元アドレスが無関係なものであることがほとんどで、受信者固有の情報が含まれておらず、文法ミスだらけの場合もあります。
また、正規の企業がメール内のリンクをクリックさせて支払い情報の確認を求めることは決してありません。それでも先へ進むと、一体何が起こるのでしょうか。
詐欺師と一緒に銀行口座へログインする
メールに記載された番号に電話をかけると、「Microsoft」などメールに記載されていた企業の「返金担当部門」につながります。「そのサービスは利用したくない」と伝えると、「担当者」は喜んで「返金手続き」を手伝ってくれると言います。
そして、TeamViewerやAnyDeskといったリモートアクセスツールのインストールを案内され、相手があなたのパソコンに接続できるようにします。接続後は、パソコンの電源が入っている間はいつでも遠隔操作できるよう、無人アクセスを設定されることもあります。
次に、詐欺師は「返金処理を開始するため」と言って、銀行のウェブサイトへのログインを求めてきます。ログインすると、普通預金の残高を確認させられ、その金額を頭に入れさせます。
偽の「送金」
詐欺師がネットバンキングにアクセスできる状態になると、手続きが始まります。リモートアクセスソフトを使って画面をブラックアウトし、何をしているのか見えないようにします。「セキュリティのため」と説明し、「返金コード」などを書き留めさせて注意をそらすこともあります。
もちろん、実際にお金が振り込まれることはありません。多くの人は普通預金以外にも口座(貯蓄用や退職金用など)を持っているため、詐欺師は自分の口座間で資金を移動させ、普通預金の残高を「増加」させるのです。
重要なのは、当初約束された金額よりもはるかに多い金額を「送金」することです。たとえば300ドルの「返金」を約束していたのに、3,300ドルを移動させたりします。
その後、口座間でお金を動かした事実を隠すために、ウェブページのHTMLを改ざんし、「返金担当部門から入金があった」ように見せかけることもあります。
「ミス」と「返済」の要求
偽の「送金」が完了すると、詐欺師は画面を元に戻し、「入金を確認しましたか?」と尋ねてきます。
「返金額が約束よりはるかに多い」と指摘すると、相手は驚いたふりをして、余分な金額を返してほしいと頼んできます。「太っ腹」に見せるために、余分なお金の一部はキープしてもいいと言うこともあります。
この時点で、詐欺師は被害者が「どうやって返せばいいのか」と聞いてくることを期待しています。そして「送金したのと同じ方法では受け取れない」と主張し、iTunesやAmazonなどのギフトカードを買ってくるよう指示します。
ここまで信じてしまったとしても、この要求は重大な危険信号です。正規の企業がギフトカードでの支払いを求めることは絶対にありません。考える時間を与えないよう、すぐに買いに行くよう急かします。拒否したり質問したりすると、怒り出し、「こちらの金を盗もうとしている」と責めることさえあります。
さらに進んでギフトカードを購入してしまうと、カードのコードを読み上げるか、メモ帳に入力するよう求められます。コードを渡した瞬間、詐欺師はすぐにそれを換金するため、あなたのお金は消えてしまいます。
詐欺師がギフトカードを好む最大の理由は、銀行送金と違って追跡がほぼ不可能だからです。
返金詐欺のバリエーションとその他の手口
ここまで返金詐欺の基本を説明しましたが、詐欺師ごとに多少手口が異なります。
たとえば、画面を暗転させた後、Windowsアカウントにパスワードが設定されていない場合、勝手にパスワードを設定しようとすることがあります。これにより、パソコンをロックして「身代金」を要求できるのです。だからこそ、アカウントには強力なパスワードを設定しておくことが重要です。
古いバージョンのWindowsでは、SYSKEY機能を使って起動時にパスワードを要求させ、システム全体をロックする手口も確認されています。
別のバリエーションとして、2つのリモートアクセスツールをインストールするケースもあります。たとえば、まずAnyDeskで接続し、そこからTeamViewerをインストールして詐欺師側のPCに接続し直し、操作権限を切り替えます。これは、TeamViewerには重要な画面ブラックアウト機能がある一方、詐欺多発地域からの発信接続をブロックしているためです。
ギフトカードの購入を拒否すると、詐欺師は激昂することがあります。先ほどと同じHTML改ざんの手法を使って銀行口座の残高をゼロに見せかけ、「口座から金を引き出した。払わなければ返さない」と脅すこともあります。
さらに激昂した詐欺師は、写真を閲覧したり、ファイルを削除したり、Webカメラにアクセスしようとしたりすることもあります。悪質極まりない話ですが、だからこそ、こうした犯罪者とは即座に電話を切るべきなのです。一度リモートアクセスを許してしまうと、インターネット接続を切るかパソコンをシャットダウンするしか追い出す方法はありません。
返金詐欺師にお金を奪わせないために
これまで見てきたように、返金詐欺はテクニカルサポート詐欺と似ていますが、ITに詳しくない人を混乱させる要素がいくつか追加されています。「返金」という性質上、過去に同様の詐欺に遭った人を狙うケースもあります。
知り合いで信頼できる相手でない限り、パソコンの操作を許してはいけません。もちろん、相手の要求で銀行口座にログインすることも絶対に避けるべきです。そして、支払い手段としてギフトカードを買うことも決してありません。詐欺師の手口は一度知ってしまえば単純なものですが、残念ながら多くの人が騙されています。
詳しい対処法については、「電話で詐欺師と話しているときの典型的な兆候」に関する記事も参考にしてください。こうした知識を周囲の人々と共有し、悪質な犯罪者の犠牲にならないようにしましょう。
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